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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

(3) アメリカ合衆国及びソビエト社会主義共和国連邦の有人宇宙船及び宇宙ステーションのランデブー及びドッキングのための整合するシステムの開発の問題に関するアメリカ国家航空宇宙局とソビエト社会主義共和国連邦科学アカデミーの代表の間の会合の結果の要約
(1972年4月6日作成)

 1972年4月4〜6日の期間中、モスクワにおいて、国家航空宇宙局の副長官G.M.ロウ(Low)博士とア
カデミー議長代理・アカデミー会員V.A.コテルニコフ(Kotelnikov)が、有人宇宙船及び宇宙ステーションのための、整合性を有するランデブー及びドッキングシステムの開発に関する問題の討議を継続するために会合した。これに双方の公式代表が参加した。
 双方は (a)当該システムを開発するため、より一層の作業を継続すること、及び (b)1975年度中、当該システムの試験ミッションを行うことが望ましいことを確認した。
 国家航空宇宙局及びアカデミーは、整合性を有するランデブー及びドッキングシステムの最初の共同実験が、この結果の要約及び以前の会合から生ずる関連文書に基づいて、双方によって開発されたシステムを使用するアポロ型及びソユーズ型の宇宙船の利用によって行われるべきであることに合意した。
 会合の間、ソビエト側は、ソユーズ型の宇宙船に関する技術的資料を提示した。計画されたアポロ型及びソユーズ型の宇宙船の共同飛行案に関する技術的資料は、1972年5月アメリカ側に送られるものとする。
 国家航空宇宙局及びアカデミーは、当該試験ミッションを組織し、開発し、予定し、かつ、実施することについての基本的な原則に係わる共通の了解が、当該試験ミッションの自国政府による承認が可能となるための要件であることに合意した。
 合衆国側は、当該原則を了解し、かつ、作成する基礎を与えるために、特に次のものを含む多くの文書案を準備した。
  A. アポロ・ソユーズ試験ミッション組織計画案。
  B. アポロ・ソユーズ試験ミッションの検討事項(文書Aの要約)。
  C. プロジェクト技術提案文書。
  D. プロジェクト日程文書。
これらの文書は、共同で準備された文書の作成の基礎として受諾される。
 双方は、当該ミッションが両政府によって承認される場合に、共同ミッションを成功裏に達成するために必要な基礎を与えるため、1972年6月の作業部会の次の会合で、これらの文書の特殊な内容を共同で作成し及び合意することに同意する。
 双方が合意する次の点は、包括的ではないにしても、文書Bに含まれる若干の主要な要件を簡略に説明するものである。
 A. 準備期間(打上げ前期間)については、
1. 通信上の連係及び訪問によって直接的な接触が行われる。
2. 完全なプロジェクトの予定が作成され、各当事国にとって多額の費用を必要とする遅れを避けるために、双方が、この予定に適合する誓約を行う。
3. プロジェクトの作成及び実施に従事する専門家の間の必要な連絡及び了解の措置を講ずる。
4. 包括的な実験、適格性、及びシミュレーション計画を作成する。
5. 適用可能な場合には、他方の国の宇宙船及び/又は通常の訓練設備を用いて、習熟及び訓練の十分な程度を定め、かつ、飛行の安全確保に備えなければならない。他の国の飛行要員及び地上操作要員について、必要な訓練が、各々の国において行われる。
6. 当事国は、特に、1972年6月の作業部会の会合の期間中、ミッションの工学的な面に関して十分な合意に達するために一致協力して努力する。
7. 飛行活動に直接に参加する責任を有する要員は、相互に了解する適当な水準の確保及び実時間活動への要員の継続性を確保するために、飛行の2年前には作業部会に含まれるべきである。
 B. ミッション運用については、
1. 適当な調整のためのセンター間の十分な通信チャンネルを用いて、アポロ型の宇宙船の飛行管理はアメリカの管理センターによって行われ、ソユーズ型の宇宙船の飛行管理はソビエトの管理センターによって行われる。
2. 管理中、秒読みの調整を含む、飛行計画の共同の要素に影響する問題に関する決定は、他方の国の管理センターとの協議の後に行われる。
3. 飛行の共同部分は、不測事態への対応計画を含む、調整され、かつ、承認されたミッションの文書に従って行われる。
4. 飛行の実施にあたって、事前に計画された技術的情報及び地位の交換が、予定された基礎に基づいて行われる。
5. 受け入れ国の管理センター又はその宇宙船の船長は、受け入れ国の宇宙船における所定の状態について、事前に立案された適切な不測事態への一連の対応行動を決定する主たる責任を有する。各々の国は、事前に計画された一連の対応行動のいずれかを必要とする様々な装備の故障についての詳細な規則を準備する。
6. 直接的な対応を必要とする状態において、又は、地上要員との接触ができない場合には、受け入れ国の宇宙船の船長は、事前に計画された不測事態への一連の対応行動に従って決定を行う。
7. テレビのいずれかのダウン・リンクは、他方の国の管理センターに直接送信される。宇宙船及び地上局の間の通話能力は、事前に計画された基礎に基づいて、かつ、更に必要とされる又は望ましいと考えられる共通の同意によって、他方の国の管理センターの利用のために提供する。
8. 双方とも(各々の管理センターに代表を置くことを含む)、他方の国の管理センターの要員に、相互の了解を助けるために、追加情報及び基礎知識を与えるための手段を継続して考慮する。
9. 搭乗員は、最低限、他方の国の言語を理解するように十分に当該言語で訓練を受けるべきであり、一連の通常行動及び不測事態への一連の対応行動に関して、規定の通話に適切に応答して行動する。
10. 広報計画は、双方の義務及び慣行を考慮して作成する。
 1972年4月6日、モスクワにおいて、英語及びロシア語で作成され、いずれの言語もひとしい効力を有するものとする。

(署名略)

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