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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

補足規定

 1993年9月2日にワシントンで署名された「商業打上げ業務の国際的な貿易に関する合衆国政府及びロシア連邦政府の間の協定」は、以下のように修正される。

1.修正第1条第10項は次のとおりである。

第1条 定義

10.「低軌道」とは、静止軌道又は静止遷移軌道より下の軌道をいう。


2.修正第4、5、7及び8条は次のとおりである。

第4条 数量制限

1. ロシアの宇宙打上げ業務供給者は、この協定の存続期間中、(インマルサットの3機の衛星に加えて)15機までの主たる搭載物の静止地球軌道又は静止遷移軌道への打上げのために商業宇宙打上げ業務を提供するため国際的な顧客と契約を締結することができる。ロシア連邦は、ロシアの宇宙打上げ業務供給者による契約を2年の期間内に均衡して配分するよう確保するために最善の努力を払うものとする。失敗した打上げを含む、国際的に競争的な商業打上げの平均年間総数が1996年から1998年までの3年間にわたって24回又はそれ以上になる場合、又は、両当事者が、相互の合意により、平均年間総数が24回又はそれ以上の国際的に競争的な商業打上げが当該3年の期間中に行われることを当該打上げについての誓約が示していると結論する場合には、この割当数量は、(インマルサットの3機の衛星に加えて)17機に引き上げられる。失敗した打上げを含む、国際的に競争的な商業打上げの平均年間総数が1996年から1999年までの4年間ににわたって24回又はそれ以上である場合、又は、当事者が、相互の合意により、平均年間総数が24回又はそれ以上の国際的に競争的な商業打上げが当該4年の期間中に行われることを当該打上げの誓約が示していると結論する場合には、この割当数量は、(インマルサットの3機の衛星に加えて)19機に引き上げられる。
2. 主たる搭載物の静止地球軌道又は静止遷移軌道への4回の打上げまでは、単一の打上げ機に2機の搭載物を搭載することからなることがある。当事者は、共同で、この各打上げを事例毎に評価し、国際的な商業宇宙打上げ市場における現状を考慮して、相互の合意により、当該打上げを第4条1の適用上、単一の主たる搭載物として処理する旨決定することができる。
3. ロシアの宇宙打上げ業務供給者は、この協定の期間中、イリジウム・システムのための低地球軌道への3回の衛星の打上げまで、商業宇宙打上げ業務を提供するための契約を締結することができる。
4. 双方の当事者は、単一の打上げであり、衛星群の最初の展開の一部をなすものではない、低地球軌道への商業宇宙打上げ業務へのロシアの参加が市場の通常の機能を混乱させるものではないことに同意する。合衆国は、この低地球軌道市場部門へのロシアの参加の効果又は潜在的な効果の評価にあたって、特に、この市場へのロシア及び合衆国の全体的な参加の程度及び増大を指針とする。他方の当事者がこの協定に基づくその誓約に適合しない方法でこの市場に参加している又は参加することがあるといずれか一方の当事者が信ずる場合には、両当事者は、この協定の第7条2に基づき定められる協議に従い、当該状況の事実を確かめるために会合し、かつ、適切な是正措置を講ずるものとする。
5. 合衆国は、この協定の存続期間中に衛星群を低地球軌道上に展開する提案について、ロシア、合衆国、及び第三国の商業宇宙打上げ業務供給者による低地球軌道市場部門の開発への参加の程度の点から、この協定に基づくロシアの誓約に関連する当該部門へのロシアの参加の効果又は潜在的効果を評価するものとする。合衆国は、特に、自国が、(搭載物の配分に従って考量される)二国間商業宇宙打上げ業務協定を締結した国の商業宇宙打上げ業務供給者によるいずれか単一の低地球軌道通信衛星群の展開への参加の全体的な水準が市場経済諸国の商業宇宙打上げ業務供給者の参加より高いかどうか検討する。以下の要因もまた、特に、勘案される。
a. 打上げ予定の要求及び展開又は運用上の要求を満たすための打上げ機の選定を最も効果的にする必要。
b. これらの要求を満たすために競争的に価格設定される市場経済諸国の打上げの入手可能性。
c. 他の当事国に提供される代替市場への参加の機会。
d. 商業的な危険の分担に関する企図されたシステム運用者による合理的な考慮。
e. 顧客の要求。
いずれの一方の当事者も、他方の当事者がこの協定に基づく自国の誓約に適合しない方法で低地球軌道衛星群の市場に参加している又は参加することがあると信ずる場合には、両当事者は、この協定の第7条2に基づき定められる協議に従い、当該状況の事実を確め、かつ、適切な是正措置を講ずるために会合する。商業宇宙打上げ業務の需要を基本的に変更する商業的に実行可能な衛星業務のプロジェクトは、本項の基準の削除に有利な再検討を正当化する事態のうちに含まれる。
6. 第7条1に基づく協議の過程で、両当事者は、競争的な比較可能な商業宇宙打上げ業務が存在する商業的な弾道軌道への打上げについてのロシアの宇宙打上げ業務供給者による提案を共同で事例毎に検討し、かつ、相互の合意により、この提案に関して決定するものとする。


