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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

附属書 条約第31条及び運用協定第16条に規定する紛争の解決手続

第1条 条約第31条又は運用協定第16条の規定に基づいて仲裁に付される紛争は、3人の仲裁人からなる仲裁裁判所が取り扱うものとする。
第2条 紛争を仲裁に付託することを希望する申立人又は申立人の集団は、各相手方及び事務局に対し次の事項を記載した書面を提出する。
(a) 紛争についての詳細な記述、各相手方が仲裁に参加することを必要とする理由及び求める措置。
(b) 紛争の対象である事項が仲裁裁判所の権限内に入る理由及び仲裁裁判所が申立人に有利に決定する場合には、求める措置を認めることができる理由。
(c) 申立人が交渉により又は仲裁以外の手段によって紛争を解決することができなかった理由についての説明。
(d) 当事者の合意又は同意のあることが仲裁を行うための条件となる場合には、その合意又は同意の証明。
(e) 申立人が仲裁人として指名する1人の者の氏名。 事務局は、各締約国及び各署名当事者に、当該文書の写しをすみやかに配付する。
第3条
(1) 相手方は、全ての相手方が前条の文書の写しを受領した日から60日以内に、仲裁人として1人の者を共同で指名するものとする。この期間内に各相手方は、単独で又は共同して、各当事者及び事務局に対し、前条に定める文書に対する単独又は共同の答弁(当該紛争の対象である事項から生ずるいずれの反対請求をも含む。)を書面によって提出することができる。
(2) 2人の仲裁人が指名された後30日以内に、これらの仲裁人は、第三の仲裁人を合意によって選定する。第三の仲裁人は、いずれかの当事者と同じ国籍を有しておらず、いずれかの当事者と同じ領域内に居住しておらず、かついずれの当事者にも役務を提供していない者でなければならない。
(3) いずれか一方の当事者が所定の期間内に仲裁人を指名しない場合、又は第三の仲裁人が所定の期間内に任命されない場合には、国際司法裁判所長(所長が職務を遂行することができない場合又はいずれかの当事者と同一の国籍を有する場合には次長。次長が職務を遂行することができない場合又はいずれかの当事者と同じ国籍を有する場合には、いずれの当事者とも同じ国籍を持たない先任の裁判官。)は、いずれか一方の当事者の要請により、場合に応じて1人又は複数の仲裁人を任命することができる。
(4) 第三の仲裁人は、仲裁裁判所の長として行動する。
(5) 仲裁裁判所は、その長が選定された時に構成される。
第4条
(1) 仲裁裁判所に空席が生じた場合には、その理由が当該紛争当事者の意志とは無関係である又は仲裁手続の適正な実施に反しないものであると仲裁裁判所長その他の仲裁人が認めるときは、その空席は、次の規定に従って補充されるものとする。
(a) 空席が、いずれか一方の当事者によって任命された仲裁人が退職した結果生じた場合には、当該一方の当事者は、空席が生じた後10日以内に後任者を選定する。
(b) 空席が、仲裁裁判所長が退職した結果、又は前条(3)の規定に従って任命された仲裁人が退職した結果生じた場合には、後任者は、それぞれ同条(2)又は(3)に定める方法によって選定される。
(2) 空席が、その他の理由によって生じた場合、又は(1)に規定する理由によって生じた空席が補充されない場合には、残りの仲裁人は、第1条の規定にかかわらず、いずれか一方の当事者の要請により、仲裁手続を継続し及び仲裁裁判所の最終決定を行う権限を有する。
第5条
(1) 仲裁裁判所は開廷の期日及び場所を決定する。
(2) 仲裁手続は非公開とし、仲裁裁判所に提出されるすべての資料は秘密とする。ただし、機構及び仲裁手続の当事者である署名当事者を指定した締約国は出席する権利を有するものとし、提出された資料を入手することができる。機構が仲裁手続の当事者である場合には、すべての締約国及び署名当事者は出席する権利を有するものとし、提出された資料を入手することができる。
(3) 仲裁裁判所は、その権限について争いがある場合には、最初にその問題を取り扱う。
