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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

附属書C  協定第18条及び運用協定第20条に規定する紛争の解決手続に関する規定

第1条 この附属書による仲裁手続の当事者は、協定第18条及び運用協定第20条並びに運用協定の附属書に規定する当事者に限る。
第2条 この附属書の規定に従って正当に構成される3人の仲裁人からなる仲裁裁判所は、協定第18条及び運用協定第20条の規定並びに運用協定の附属書に基づいて仲裁に付されるいかなる紛争についても決定する権限を有する。
第3条
(a) 各締約国は、締約国総会の第1回通常会期及びその後の各通常会期の開催の日の60日前まで、当該会期の終了の時から締約国総会の次の通常会期の終了の時までの間この附属書に従って構成される仲裁裁判所の長又は仲裁人として任務を遂行することができる2人以内の法律専門家の氏名を事務局に提出することができる。事務局は、このようにして指名されたすべての者の名簿を作成するものとし、指名国が提出する履歴書をその名簿に添付し、当該会期の開催の日の30日前までにすべての締約国にその名簿を配布する。指名された者がなんらかの理由により締約国総会の会期の開催の日の前60日の間に裁判長団の構成員として選出されることが不可能となった場合には、指名国は、締約国総会の会期の開催の日の14日前まで、その指名された者に代わる他の法律専門家の氏名を提出することができる。
(b) 締約国総会は、仲裁裁判所の長として選定されることとなる11人を裁判長団の構成員として、(a)の名簿から選定し、かつ、各構成員について1人の予備員を選定する。構成員及び予備員の任期は、(a)の期間とする。構成員が裁判長団の任務に従事することが不可能となった場合には、その予備員が交代する。
(c) 裁判長団は、その議長を指名するため、裁判長団の選定の後できる限りすみやかに事務局によって招集される。裁判長団の会合の定足数は、11人のうち9人とする。裁判長団は、1回又は必要に応じ2回以上の秘密投票において、少なくとも6人の構成員の賛成票による議決で構成員の1人を議長に指名する。そのようにして指名された議長は、裁判長団の構成員としての自己の任期の間議長として在任する。裁判長団の会合の経費は、運用協定第8条の適用上、インテルサットの事務費とみなす。
(d) 裁判長団の構成員及びその予備員の両者がその任務を遂行することができなくなった場合には、締約国総会は、これらの者の空席を(a)の名簿のうちから補充する。もっとも、締約国総会の会期が空席の生じた日の後90日以内に開催されない場合には、空席は理事会の選定により(a)の名簿のうちから補充する。この選定にあたり、各理事は一の票を有する。任期が満了しない構成員又は予備員の後任者として選定された者の任期は、前任者の残任期間とする。裁判長団の議長の空席は、(c)の手続に従い裁判長団がその構成員の1人を指名することによって補充する。
(e) 締約国総会又は理事会は、(b)又は(d)に従い裁判長団の構成員及び予備員を選定するにあたり、裁判長団の構成が妥当な地理的代表及び締約国間の主要法系を常に反映するように努力する。
(f) 任期の満了の時に仲裁裁判所の任務に従事している裁判長団の構成員又は予備員は、当該仲裁裁判所において進行中の仲裁手続が終了するまでの間引き続きその任務を遂行する。
(g) 法律的紛争が協定の効力発生の日から(b)の規定による最初の裁判長団及び予備員の構成までの間に第1条に規定する当事者の間に生じた場合には、1965年6月4日の仲裁に関する補足協定第3条(b)の規定に従って構成された裁判長団を、当該紛争の解決についての裁判長団とする。当該裁判長団は、協定第18条及び運用協定第20条の規定並びに運用協定の附属書の適用上、この附属書に従って行動する。
第4条
(a) 法律的紛争を仲裁に付することを希望する申立人は、各相手方及び事務局に対し次の事項を記載した文書を提出する。