第5条 価格設定

1. ロシアの宇宙打上げ業務供給者により国際的な顧客に対し申し出られ又は提供される、価格を含む、商業宇宙打上げ業務の契約上の条件は、合衆国を含む市場経済諸国の比較可能な商業宇宙打上げ業務供給者の、価格を含む、条件に比較し得るものとする。
2. ロシアの宇宙打上げ業務供給者による入札、申込又は契約が第4条1及び2に掲げる商業宇宙打上げ業務を提供するための合衆国を含む市場経済諸国の商業宇宙打上げ業務供給者による入札、申込又は契約を下回る率が15%以下である場合には、反対の情報が与えられない限り、当該入札、申込、又は契約は1に適合しており、いかなる協議も必要としないと推定されるものとする。ロシアの宇宙打上げ業務供給者による入札、申込、又は契約が合衆国を含む市場経済諸国の商業宇宙打上げ業務供給者による入札、申込又は契約を下回る率が15%以上の場合には、合衆国は、この協定の附属書に掲げる比較可能な要因を考慮した後に、第7条2に基づく特別な協議を要請することができる。


第7条 協議

1. 両当事者は、毎年、この協定の履行及び商業宇宙打上げ業務における市場の発展を再検討し、かつ、審理するための定期的な協議を開催するものとする。
2. 更に、各当事者は、他方の当事者による要請のあった後30日以内に、特別な関心を有する事項を審議するための特別な協議を行うことを約束する。特に、特別な協議は、ロシアが第4条1に定める制限に達した場合には、所要の打上げ期間中(一般的に、選択された打上げ期日の前後3カ月以内)に積荷が満載のため又は打上げの失敗のために西側の打上げが入手できない状況を再検討するために開催される。合衆国は、自国の満足のいくように、上記に掲げる状況が存在することを立証する情報が提供される場合には、打上げのため打上げ機搭載目録への衛星の記載を許可するために、第4条1に基づいて定められる提供可能な打上げに関する割当数量を引き上げることができる。
3. どちらか一方の当事者が、本条に基づき定める協議の後に、他方の当事者がこの協定の規定に違反したと決定する場合には、各当事者は、自国の国内法令に基づいて認められる措置を講ずる権利を留保する。
4. 両当事者は、本条1に定める年次再検討の過程で、商業宇宙打上げ業務の市場が予想していた以上に順調に発展してきたことに合意し、かつ、各当事者が他方の当事者がこの協定の条件に従っていることに満足する場合には、この協定の第4条に定める割当数量を両当事者の文書による合意により引き上げることができる。
5. 両当事者は、国際的な顧客のための商業宇宙打上げ業務の価格、条件への市場原理の適用に係る共通の了解に向けて作業することに合意する。


第8条 情報の交換

1. 合衆国及びロシアは、第7条に基づく年次協議を容易にするために、次のとおり情報を交換することに同意する。
a. 合衆国は、毎年、当該協議に先立ち、自国が商業宇宙打上げ業務の国際的な市場において通常行われている価格、条件に関して有する公表可能な情報をロシアに提供するものとする。ロシアは、合衆国が国際的な価格、条件に関する追加の公表可能な情報を提供することを要求し、更に、国際的な市場において通常行われている条件、将来的に起こり得る発展、並びに、政府支援又は誘因に関する合衆国の見解を要求することができる。合衆国は、30日以内にこの要求に応じるものとする。合衆国は、当該情報が商業上の秘密であるために直接的に提供することができない場合には、要約した形でこれらの情報を提供するものとする。
b. ロシアは、当該協議に先立ち、衛星打上げのためのロシアの宇宙打上げ業務供給者により申し出られる価格、条件に関して合衆国に包括的な情報を提供する。合衆国は、ロシアの宇宙打上げ業務供給者により申し出られる価格、条件、及び、政府の支援又は誘因に関して追加の情報を要求することができる。ロシアは、30日以内に当該要求に応ずるものとする。ロシアは、当該情報が商業上の秘密であるために直接的に提供することができない場合には、要約した形で当該情報を提供するものとする。
c. 合衆国及びロシアは、a及びbに基づき相互に受領するすべての情報の秘密を保持し、他方の当事者の文書による同意なしに、当該情報をいずれか他の政府又は民間人に提供してはならない。
d. 合衆国及びロシアはまた、毎年、年次協議に先立ち、自国の宇宙打上げ業務供給者が国際的な顧客に商業宇宙打上げ業務を提供する約束をした誓約に関する強固な基礎に立った情報を提供する。この情報は公に提供することができる。
2. ロシアは、この協定の条件に従う国際的な顧客のための衛星打上げが予定通りに行われない場合には、可能な限り迅速に、この協定の履行に影響する打上げ予定の重要な変更及び当該打上げの新たな日時に関して、合衆国に通告するものとする。
3. 以下の附属書を付する。

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