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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第1章 ランドサット

第101条 ランドサット計画の運営機構

(a) 設立―長官及び国防長官は、ランドサット計画の運営につき責任を有する。この責任は、ランドサット・システムについての統合計画運営構造を確立することによって遂行するものとする。
(b) 運営計画―長官、国防長官、及び大統領がランドサット計画の一部につき責任を有するとして任命するその他の合衆国政府の公務員は、運営計画によって、合衆国関係政府機関のランドサット計画についての役割、責任、及び予算の予測を定めるものとする。運営計画は、
(1) ランドサット計画の運営機構の基本的な目標は、追跡及びデータ中継衛星通信の能力に加えて、ランドサット6号衛星に、最低限、機能的に等しいランドサット7号衛星の実行可能な限り迅速な取得及び運用によるランドサットの未処理データの継続性にあることを明記する。
(2) 以下のような基礎予算粗案を含む。
(A) ランドサット7号の開発及び運用を含む期間中、国家航空宇宙局及び国防省にとり相互に容認可能であること。
(B) それぞれ、ランドサット7号の開発及び運用上の寿命にわたる他方の予算責任にほぼ等しい、国家航空宇宙局及び国防省の予算責任全体を措置すること。
(3) 所要の予算が(2)により必要とされる基礎予算粗案を超過する場合には、ランドサット6号の機能に等しいランドサット7号の能力の改良は、一又は複数の特定の後援機関により、ランドサット計画の運営機構により同意される方法で、資金提供されること、並びに追加の改良は、データの継続性を危うくしない場合にのみ求められることを明記する。
(4) 技術実証計画は、その目的が、既存のランドサット・システムより、製造及び運用がより安価で、データ利用者により対応するシステムを潜在的に生み出すことができる、高度なランド・リモートセンシング技術を実証することにあるものとする。
(c) 責任―ランドサット計画の運営機構は、以下のことにつき責任を有する。
(1) ランドサット7号の調達、打上げ及び運用。
(2) ランドサットシステムの運用がランドサット・システムの民事上、国家安全保障上、商業上の利用者、及び外国の利用者の幅広い利益に対応するよう確保すること。
(3) すべての未処理のランドサット・データは引き続き機密扱いされず、かつ第506条(a)、(b)に定める場合を除いて、未処理のデータの利用可能性に関して、いかなる制約をも受けないこと。
(4) 1990年の合衆国の地球変化研究法に定めるように、合衆国の地球変化研究計画の必要並びに国家安全保障に係る利用者の必要を満たすために必要な、非常に重要な場所のランド・リモートセンシング・データが、ランドサット7号により取得されることを確保する。
(5) この法律に基づくランドサット・データの責任。 
(6) 第102条及び103条に基づき締結されるランドサット契約の管理。
(7) 第303条に基づく技術実証計画の調整。
(8) ランドサット・システムにより得られたデータの写しが国立衛星ランド・リモートセンシング・データ保管所に提供されることを確保すること。
(d) 契約の権限―ランドサット計画運営機構は、予算に従い、かつ、ランドサット計画運営機構を構成する合衆国政府機関の既存の契約に係る権限に基づいてのみ、少なくとも衛星運用及びデータ処理のような業務について民間部門と契約を締結する。
(e) ランドサット諮問手続
(1) 策定
ランドサット計画運営機構は、既存の諮問機関、その他の適切なメカニズムを利用して、ランドサット・システムの状態、有効性、及び運用に関する公平な助言及び所見を求める。この助言は、以下を代表する個人から求めるものとする。
(A) 基礎及び応用科学並びにランド・リモートセンシング・データに関する運用上の必要についての幅広い見通し。
(B) 合衆国政府機関の代表、地域自治体の機関、学術機関、非営利組織、付加価値企業、農業、鉱山業、その他の産業の利用者及び公衆の代表を含む、ランドサット・データのすべての分野の利用者。
(C) 幅広い様々な年齢集団、性、人種。
(2) 報告書
この法律の公布の後1年以内に、かつ、それ以後2年毎に、ランドサット計画運営機構は、議会への報告書を準備し及び提出する。この報告書は、
(A) (1)に基づき受領する公式の所見を報告し、及び
(B) 以下のものを含む。
(i) (1)に基づき受領する公式な所見への回答
(ii) ランドサット・システムからのデータのカテゴリー別の利用量に関する情報、及び
(iii) ランドサット・システムの有用性及び運用を改善するための政策又は計画の変更についての勧告。


第102条 ランドサット7号の調達

(a) 契約の交渉
ランドサット計画運営機構は、予算に従い、かつ、ランドサット計画運営機構を構成する合衆国政府機関の既存の契約の権限に基づいてのみ、ランドサット7号の開発及び引渡しにつき合衆国の民間部門の団体と迅速に契約する。
(b) 開発及び引渡しの考慮
ランドサット計画運営機構は、本条の規定に基づくランドサット7号の開発及び引渡しについての契約の交渉にあたって、
(1) ランドサット6号の設計寿命の予測される終了によりランドサット7号を運用させることを基本的な目標として求める。
(2) 最低限、ランドサット6号衛星に機能的に等しい衛星の開発及び引渡しによるデータの継続性を確保するよう努める。
(3) ランドサット7号にデータの継続性を危うくすることのない合衆国政府の必要に適合するのに必要な性能の改良を加えることを求める。
(c) 価格及び予定の変更
ランドサット計画運営機構は、本条に基づく契約の付与の際に、当該機構により明記されるランドサット7号の予測価格、引渡し期日、及び打上げ期日の著しい変更を議会に迅速に通告するものとする。
(d) 合衆国の民間部門の団体
ランドサット計画運営機構は、この法律の適用上、活動の場所、資産、要員その他の要因を考慮して、「合衆国の民間部門の団体」の意味を定める。