(i) 仲裁に付される紛争、相手方が仲裁に参加することを必要とする理由及び求める救済についてのそれぞれ詳細な陳述
(ii) 紛争の対象である事項がこの附属書に従って構成される仲裁裁判所の権限内にある理由及び仲裁裁判所が、申立人に有利に決定する場合に、求める救済を与えることのできる理由についての陳述
(iii) 申立人が交渉により又は仲裁以外の方法によって妥当な期間内に紛争を解決することができなかった理由についての陳述
(iv) 協定第18条又は運用協定第20条の規定により当事者の合意のあることがこの附属書に従って仲裁を行うための条件となる紛争の場合には、その合意の証明
(v) 申立人が仲裁人として指名する1人の者の氏名
(b) 事務局は、各締約国及び各署名当事者並びに裁判長団の議長に対し、(a)の規定に従って提出される文書の写しをすみやかに配布する。
第5条
(a) 相手方は、相手方のすべての者が前条(a)の文書の写しを受領した日から60日以内に、仲裁人として1人の者を指名する。相手方は、単独で又は共同して、その期間内に各当事者及び事務局に対し同条(a)の文書に対する答弁(紛争の対象である事項から生ずる反対請求を含む。)を文書によって提出することができる。事務局は、裁判長団の議長に対しその文書の写しをすみやかに提出する。
(b) 相手方が所定の期間内に(a)の指名を行わない場合には、裁判長団の議長は、第3条(a)の規定に従って事務局に氏名が提出されている法律専門家のうちから指名を行う。
(c) 2人の仲裁人が指名された後30日以内に、これらの仲裁人は、第3条の規定に従って構成された裁判長団のうちから仲裁裁判所の長として第三の者を合意によって選定する。その期間内に合意に達しなかった場合には、指名された2人の仲裁人のうちいずれの者も、その旨を裁判長団の議長に通報することができるものとし、同議長は、10日以内に裁判長団のうちから自己以外の1人の構成員を仲裁裁判所の長として指名する。
(d) 仲裁裁判所は、その長が選定された時に構成される。
第6条
(a) 仲裁裁判所に空席が生じた場合において、その理由が仲裁手続の当事者にとってやむを得ない事情によるもの又は仲裁手続の適正な進行に反しないものであると仲裁裁判所の長又は残りの仲裁人が認めるときは、その空席は、次の規定に従って補充する。
(i) 空席が当事者によって任命された仲裁人が欠けた結果生じた場合には、その当事者は、空席が生じた後10日以内に後任者を選定する。
(ii) 空席が仲裁裁判所の長が欠けた結果又は裁判長団の議長によって任命された仲裁人が欠けた結果生じた場合には、後任者は、それぞれ前条(c)又は(b)に定める方法で裁判長団のうちから選定される。
(b) 仲裁裁判所の空席が(a)に規定する理由以外の理由によって生じた場合又は(a)に規定する理由によって生じた空席が補充されない場合には、残りの仲裁人は、第2条の規定にかかわらず、いずれかの当事者の要請により仲裁手続を継続し及び仲裁裁判所の最終決定を行う権限を有する。
第7条
(a) 仲裁裁判所は、開廷の日及び場所を決定する。
(b) 仲裁手続は、公開せず、仲裁裁判所に提出されるすべての資料は、秘密とする。ただし、インテルサット並びに締約国であってその指定した署名当事者が仲裁手続の当事者であるもの及び署名当事者であってそれを指定した締約国が仲裁手続の当事者であるものは、出席する権利を有するものとし、また、提出された資料について知ることができる。インテルサットが仲裁手続の当事者である場合には、すべての締約国及び署名当事者は、出席する権利を有するものとし、また、提出された資料について知ることができる。
(c) 仲裁裁判所は、その権限について争いがある場合には、最初にその問題を取り扱い、できる限りすみやかに決定を行う。
(d) 仲裁手続は、書面によって行う。各当事者は、事実及び法に係る自己の主張を裏づける証拠を書面によって提出する権利を有する。ただし、仲裁裁判所が適当と認めるときは、口頭で陳述及び証言を行うことができる。
