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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

附属書II 静止軌道への商業打上げ業務の価格設定のための比較要因

 双方の当事者は、国際的な市場における打上げ業務を比較し又は評価するための次の六つの要因に合意した。この要因によって、市場経済諸国の商業打上げ業務供給者に関連する特別な搭載物の打上げのために申し出られる価格の合法的な区別をしばしば説明することができる。
 各要因について、競争において適用される場合には、当該要因が顧客に対する最終的な価格に関して持ち得る影響を示す平均値の範囲に加えて、概要が与えられる。これらの価格の範囲は、国際的な商業打上げ業務市場に中国の打上げ供給者を含める契約の要因に関連する価値を示す。所定の比較要因に関連する特別な価値は、特定の事例について次に議論される範囲より高いか又は低い可能性がある。この価値は、当該事例における実際上の状況の検討の後に、明確に確定し得る場合に、利用することができる。
 各要因の範囲は、年次協議の期間中、これらが変化したかどうかを決定するために評価されるものとする。
予定軌道: 打上げ業務供給者及び近地点キック・モーター(PKM)の供給者にとっての投入軌道に基づく。
解決: 双方の当事者が、PKMの購入を含む、顧客による最近の契約が、PKMのみの購入について6〜700万米ドル(USD)の追加経費になったことに同意した。搭載物及びPKMについての統合及び危険管理費は、適当な場合には、この要因に含まれる。搭載物及び打上げ機並びにPKM及び打上げ機についての統合及び危険管理費が存在する限度で、これらの経費は、既に「追加経費」及び次に議論される危険管理要因に含まれている。若干の場合には、この要因はまた、地球低軌道への投入よりむしろ静止遷移軌道への投入を顧客が好むことを表す一定の割引率を反映している。
危機管理: 顧客の保険価格における潜在的な相違(及び政治的な危険に関する保険のような、異なる危機管理の形式)を扱う。
解決: 双方の当事者は、中国の打上げ機の基本的な危険管理保険の率が、問題となる特定の打上げ機によって、市場経済諸国の打上げ機の当該保険率より1%から4%以上高い可能性がある(相対的な比率もまた、打上げ機の最近の性能に基づき大きく異なる可能性がある。)ということに同意した。ただし、この比率の差異は、結果的に、打上げ業務の価格及び衛星の価格の差異による、著しく異なる顧客の絶対的割増料金になることはない。適当な場合には、(打上げ機の特性が異なることに加えて)政治的な危険のような要因をこの算定において考慮することができる。
追加経費: 統合経費は、異なる種類の搭載物及び打上げ機、及び/又はPKM/打上げ機統合経費、並びにミッション・ソフトウエア及びハードウエア変更経費を扱う。打上げ支援経費は、別途輸送費、安全経費、別途装備、及び人員支援を含む。
解決: 双方の当事者は、この要因の総経費が4〜600万ドルの間であるということに同意した。
打上げ機の打上げ能力: 同等の性能を提供する等級の打上げ機との比較を確保する。
解決: 双方の当事者は、打上げ機の価格が一の等級の能力と次の等級の能力とでは異なっているために、打上げ能力が、時に、比較要因として適用することができるということに同意する。
支払条件: 様々な支払及び財政上の条件又は誘因に関係する。
解決: この事項は、顧客の財政状態に係る経済的な側面に集中する。顧客が現金が潤沢である場合には、より低い総計費が決定的となる。他方、打上げ供給者が有利な信用条件を提供することができるということは、有利な支払予定が立てられるので、顧客が信用制限を有する場合により重要となり得る。有利な信用条件が不可能な場合には、変更のきく支払予定が未だ強力な誘因となり得る。双方の当事者は、どちらも信用を供与することができるので、適当な場合には、支払条件を比較要因と見做すべきであることに同意した。
寿命: 打上げ業務から生ずる異なる衛星の寿命の影響を扱う。
解決: 双方は、中国の打上げ機を使用することにより、若干の場合には、衛星寿命に影響し得ないけれども、結果的に、市場経済諸国の打上げ機での打上げより1〜2年半短い衛星寿命になる可能性があるということに同意する。予定(又は希望)衛星寿命、トランスポンダー毎の価格、トランスポンダーの数等のような要因の評価もまた考慮しなければならない。

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