国連食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画(UNEP)という3つの国連機関には、それぞれ特定国の森林伐採や劣化による放出削減を支持するプログラムがありました。国連事務局長より、「この3機関が一体となって結果を出していくように」と命じられましたので、この共通の目標を持った3機関の活動を調整するためにUN-REDDが創設されたのです。また、UN-REDDには資金を管理する役目もあり、UN-REDD設立当初にノルウェー政府が寄贈した寄付金をはじめ、資金を受理・保管し、計画に従って効果的に各機関に分配します。 Q. UN-REDDにとって、地球規模炭素観測分析システムや森林炭素収支観測のようなGEOのプログラムは、どのような点で役立つのでしょうか? 地球上の森林は、二酸化炭素の吸収源のひとつです。森林の炭素吸収能力についてできる限り多くの情報を得る必要があります。事務局と各国の代表団は、このような情報を考慮にいれて、世界中の森林を管理する政策的な枠組みを合意、構築していきたいと思います。
工業国全体でみると、1990年の排出量から平均5.2%削減しました。実際には、2012年末までに京都議定書の削減目標を全体(全世界)としては達成することができるでしょう。しかし、京都議定書の目標に力を注いだとしても、地球温暖化に歯止めをかけることができないのは明らかです。今後も工業国がより一層、温室効果ガスの削減に力を注いでいく必要があります。 Q. 日本政府とJAXAに期待することは何でしょうか? 政策立案者が賢明な結論を下せるようにするためには、科学的な情報を提供していく必要があります。そういう意味で、UNFCCCに加わってくださった日本政府とJAXAには本当に感謝しています。日本政府とJAXAには、引き続きこのプロジェクトに対してご尽力・ご支援いただき、UNFCCCと世界の政策担当者に全地球規模の炭素循環に関する科学的情報を提供していただきたいと願っています。
クリスティアナ・フィゲレス(Christiana Figueres)
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)社会文化人類学修士課程修了。1982年、駐独コスタリカ大使館公使参事官。1987年、コスタリカ計画省国際協力局長。1995年より気候変動問題に携わり、2007年には、京都議定書に基づいて創設されたクリーン開発メカニズム(CDM)理事会でラテンアメリカ・カリブ代表を務める。2008年、国連気候変動枠組条約ビューロー副議長。その他、民間企業の気候変動に関するアドバイザー等を歴任。2010年5月より現職。