 |
 |

このように長年の研究を通じ、宇宙にはさまざまな質量のブラックホールが、いろいろな場所に存在するということがわかってきました。それをまとめたのがこの図です。横軸は太陽系からの距離で、便宜的に、我々の銀河、近くの銀河系、遠くの宇宙、遠方(すなわち初期)の宇宙、という4つの領域に分けてありますが、これは宇宙が生まれてからの時間といってもよいわけです。縦軸は、太陽を単位としたブラックホールの質量です。
1990年代のなかば以前には、二種類のブラックホールしか知られていませんでした。一方は太陽の10倍ほどの質量をもつ「はくちょう座X-1」のようなタイプ、他方は銀河の中心にある巨大なブラックホールです。日の丸が立っているのは、小田先生の功績を讃えたものです。
1995年ごろになると、我々の近くにある一見すると普通の銀河も、中心に巨大ブラックホールを擁していることがわかってきました。その中でも、国立天文台の三好真さん、中井直正さん、井上允さんらの功績は、特筆すべきでしょう。さらに先ほどM83銀河のX線写真を例にとってお話ししたように、近傍の銀河の中にも「はくちょう座X-1」型のブラックホールが観測できるようになり、中質量のブラックホールもあるらしいことがわかってきました。さらに宇宙の遠方では、星がつぶれてブラックホールになる際、ガンマ線バーストが起きると考えられます。
このように、宇宙にはさまざまな質量のブラックホールがあり、それらは宇宙の進化にとても重大な役割をはたしているらしい、ということがわかってきました。これがブラックホール研究の最新の現場です。
[2004年2月27日東京国際交流館]
|
 |

 |
|
 |
 |