(e) 仲裁手続は、申立人が自己の主張、関係事実及びその証拠並びに援用する法の原則についての申立を行うことによって開始される。その申立に対して相手方の反対申立が行われる。申立人は、相手方の反対申立に対して答弁を行うことができる。その後の陳述は、仲裁裁判所が必要であると決定した場合に限り行うことができる。
(f) 仲裁裁判所は、紛争の対象である事項から直接に生ずる反対請求を審理し、決定することができる。ただし、当該反対請求が協定第18条及び運用協定第20条並びに運用協定の附属書に規定する仲裁裁判所の権限内にある場合に限る。
(g) 当事者が仲裁手続の期間中に合意に達した場合には、当該合意は、当事者の合意による仲裁裁判所の決定として記録される。
(h) 仲裁裁判所は、紛争が協定第18条及び運用協定第20条並びに運用協定の附属書に規定する自己の権限外のものであると決定する場合には、仲裁手続の期間中いつでも、仲裁手続を終了させることができる。
(i) 仲裁裁判所の評議は、秘密とする。
(j) 仲裁裁判所の決定は、理由を示した書面によって行う。その決定は、2人以上の仲裁人によって支持されなければならない。その決定に同意しない仲裁人は、その意見を記載した別個の書面を提出することができる。
(k) 仲裁裁判所は、その決定を事務局に送付する。事務局は、すべての締約国及び署名当事者に対し当該決定を配布する。
(l) 仲裁裁判所は、仲裁手続に必要であり、かつ、この附属書に規定する手続規則に適合する追加手続規則を採択することができる。
第8条 一方の紛争当事者がその立場を表明しない場合には、他方の当事者は、仲裁裁判所に対し自己に有利に決定することを求めることができる。仲裁裁判所は、その決定に先立ち、自己が権限を有すること及び当該他方の当事者の立場が事実及び法において十分な根拠を有することを確認する。
第9条
(a) 締約国であってその指定した署名当事者が仲裁手続の当事者であるものは、仲裁手続に参加し、追加の当事者となる権利を有する。参加は、仲裁裁判所及び他の当事者に対する書面による通告によって行う。
(b) 他の締約国並びに署名当事者及びインテルサットは、紛争に係る決定に実質的な利害関係を有すると認める場合には、仲裁裁判所に対し、仲裁手続に参加しかつ追加の当事者となるための許可を申請することができる。仲裁裁判所は、申請を行った者が当該紛争に係る決定に、実質的な利害関係を有すると決定する場合には、その申請を承認する。
第10条 仲裁裁判所は、当事者の要請により又は職権により、自己を補佐するために必要な専門家を任命することができる。
第11条 各締約国、各署名当事者及びインテルサットは、仲裁裁判所が、当事者の要請により又は職権により、紛争の処理及び解決に必要であると決定するすべての情報を提供する。
第12条 仲裁裁判所は、紛争の審理中は、最終決定までの間、各当事者の権利を保全するために適当と認める暫定措置を指示することができる。
第13条
(a) 仲裁裁判所の決定は、(i)協定及び運用協定並びに(ii)一般に認められた法の原則に基づかなければならない。
(b) 仲裁裁判所の決定(第7条(g)の規定に基づく当事者の合意によるものを含む。)は、すべての当事者を拘束し、それらの当事者は、決定を誠実に履行する。インテルサットが当事者である場合において、インテルサットのいずれかの機関の決定が協定及び運用協定によって認められず又はそれらに適合しないという理由により無効であると仲裁裁判所が決定する時は、その仲裁裁判所の決定は、すべての締約国及び署名当事者を拘束する。
(c) 仲裁裁判所は、その決定の意味又は範囲に関して紛争のある場合には、当事者の要請により、その決定の解釈を行うものとする。
第14条 仲裁裁判所が、紛争の特殊な事情により別段の決定を行わない限り、仲裁裁判所の費用(仲裁人の報酬を含む。)は、両当事者が均等に分担する。当事者が2以上の者からなる場合には、仲裁裁判所は、それらの者の間に、その当事者の分担額を割り当てる。インテルサットが当事者である場合には、仲裁に係る費用は、運用協定第8条の規定の適用上、インテルサットの事務費とみなす。

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