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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

(6) ユーレカ基礎宣言
(ユーレカ憲章として1985年11月6日に北欧三国を含む、EU諸国及びスイス並びにEU委員会代表が参加した欧州閣僚会議によりハノーヴァーで採択)

1. 目標
ユーレカは、高度技術の分野における企業及び研究機関の間の協力の強化により、世界市場での欧州諸国の産業及び経済の生産力及び競争力を増大し、これにより繁栄と雇用の発展に資することを目標とする。ユーレカは、欧州がその将来にとり重要な技術をマスターし及び開発すること並びに基本的な部門における自己の能力を開発することを可能にしなければならない。
 先端技術を活用する製品、システム及び業務の開発に向けて転換されるプロジェクトに関する産業上、技術上及び科学上の協力の強化を奨励し及び促進することによりかつ潜在的な世界的な規模の市場以前にこのことに到達する。
ユーレカ・プロジェクトは、民事上の目的を追求し、かつ、民間市場と公共市場に同時に向けられている。
2. 優先権及び基準
a) ユーレカ・プロジェクトは、当初は、優先的に次の先端技術の分野に関連する製品、製法及び業務に基づく。情報及び電気通信、ロボット工学、素材、コンピューター支援による経済的生産の自動管理、バイオ・テクノロジー、海洋工学、レーザー及び環境保護技術及び輸送技術。
ユーレカは、また、現代の基盤構造の技術的条件の創設及び国境を越える問題の解決を目指す高度技術の分野における大規模な研究・開発プロジェクトを含んでいる。
b) ユーレカは、中小企業及び慎ましい規模の研究機関のそれを含む、あらゆる権能及び能力を対象とする。
c) 欧州の企業と研究機関の間の技術交流は欧州の産業の高度な技術水準を保証する条件である。ユーレカ・プロジェクトはこの交流を促進し及び拡大する。
d) ユーレカ・プロジェクトは次の基準を満足する。
次に掲げる目標に対応する。
一以上の欧州国家からの参加者(企業、研究機関)による協力で開始されること。
協力に基づいてプロジェクトを実現することの明瞭な利益があること。
高度な技術を用いること。
製品、製法又は関連業務にとり重要な技術的進歩を目指すこと。
技術面と同じく管理面で所要の資格を備えた参加者により行われること。
参加企業の側からの適切な財政上の誓約を含むこと。
3. 一般的条件
a) ユーレカは、参加諸国政府並びに欧州共同体からの適切な支援を受ける。
b) 等質の、動態的なかつ外部に向かって開かれた広大な欧州経済地域の実現がユーレカの成功に必須である。
c) この展望において、欧州共同体の域内市場の完成及び欧州共同体及び欧州自由貿易連合諸国(A.E.L.E.)により採択されたリュクセンブルグ共同宣言の実施がユーレカにとり好結果をもたらす。
このことは、特に、ユーレカが次のために現在の作業を加速していることに示されている。
共通の産業規格の作成。
例えば、検査及び証明書の相互承認による、取引の技術上の障害の除去。
欧州共同体及びユーレカ参加国はユーレカのための補足的な支援措置を講ずる可能性を検討する。
4. 調整プロジェクトの実施
A) プロジェクト
A.1.― ユーレカ・プロジェクトは企業、研究機関及び、場合により、潜在的な利用者の間の密度の高い情報交換により準備される。この文脈において、若干の部門における産業上のフォーラムの創設は可能なユーレカ・プロジェクトの識別に役に立つことを明らかにすることができる。
A.2.― 委員会の政府は、すべての関係者に対して、予定されるプロジェクトについての情報を漏れなく伝えるように情報の交換を奨励する。
A.3.― ユーレカ・プロジェクトは、異なる関係参加主体の間の協議の結果として生ずる。関係する企業・研究機関は、自己の選択によるグループにおいてプロジェクトを実施する。
A.4.― ユーレカ・プロジェクトの参加主体は、プロジェクトに固有な特性に応じて、協力の形態を決定する。この点に関して、プロジェクトの管理方式は参加主体自体が決定し及びこれに係る行政上の支援を与える責任を有する。