第103条 ランドサット4号から6号までのデータ政策

(a) 契約の交渉
ランドサット計画運営機構は、この法律の公布の日から30日以内に、ランドサット6号の契約者と、当該契約者がその契約に基づき責任を有する未処理のデータの価格設定、配給、取得、保管、及び利用可能性に関する取極を正式なものとするために交渉するものとする。当該取極は、ランドサット7号の当初の運用の期日までに、ランドサット7号のデータ政策(第105条に基づき策定される。)に適合するデータ政策への段階的な移行の措置を講ずる。段階的な取極の条件により、ランドサット6号の契約者が、移行期間の最終段階までには、以下のことが確保されるように、規定を採択するよう要求すべきである。
(1) 当該未処理のデータは、最低限、利用者の要求を満たす価格で、当該未処理のデータが非商業的な目的でのみ利用されるという条件で、合衆国政府及びその関連利用者に提供される。 
(2) ランドサット・データ保管所から選定された教育的なデータのセットが、専ら非商業的な、教育上の目的のために、利用者の要求を満たす価格で、教育機関に提供される。
(3) ランドサット・データの利用者は、外国の地上局の収集記録に含まれる未処理のデータを実行可能な限り容易にかつ入手可能な価格で取得することができる。
(4) 地球環境の変化の研究者及び国家の安全保障に係わる利用者の必要を満たすために必要な適切なデータを取得する。
(5) 合衆国政府及びその関連利用者は、未処理のデータが非商業的な目的のためにのみ利用される場合には、合衆国政府のその他の機関及びその他の関連利用者のための当該未処理のデータの複製又は配給を禁止されることはないものとする。
(6) 非営利的な、公益団体は、当該未処理のデータが非商業的な目的のためにのみ利用されるという条件で、利用者の要求を満たす価格で、取引証標、データ譲渡証書、その他の未処理のデータを当該団体に提供する手段を得る。
(7) ランドサット・システムの未処理のデータを利用する付加価値業務その他の業務の商業的な市場の促進及び発展における民間部門の実行可能な役割は保たれる。
(8) ランドサット・システムの未処理のデータが、利用者の要求を満たす価格以下で、国立衛星ランド・リモートセンシング・データ保管所に提供される。
(b) 合意に達しない場合
ランドサット計画運営機構が、(a)に基づく交渉が、1993年9月30日までに、(b)(1)から(8)に掲げられる目標を一般的に達成する合意に至らないと決定する場合には、長官及び国防長官は、この決定の日の後30日以内に、共同でこの決定を認証し、かつ、議会に報告する。この報告書は、選択肢の再検討及び当該目標を達成するための経費案を含み、かつ当該目標を達成するための勧告を含むものとする。再検討される選択肢は、次のものを含む。
(1) ランドサット6号の契約者との既存の又は修正された契約を保持すること。
(2) 未処理のランドサット・データを市場化する排他的な権利についての既存の契約を終了させること、及び
(3) 当該データの市場化及び商業的な配給のための代替民間部門のメカニズムの設立。


第104条 ランドサット6号計画の責任の移転

ランドサット6号に関する省長官の責任は、第101条に基づき、省長官及びランドサット計画運営機構の間で合意されるように、ランドサット計画運営機構に移される。


第105条 ランドサット7号のデータ政策

(a) ランドサット7号データ政策
ランドサット計画運営機構は、他の適切な合衆国政府機関と協議の上で、ランドサット7号についての以下のようなデータ政策を策定するものとする。
(1) 未処理のデータが、利用者の要求を満たす価格で、すべての利用者に提供されることを確保する。
(2) 民事上、国家安全保障上、商業上、及び外国の幅広い利用者並びに国立衛星ランド・リモートセンシング・データ保管所への未処理のデータの適時な、かつ、信頼できる引渡しを確保する。
(3) 合衆国がランドサット7号により生産されるすべての未処理のデータの所有権を保持することを確保する。
(4) リモートセンシング・データの商業的な市場の発展を支援する。
(5) リモートセンシング・データに基づく商業的な付加価値業務の提供は専ら民間部門の役割にとどまるよう確保する。
(6) 可能な限度で、ランドサット7号のデータ配給システムが地球観測システム・データ及び情報システムと両立することを確保する。
(b) 更に、ランドサット7号のデータ政策は、次の措置を講ずることができる。
(1) 合衆国の民間部門の団体がランドサット7号のデータの合衆国における地上受信基地を運用すること。
(2) ランドサット7号の未処理のデータへの民間部門の団体による直接的なアクセスについてのその他の手段。
(3) 合衆国政府が画像毎の料金、免許料、又は地上受信局を運用し、若しくはランドサット7号のデータを配給する団体に対してその他の料金を課すること。
(c) ランドサット・データ政策計画
1994年7月15日以前に、ランドサット計画運営機構は、ランドサット7号のデータ政策計画を含む報告書を作成しかつ、議会に提出するものとする。この計画は、ランドサット7号のデータの取得、処理、配給及び記録保管並びにランドサット7号機の運用に関係する様々な公的部門及び民間部門の団体の役割及び責任を定めるものとする。
(d) 報告書
ランドサット計画運営機構は、(c)により要求されるランドサット7号のデータ政策計画の提出の後12カ月以内に、かつ、それ以後毎年、ランドサット7号の打上げまで、合衆国の関係政府機関との協議の上で、次のような報告書を準備し及び議会に提出する。
(1) 合衆国の民事上、国家安全保障上、商業上、及び外交政策上の必要の点からランドサット7号のデータ政策を正当化する。
(2) (a)に適合しないランドサット7号のデータ政策のいずれかの要素を正当化する。

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