宇宙法 TOP
目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

(7) レイモンド・フィル・スミス社他対ロッキード社
(米国、カリフォルニア第4地方区控訴裁判所、1967年1月17日)

 控訴人は、その訴訟における訴訟却下の判決の時から、被告(訳者注:ロッキード社)が、アメリカ合衆国との契約に基づき、隣接した土地において行ったロケット固定噴射テストによって生じた振動に起因すると主張する彼らの不動産に対する損害を補償するよう訴えている。告訴は、不作為及び厳格責任の理論により構成されている。…

 控訴人は、厳格責任の問題については、ロッキード社は高度の危険性を持つ活動に従事しており、従って過失に関わりなく責任を負うと主張する。…

 不法行為に関するリステートメント第520条は、高度に危険な活動を次のように定義する。『活動は、それが、人、土地又は他人の動産に対して、最大限の注意を行使することによっても排除できない深刻な被害を及ぼす危険性を必然的に含む場合及び通常の使用事項ではない場合』には、高度の危険性を有する。
カリフォルニア州は、明白にこのリステートメントの定義を受容している…

 ある行為が高度に危険であるかどうかは、裁判所によって決定されるべき法律問題である(Luthringer v.Moore,31 Cal.2d,at page 496,190P.2d 1;Beck v.Bel Air Properties, Inc.,134 Cal.App.2d at page 842,286P.2d 503;Rest.,Torts,§520,commenth)。

 我々の意見では、被告の行為は高度に危険な活動と分類されなくてはならない。その固体燃料ロケット・エンジンはその時点までにテストされた最も大型のものであった。かかる装置の点火試験は一般に行われることではない。ロッキード社がその目的のために9,100エーカーを取得することが必要であると認識した事実、及び、一度は原告に彼らの財産が試験実施のためには必要であると述べている事実は、適切な注意にもかかわらず、その実施に固有の危険をロッキード社が認めていたことの証拠となる。これらの状況下においては公共政策は厳格責任を要求する(Luthringer v.Moore,31 Cal.2d,489,500,190p.2d 1;Rest.,Torts,§520)。理由においても判決においても善意無過失の隣接土地所有者に損失負担を要求する根拠は存在しない。

 被告は、利益を追求する企業体として、公衆が最終的に受認できるように損失を処理することができる最適な立場にある。プロッサー教授は厳格責任を課すための理由を次のように要約している。『問題は複雑で危険な文明化に対して課せられる、多少なりとも回避できない損失配分の一つとして取り扱われる。
そして賠償責任は、それを最適に負担することのできる当事者に課せられる』(Prosser, Law of Torts, (2d ed.1955)page 318)。

 我々の前にある厳正な事実、つまり、ロケット・エンジンの試験は高度に危険な活動を構成するという事実は、公正に考慮されて、今回の事件に明らかに類似する事実関係を有するBerg v. Reaction Motor Div.,(1962)37N.J.396,181A.2d 487においては肯定的に答えられた。
BACK English