(4) 仲裁手続は書面によって行う。各当事者は、事実及び法に係わる自己の主張を裏づける証拠を、書面によって提出する権利を有する。ただし、仲裁裁判所が適当と認めるときは、口頭で陳述及び証言を行うことができる。
(5) 仲裁手続は、申立人が自己の主張、証拠によって裏付けされる関係事実及び援用される法の原則を含む申立を行うことによって開始される。その申立に対して相手方の反対申立が行われる。申立人は、相手方の反対申立に対して答弁を行うことができるものとし、相手方は再答弁を行うことができる。その後の陳述は、仲裁裁判所が必要であると決定した場合に限り行うことができる。
(6) 仲裁裁判所は、紛争の対象である事項から直接に生ずる反対請求を審理しかつ決定する。ただし、その反対請求が、条約第31条及び運用協定第16条に規定する仲裁裁判所の権限内にある場合に限る。
(7) 当事者が、仲裁手続の期間中に合意に達した場合には、当該合意は、当事者の同意による仲裁裁判所の決定の形式で記録する。
(8) 仲裁裁判所は、紛争が条約第31条及び運用協定第16条に規定する自己の権限外のものであると決定する場合には、仲裁手続の期間中いつでも、仲裁手続を終了させることができる。
(9) 仲裁裁判所の評議は秘密とする。
(10) 仲裁裁判所の決定は書面によって行うものとし、その書面には決定の理由を付する。当該決定は2人以上の仲裁人によって支持されなければならない。当該決定に同意しない仲裁人は、書面をもって個別意見を提出することができる。
(11) 仲裁裁判所は、その決定を事務局に送付するものとし、事務局はすべての締約国及び署名当事者に対し当該決定を配付する。
(12) 仲裁裁判所は、仲裁手続に適切でありかつこの附属書に規定する手続規則に合致する追加の手続規則を採択することができる。
第6条 一方の紛争当事者がその立場を表明しない場合には、他方の当事者は、仲裁裁判所に対し自己の申立に基づいて決定するよう求めることができる。仲裁裁判所は、その決定に先立ち、自己が権限を有すること並びに当該他方の当事者の立場が事実上及び法律上十分な根拠を有することを確認する。
第7条
(1) 紛争当事者である署名当事者を指定した締約国は、仲裁手続に参加し、追加の当事者となる権利を有する。参加は、仲裁裁判所及び他の当事者に対する書面による通告によって行う。
(2) いずれの他の締約国若しくは署名当事者又は機構は、仲裁裁判所に対し仲裁手続に参加し、かつ追加の当事者となるための許可を申請することができる。仲裁裁判所は、申請者が当該紛争に実質的な利害関係を有すると決定する場合には、その申請を承認する。
第8条 仲裁裁判所は、紛争当事者の要請により又は職権により、自己を補佐する専門家を任命することができる。
第9条 各締約国、各署名当事者及び機構は、紛争当事者の要請により又は職権により、仲裁裁判所が紛争の処理及び解決に必要であると決定するすべての情報を提供する。
第10条 仲裁裁判所は、最終決定までの間、各紛争当事者の権利を保全するために必要と認める暫定措置を指示することができる。
第11条
(1) 仲裁裁判所の決定は、国際法に従って行われるものとし、また(a)条約及び運用協定並びに(b)一般に認められた法の原則に基づくものとする。
(2) 仲裁裁判所の決定(第5条(7)の規定に基づく紛争当事者の合意によるものを含む。)は、すべての当事者を拘束し、すべての当事者は決定を誠実に履行する。機構が当事者である場合には、機構のいずれかの機関の決定が条約及び運用協定によって認められず又はそれらに適合しないという理由により無効であると仲裁裁判所が決定する時は、その仲裁裁判所の決定は、すべての締約国及び署名当事者を拘束する。
(3) 仲裁裁判所の決定の意味、又は範囲に関して紛争が生じた場合には、当該仲裁裁判所が、いずれかの紛争当事者の要請によりその決定を解釈する。
第12条 仲裁裁判所が、紛争の特殊な事情により別段の決定を行わない限り、仲裁裁判所の費用(仲裁人の報酬を含む。)は、双方の当事者が均等に分担する。一方の当事者が二以上の当事者からなる場合には、仲裁裁判所は、当該一方の当事者の分担額を当該二以上の当事者の間で割り当てる。機構が当事者である場合には、仲裁に係わる機構の費用は、機構の事務費とみなす。

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