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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引


(1) 非研究開発衛星の調達手続(日本、1990年6月14日、抄録)

I.結論

 非研究開発衛星を調達するための、透明、公開、かつ、無差別な競争的手続を設けることは政府の政策である。競争的手続に従うことにより、意図するとせざるとを問わず、国内外のいかなる企業も、調達期間の要求にこたえる非研究開発衛星を提供する際、優遇され、阻害され又は拒絶されない。
 以下の手続は、この政策を十分かつ効果的に実施するために定めたものであり、すべての非研究開発衛星の調達に適用される。本手続は、ガット政府調達協定(以下「協定」という。)の要件との整合性を確保しつつ実施される。


2.適用範囲

2.1 本手続は、政府による若しくは政府のための、又は衛星調達手続が政府の直接の若しくは間接的な監督下にある機関(NTTを含む。)によるすべての人工衛星(研究開発衛星及び非研究開発衛星上の研究開発ペイロードを除く。)の調達を対象とする。
2.2 本手続に特に規定されていない事項に関しては、協定に定める考慮と同様の考慮が払われる。


II.定義

1. 「機関」とは、政府及び衛星調達手続が政府の直接の又は間接的な監督下にある機関をいう。
2. 「調達」又は「調達する」とは、研究開発衛星及び非研究開発衛星上の研究開発ペイロードを除くほか、すべての衛星(又は衛星能力(微小なものを除く。))を調達機関自身が又は調達機関のために取得(購入又は借入れ)することをいう。「調達」には、機関の要求用件の確立、機関の要求要件を満たす仕様書の作成、入札招請、供給者の選定、落札、契約財務、契約履行、契約管理並びに機関の要求要件を満たす過程に直接関連する技術上の及び管理上の諸機能が含まれる。
3. 「微小能力」とは、当該衛星の全能力に対して15%を越えない能力をいう。例えば、通信衛星の場合、全能力は各中継器の設計有効寿命(月数又は年数で示す。)に中継器の数を乗じることによって決定される。その他の衛星の場合、この公式は、適用可能な場合に用いられる。日米両政府のいずれも、この公式が適用できないと考える場合には、協議を要請することができ、当該協議は速やかに開始されるものとする。


III.手続

1.衛星区分

1.1 政府は、毎年、研究開発衛星の開発計画を含む「宇宙開発計画」を官報に掲載する。…掲載される情報には、当該衛星に係るすべての関連側面に関する概要が含まれる。
1.2 政府が計画中の衛星を研究開発衛星又は非研究開発衛星上の研究開発ペイロードとして区分した場合であって、潜在的な供給者又は合衆国政府が当該区分は本手続に合致していないと信じる場合には、当該衛星の区分に関して、当該供給者は合衆国政府に対して日本国政府との協議を開始するよう要請することができ、また、合衆国政府は、自らの発意でかかる協議を開始することができる。合衆国政府は1.1に基づく情報の掲載の後、速やかにそのような協議を要請する。
1.3 合衆国政府のそのような要請があった場合には、両国政府は迅速な方法で協議を行う。


2.調達企画

2.1 機関は、非研究開発衛星を必要とする場合には、可能な限りの競争を促進し、提供するために調達企画を実施し、かつ、市場調査を行う。
調達企画の目的は、最も効果的かつ時宜を得た方法で機関が自ら要求を満足させることを確保することである。
市場調査は、潜在的な供給者を特定するために利用される。
機関と潜在的供給者との間では、可能な限りの情報の交換が行われる。


10. 評価基準

10.1 調達機関は、以下を目的とする選定手続を取る。
10.2 競争の最大化
10.3 入札招請書、評価及び選定の複雑さの最小化
10.4 供給者が提示した入札書の公平かつ包括的な評価の確保
10.5 入札招請書に記載された評価要素のみを考慮して、その入札書が機関にとり総合的価値が最大であるような供給者の選定の確保


IV.衛星調達に関する苦情処理機構

1.概論

 非研究開発衛星の調達を行うに当たっては、公正で開かれた競争に基づき、また、この手続が遵守されるよう、以下の苦情処理手続がこの手続の発行の日から30日後より有効となる。


2.調達審査委員会

2.1 政府は、この手続の非研究開発衛星の調達に関する潜在的供給者からの苦情を審査するための独立の審査機関として、調達委員会(委員会)が組織されることを確保する。委員会は、審査する非研究開発衛星の調達に実質的な利害関係を持つものであってはならない。
2.2 委員会は、苦情を文書で受理し、機関による非研究開発衛星の調達のいかなる側面に関しても事実関係を調査し、また、機関に対する提案を行う。
2.3 委員会は、公的分野の調達に関する有識者で構成する。苦情に関する審査に当たり利害関係を有する委員は参加できない。

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