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![]() ![]() 「はくちょう座X-1」のようなブラックホールは、星の最期として理解できます。では太陽の100万倍から1億倍もの質量のブラックホールは、どうやってできたのか、それは20年以上の間の謎でした。最近、その謎を解く手がかりが見えてきました。それが「中質量ブラックホール」というものです。 ![]() これら点状のX線源のうち、もっとも明るい10個ほどは、「はくちょう座X-1」より数十倍ないし数百倍も多くのエネルギーをX線として放出しています。私たちはこれらの天体を、ULX (超大光度X線源) と呼ぶことにしました。我々の銀河系のように、ULXのいない銀河もあれば、M83のようにULXが10個ぐらい見られる銀河もあり、どうやら星の形成がさかんな銀河ほど、ULXの個数が多いようです。 いくつかのULXを「あすか」で観測してみると、X線スペクトルなどの性質が、「はくちょう座X-1」やその同類のものと、たいへんよく似ていることが判明しました。よってULXは、「はくちょう座X-1」と同じメカニズムでX線を出す「ブラックホール連星」と考えられますが、それより大幅に明るいわけです。では「はくちょう座X-1」にもっと多くのガスを注入すればULXになるかというと、そうはいきません。なぜなら出てくるX線のもつ圧力(放射圧)によってガスが落下できなくなる結果、ブラックホールはある限界より以上には明るく輝くことができないからです。この限界は、ブラックホールの質量に比例しているので、太陽のおよそ10倍の質量をもつ「はくちょう座X-1」は、どうやってもULXにはなれず、かわりに太陽の数十倍から数百倍の重さをもつブラックホールが必要になります。 こうしてULXは、「はくちょう座X-1」のような小ぶりのブラックホールと、銀河の中心にある巨大なブラックホールをつなぐような、「中質量ブラックホール」であると考えられるようになりました。私たちは、小ぶりのブラックホールが星やガスをのみ込んでULX のような中質量ブラックホールになり、それらが銀河の中心に向かって沈み込み、そこでさらに相互に合体してどんどん大きくなっていき、やがて1個の巨大なブラックホールが形成されるのではないかと考えています。 |
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