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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第1条 略称

この法律は、「1992年のランドサット・リモートセンシング政策法」という。


第2条 認定

議会は以下のように認定し及び宣言する。
(1) 宇宙からのランド・リモートセンシング・データの継続的な収集及び利用は、地球環境への人間の影響を研究し及び理解し、地球の天然資源を管理し、国家の安全保障上の任務を遂行し、科学的、経済的、及び社会的重要性を有するその他の多くの活動を実施するにあたって重大な利益を有する。
(2) 連邦政府のランドサット・システムは、ランド・リモートセンシング技術における世界の指導国としての合衆国の地位を確立した。
(3) 合衆国の国益は、衛星によるランド・リモートセンシングにおける国際的なリーダーシップを保持し、かつ、リモートセンシング・データの有益な利用を幅広く促進することにある。
(4) ランドサット・データの価格は、当該データを、地球の環境変化の研究、その他の公共部門の応用のような科学的目的のために利用することを妨げた。
(5) ランドサット計画の合衆国にとっての重要性にかんがみて、迅速な調達手続を含む緊急措置がデータの継続性を確保するために必要とされる。
(6) ランドサット計画の完全な商業化は、予見可能な将来に達成することはできないのであり、従って、ランド・リモートセンシングに関する国家政策の短期目標として利用するべきではない。ただし、ランド・リモートセンシングの商業化は引き続き合衆国の政策の長期的な目標であることに変わりはない。
(7) ランドサット・システムの成功及び重要性にもかかわらず、過去何年かの資金調達及び組織上の曖昧さはその将来性を疑わせるものであり、またランド・リモートセンシングにおける合衆国のリーダーシップを危うくするものであった。
(8) 大統領は、ランドサット計画の重要性を認識し、国家的及び商業的目標に適合するように助長するにあたって、1992年2月11日に、国家宇宙会議により作成された国家宇宙政策指令を承認し、かつ、合衆国が21世紀までを含むランドサットの継続性を確保することを約束する。
(9) ランドサット・データが、特に、国家の安全保障及び地球環境の変化の研究の目的のために重要であるので、計画の運営責任は、商務省から国防省及び国家航空宇宙局を含む統合的な計画の運営機構に移行されるべきである。
(10) ランドサット計画の管理責任にかかわらず、リモートセンシングにおける国家の幅広い民事上、安全保障上、商業上、及び外交政策上の利益は、ランドサットがオープン・スカイ及び非差別的なアクセスの原則に従い運用される、機密扱いされない計画にとどまることを確保することにより最適に役立てられる。
(11) 衛星システムの大きさ及び重量の縮小を目的とする技術的進歩は、将来のランド・リモートセンシング・システムの価格の劇的な低減及びその能力の実質的な改良を可能にするが、この技術的な進歩は、ランド・リモートセンシングについては実証されておらず、従って、ランドサット計画のデータの継続性を達成する唯一の手段として当てにすることはできない。
(12) 高度なリモートセンシング技術を含む技術的な実証計画は、ランドサット7号に続く宇宙機が、合衆国政府により出資されるか、民間部門により出資されるか、又は国際的なコンソーシアムにより出資されるのかどうかを決定するのを助長しながら、このような宇宙機の設計を決定するにあたって死活的な役割を担う可能性がある。
(13) アメリカの公衆にとってのランドサット計画の価値を最大限にするために、ランドサット4〜6号の未処理のデータが、利用者の要求を満たす価格で、最低限、合衆国政府の機関、地球環境変化の研究者、及び合衆国政府により資金援助を得ているその他の研究者に提供されるべきであり、ランドサット7号の未処理のデータは、利用者の要求を満たす価格ですべての利用者に提供されるべきである。
(14) 合衆国は、未処理のデータ及び付加価値データの商業市場の発展を刺激するために、未処理のデータの配給及び付加価値業務についての民間部門の範囲内での競争を可能にする、ランドサット7号についてのデータ政策を採択すべきである。
(15) リモートセンシング・データに基づくリモートセンシング市場の発展及び商業的な付加価値業務の供給は専ら民間部門の役割にとどまる。
(16) 地球環境の変化の長期的な監視及び研究のためのランドサット、その他のランド・リモートセンシング・データの政府による恒久的、全般的な保管を継続することは、合衆国にとり最善の利益となる。


