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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

(1) 欧州宇宙機関憲章(1972年)

1. 欧州宇宙会議における欧州宇宙機関に関する決議(抄訳、1972年12月20日採択)

第1決議 欧州宇宙機関の事実上の活動

 会議は、
 欧州宇宙研究機構(ESRO)の理事会及び欧州ロケット開発機構(ELDO)の理事会における加盟国の代表に対して、最終議定書の署名の次の日から共同で会合することを勧告する。当該代表は、従って、欧州宇宙機関理事会の創設に先立って行動する。
 機関が、前述の日から事実上機能することができるように、ESRO設立条約及びELDO設立条約の適用にあたって、欧州宇宙機関設立条約の規定が、可能な限り考慮されることを勧告する。
 フランス政府に対して、寄託政府として、条約の効力発生後1カ月以内に、欧州宇宙機関の理事会の第1会期を召集するために必要なすべての措置を講ずるように勧誘する。


第2決議 ESROの権利及び義務の引き継ぎ

 会議は、
 一方で欧州宇宙機関設立条約第19条によって、同機関が、ESRO及びELDOの権利及び義務の全体を引
き継ぐこと、及び他方でESROの計画の現在実施中の精算が継続することを考慮して、
 共同で会合し、かつ欧州宇宙機関理事会の設立に先立って行動するESRO及びELDOの両理事会に対して、可能な限り迅速に、かつ、いずれにしても欧州宇宙機関設立条約の効力発生前に、同機関の活動及び計画に利用することができるELDOの権利及び義務の詳細な財産目録を検討することを勧告する。ESRO理事会は、欧州宇宙機関設立条約の効力発生まで、同機関の名において活動を行うために、これらの権利及び義務を引き継ぐ。
 ESROは、上記に定められた詳細な財産目録に含まれないELDOの権利及び義務を継承しないこと、並びに欧州宇宙機関の加盟国は、ELDOの加盟国として、欧州宇宙機関設立条約の効力発生の際にこれらについての責任を負い、これらに起因するすべての費用を負担する。


第3決議 欧州宇宙機関の補助機関

 会議は、
 欧州宇宙機関の理事会に与えられた任務の重要性は、当該理事会が相当数の分野において補助機関により補佐されることを想定することを確認し、
 これらの機関による理事会の補佐は、とりわけ計画の経済的、財政的な面の観点からは、特に行・財政の分野において、及び基礎的な活動、科学的な計画並びに産業政策の分野において行われなければならないことを考慮し、
 理事会が欧州宇宙機関設立条約に定める科学計画委員会に加えて、所要の補助委員会を設立することを勧誘し、
 実施中の選択計画につき権限を有する計画管理理事会が存在するが、条約は将来の選択計画についてこのような計画管理理事会の創設を課していないことに留意し、
 理事会及び実施中の選択計画の参加国が共同で近日中にこれらの計画の管理方式における望ましい変更―これらの変更は、条約の精神及び参加諸国が効力を有する取極に基づいて有する権利に適合しなければならない―を検討するように勧誘する。
 理事会は、特に利用者の利益を考慮して、将来の選択計画の管理のための適切な方式を定めなければならないことを考慮する。


第4決議 欧州宇宙機関の選択計画

 会議は、
 加盟国によって実施中の選択計画に対して現在与えられている支援の程度を満足をもって銘記し、
 欧州宇宙機関の存続の可能性が選択的計画全体への大幅な参加の維持を前提とすると考え、
 ESRO理事会で1971年12月に実現された計画に関する合意を再検討しないという加盟国の意志に留意し、
 従って、政府に対して、欧州宇宙機関がその存続可能性を確保するために十分な数の選択計画を開始するように配慮し、かつ、可能な限り多くの加盟国が各計画の財政を確保するように配慮することを勧告する。


第5決議 応用計画

 会議は、
 適当なシステムの実現によって、欧州に対して宇宙実用市場における自己の地位を得させようという意志を確認し、
 欧州宇宙機関の計画が、利用者が容認できかつ利用者が活用する運用システムの実現を容易にしなければならないことを考慮し、
 この目的を達成するために必要な機関を適当な時期に設立するための利用者間での協議の必要性を認識し、
 欧州宇宙機関に対して同機関が開発する生産物の定義段階に入ると同時に、宇宙応用政策の成功の条件を作り出すために、利用者との必要な協議を組織することを勧誘する。


第6決議 打上げ機その他の宇宙輸送システム

 会議は、
 欧州宇宙機関が1972年12月20日に行ったアリアン計画及びスペースラブ計画を開始する決定を想起し、
 加盟国が、この事実によって、これらの打上げ機及び宇宙輸送システムの開発のための重要な投資を行ったことを考慮し、
 加盟国が欧州宇宙研究機構及び欧州宇宙機関の計画の枠内で開発された製品に対して優先権を与えること及びその利用を促進することに合意することを確認し、
 従って、欧州宇宙機関が、同機関設立条約第8条の規定に基づいて、その任務を理解し、欧州の既存の打上げ機その他の宇宙輸送システムの最も広範な利用を確保するように、同機関が実現する衛星その他の宇宙システムの技術的な特性を定義するよう努力することを勧告する。


第7決議 加盟国の潜在能力及び設備の利用

 欧州宇宙機関により開発される又はその所有物たる潜在能力及び設備を優先的に利用する必要性、並びに欧州における過剰な設備の創設を避ける必要性を考慮し、
 機関が必要な場合には、加盟国の潜在能力及び設備を利用することを―この利用を正当化する経済的考慮を条件として―勧誘する。
 機関の活動又は計画がこれらの潜在能力及び設備を必要とする場合に、そこから生ずる経費は(当該経費の構成及びその計算方法は参加国により事例毎に決定される。)機関の関係予算に計上されることを認め、
 機関が適切な措置を講ずるよう勧誘する。


第10決議 欧州評議会との関係

 会議は、
 欧州評議会によって表明された、ESRO及びELDOとの間に存在した関係を継続するために、欧州宇宙機関と関係を樹立する希望に留意し、
 欧州宇宙機関の理事会に、通知のために欧州宇宙機関の年次報告を、欧州評議会に対して送付することを勧告する。

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