A.5.― ユーレカ・プロジェクトに参加する企業及び研究機関は、自己の固有の方法により、金融市場に頼り、場合によって、利用可能な公的資金により、その資金調達を保証する。
A.6.― 採択されたプロジェクトに参加する企業・研究機関が所属する国の政府、及び、必要な場合には、欧州共同体委員会がユーレカについて定められる目標及び基準に明確に適合する。これらの政府及び欧州共同体は、部会で会合する上級代表を通じて閣僚会議に共同で通知する。この通知は、プロジェクトの概要説明、そのユーレカの目標及び基準への適合性の分析及び第三者を含む追加措置の指示を含む。
上級代表は、彼らのうちの1人が要求する場合には、直ちにこの追加措置を必要とするプロジェクトを審議することができる。これらの手続は、経験に照らして検討を必要とする。
A.7.― ユーレカ・プロジェクトは、この通告の後、プロジェクト参加者がそれを望ましいと考える場合には、他のパートナーに開放されるべきである。
B) 組織
B.1.― 調整組織はユーレカ閣僚会議である。これは参加諸国の政府の代表及び欧州共同体委員会の代表からなる。
閣僚会議は、各会合の後に、次の会期の議長を任命する。議長は、作業の結果を確保する。
閣僚会議は、ユーレカの内容、構造及び目標を引き上げさせ及び成果の評価を行う責任を有する。
B.2.― 各参加国及び欧州共同体委員会の上級代表は、閣僚会議がその任務を遂行するのを補佐し、閣僚会議に通告するプロジェクトに関する報告によるものを含む、その会合を準備するために、必要に応じて、部会で会合する。
当該部会の議長は、次の閣僚会議の議長と同じ国籍を有する。
上級代表は、自国において現行の手続規則に従い、次のために必要な措置を講ずる。
自国において情報の必要な及び望ましい流通を促進すること。
ユーレカ参加国の企業及び機関の間の接触の措置を講じ、所要の情報を提供し及びプロジェクトの実施を促進すること。
協力の意志が表明される部門、技術、製品及び業務を他の上級代表に通知し及びこれに対する注意を喚起する。
他の上級代表にユーレカ・プロジェクトの準備に関して有用な情報を通知すること。
他の上級代表と共に直面する問題の解決策を求め及び彼らとプロジェクトの資金調達に関して協議する。
関係上級代表は特別なプロジェクトを審議するために会合する。
B.3.― ユーレカ閣僚会議の権限の下に置かれるユーレカ事務局長又は柔軟かつ小規模な運用部会がユーレカの透明性及び効果を増大するために設置される。
これは特に次の責任を有する。
交流のための給費業務を提供するように情報を収集し及び配布すること。
企業及び研究機関がユーレカ・プロジェクトの参加主体と連絡するのを補佐すること。
閣僚会議及び上級代表の会合の際に技術的な援助を与えること。
遂行すべき任務の継続性を確保すること。
事務局の構成は、欧州共同体の加盟国及び非加盟国のユーレカへの参加を反映する。
部会として行動する上級代表は、今日から1986年1月31日までにこの事務局の設立の方式を審議するよう勧誘される。欧州共同体との関係並びに、場合によって、参加国の産業界の支援が考慮される。
5. ユーレカ、欧州共同体その他の欧州協力の形態の間の関係
1) ユーレカ・プロジェクトは、欧州共同体の計画、科学・技術協力(COST)、欧州原子力研究機構(CERN)、欧州宇宙機関(ESA)のプロジェクト、二国間及び多国間協力プロジェクトのような既存の欧州技術協力又はこれらのその後の発展にとって代わることを目的としない。反対に、その目的は、この協力を延長し又は補完することである。
2) 欧州共同体は、ユーレカのプロジェクトに、例えば、その固有の研究手段、研究・開発計画並びに財政上の手段により、参加主体として参加することができる。
3) 欧州共同体及び関係国において適切な一般的条件の実現並びにまた技術協力に都合のよい環境の創設はユーレカの成功に必須である。

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