第3条 定義

この法律においては、以下の定義が適用される。
(1) 「長官(Administrator)」とは、国家航空宇宙局長官をいう。
(2) 「利用者の要求を満たす価格」とは、利用者の要求に応じた、供給製品の生産、複製、及び未処理のデータの配給に関連する増大経費をいい、かつ、合衆国政府により最初に払い込まれる資本資産の取得費、償却引当金又は減価償却費若しくは特に利用者の要求を満たすのに充当されないその他の経費を含まない。
(3) 「データの継続性」とは、利用者の観点から、次のような未処理のデータの継続的な取得及び入手可能性をいう。
(A) 地球的な及び地域的な変化を探知しかつ特性を把握するための比較を可能にするために、以前のランドサット「データに(捕捉幾何、サービスエリアの特性及びスペクトルの特性の点から)十分適合すること。
(B) 当該データ並びに当該データを受信し及び処理するために利用される方法と両立すること。
(4) 「データ処理」とは、次のものを含む。
(A) 利用者への引渡しの準備にあたって衛星から直接に受信されるランド・リモートセンシング・データにおけるシステム及びセンサーの歪みの偏位修正。
(B) 地球の地形に関するデータの位置合わせ。
(C) 当該データに関するスペクトル反応の校正(ただし、当該データから派生する結論、操作又は算定、若しくは当該データと他のデータの組合せを含まない。)
(5) 「ランド・リモートセンシング」とは、運用中の合衆国政府の気象衛星以外の、機密扱いされていない一又は複数の衛星からの地球表面の形状の画像に処理することができるデータの収集をいう。
(6) 「ランドサット計画の運営機構」とは、
(A) 第101条(a)に基づき、長官及び国防長官が設立し及び責任を有する、
(B) 国家航空宇宙局、国防省、及び大統領がランドサット計画につき責任を有するとして指名するその他の合衆国政府機関の関係公務員及び使用人で構成される、
統合計画運営構造をいう。
(7) 「ランドサット・システム」とは、合衆国政府によって所有される関連地上装備、システム、及び施設と共に、合衆国政府によって運用され、かつ、所有される、ランドサット1、2、3、4、5、6号、並びに、後続のランド・リモートセンシング・システムをいう。
(8) 「ランドサット6号の契約者」とは、ランドサット6号宇宙機について、宇宙機の製造、運用、及びデータを市場に供給する権利についての契約を与えられた民間部門の団体をいう。
(9) 「ランドサット7号」とは、ランドサット6号の後継衛星をいう。
(10) 「国立衛星ランド・リモートセンシング・データ保管所」とは、第502条に定める保管責任に基づき、内務長官により設置された保管所をいう。
(11) 「非商業的な目的」とは、未処理のデータを受信した上で、以下の条件に基づき個人又は団体により行われる活動をいう。
(A) 当該データは、商業的な契約のための入札、商業的な製品開発、利益を生み出すことが期待される又は利益を生み出す可能性のあるその他の合衆国政府以外の活動に関連して利用されるものではない。
(B) 当該活動の成果は、適時かつ完全な方法で、公開の技術論文において、又は、その他の公表の方法で発表される。ただし、合衆国政府又はその契約者によるこの発表が、合衆国の国家安全保障又は外交政策に有害な影響を与え若しくは法令に違反する場合を除く。
(C) 当該データは、ランドサット6号の契約者により提供される未処理のデータと競合して配給されるものではない。
(12) 「省長官(Secretary)」とは、商務長官をいう。
(13) 「未処理のデータ」とは、未処理の又はデータの再処理のみを必要とする、ランド・リモートセンシングの信号又は画像製品をいう。
(14) 「合衆国政府及びその関連利用者」とは、以下の者をいう。
(A) 合衆国政府機関。
(B) 合衆国地球変化研究計画及びそれに対応する国際的な計画に関係する研究者。
(C) 合衆国政府と非商業的な目的のためのランドサット・データ利用に関する協力協定に調印したその他の研究者及び国際的な団体。


第4条 1984年のランド・リモートセンシング商業化法の廃止

1994年のランド・リモートセンシング商業化法(15U.S.C.4201 et seq)は廃止する。

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