提供:池下章裕
なだらかな上り坂だがすぐ横は断崖に見えます
人、時間、物
世界最高の性能をもつ3台の望遠鏡で、目に見える可視光線からX線まで広い波長で、わたしたちが全く知らなかった太陽の姿を次々と明らかにしています。可視光望遠鏡で見る太陽は大迫力。まるで近くに行って見て来たような錯覚さえ起こします。「ひので」の持つ、太陽の「磁場」を計る能力で、太陽がなぜか持っている(11年程の)活動周期の謎にも迫れるかもしれません。
物事を決める時に、ほかの人に説明できることを心がける。始めの計画と、結果との対応関係に気をつける。あと、心配してもしようがないことは心配しない。
特に好きなジャンルはありませんが、強いてあげるとノンフィクション系でしょうか。
「坂の上の雲(司馬遼太郎著)」「生きること学ぶこと(広中平祐著)」「昭和の碁(江崎誠致著)」「緋が走る(ジョー指月原作、あおきてつお作画)」など好きです。
虚心坦懐(きょしたんかい)
別に太陽でなくてもいいので、「科学」はぜひ好きになって下さい。いつか太陽系の外に知的生命体が見つかったら、彼らも自分たちが見つけた「科学」を持っていますよ。
関連リンク: 太陽観測衛星「ひので」
頂上のフラットトップ
フラットトップから落ちないように
晴れているが、下は雲海
時間、時間、人、物
世界に開かれた軌道天文台としての、科学的成果創出と国際的な科学への貢献。
自らやること
歴史小説。司馬遼太郎さん、塩野七生さんはやはり面白い。
自然は人間よりももっと空想力に富んでいるかもしれない。(ブルーノ・ロッシ)
直接手を触れて実験することのできない宇宙物理学の世界では、多様な手段で多様な宇宙を探ることが必要です。すざく衛星は、X線という活動的な宇宙をあぶり出すことのできる波長で、重要な役割を果たしています。
関連リンク: X線天文衛星「すざく」
提供:池下章裕
人、時間、物
自らが開発した高度な観測装置とそれを衛星上に実現する工学技術。
マスタースケジュールとコスト管理、課題認識と迅速な対応。
科学の本
おこった事は、すべてよい事だ。
人間は、厚い大気の下で生きるために、それに適した進化をとげました。天文学は、人間が見ることのできる可視光を使って発展してきたのです。20世紀になって、大気を抜け宇宙にでる事ができるようになり、私たちは、はじめて宇宙が、私たちが普通は「見る」事のできない光、つまりX線で満ちていることを知ったのです。X線という可視光よりもずっと「熱い」光を使った宇宙の観測で、私たちは宇宙がとても激しい活動の場であることを知りました。X線天文学は、とても新しい天文学です。そしてASTRO-Hは、私たちが世界に先駆けて開発した装置をのせ、先端技術の粋を尽くして作られる衛星です。これが宇宙にあがれば、新しい結果、誰も予想もしなかった結果が日々送られてくるはずです。
提供:池下章裕
人、時間、物
比較的小規模な衛星でありながら、観測目的を絞り込むことで、世界に誇れる最先端成果を得ようとしている点が特徴です。
とにかく、現場が動きやすいのが大事と思います。そのための具体的な方策として、たとえば、問題が起きたとき、なるべく現場に近いところで関係するメンバーの意見を聞き、その上で、早めに方針を決めるように心がけています。
また、プロジェクトに参加している各メンバーが、自分の担当範囲かどうかに依らず全体の状況を俯瞰し、プロジェクトが進もうとしている方向が自ら理解できるよう、チーム内の情報共有には気を遣っています。
特に、「これ!」、というジャンルはありません。歴史物や推理小説など、日本人作家を中心に、脈略なく読んでいます。司馬遼太郎や山崎豊子を読んで、ついつい、作品の世界と自分の仕事のやり方を比較してみたり、浅田次郎を読んで穏やかな気分に浸ったりします。
最近、古書に関する軽めの小説を読んで、読書の世界の奥深さを知らされました。
自ら調べ、自ら考える(母校の言葉です)
まもなく打ち上げ予定で、開発は佳境に入っています。衛星そのものは無機質な技術の塊かもしれませんが、そこに息を吹き込むのは、携わっている人間の情熱だと信じています。ご期待頂ければ幸いです。
関連リンク: 惑星分光観測衛星
時間、人、物
地球近傍の宇宙空間であるジオスペースには、MeVを越えるエネルギーを持つ粒子が多量に捕捉されている放射線帯(ヴァン・アレン帯)が存在しています。この放射線帯に存在する相対論的なエネルギーをもつ電子(MeV以上)は、太陽風の擾乱に起因する宇宙嵐にともなって生成と消滅を繰り返しています。ジオスペース探査衛星(ERG)は、この相対論的なエネルギーをもつ電子が「どのようにして生まれそして消えてゆくのか」、また宇宙嵐は「どのように発達するのか」を明らかにすることを目指したミッションです。
また、宇宙嵐やそれに起因する放射線帯の粒子は衛星に障害を与え、宇宙飛行士の宇宙空間における作業にとっても重大なダメージを与えることがあります。放射線帯の粒子の生成過程を知り、粒子変動の予測をすることは科学的なテーマだけでなく、宇宙空間における人類の活動を安全に行うという宇宙天気の重要なテーマにも貢献できると考えています。
ERG衛星は、現在2015年12月にイプシロンロケット2号機による打ち上げを目指して準備が進められています。
コミュニケーションです。プロジェクト内はもちろんのこと、関連する製造メーカや支援会社を含めて「意見の交換」ができることが何よりも重要だと考えます。衛星は決して数名で作れる物ではなく、アイデア、設計、製造、試験、運搬、打ち上げ、運用とおそらく千を超える人々が関わっているからです。互いの意見をきちんと納得いくまで議論できることが、その後の作業をスムーズにし、プロジェクトを成功に導いてくれると考えています。実際は「時間」という制約もあり、担当者にとっては議論が不十分な部分もあるかもしれないですが、これからもコミュニケーションを意識し続けたいと考えています。
SFから実用書まで、いろいろな本を読むのが好きです。以前は、ショート・ショートSF作家の星新一さんの本をよく読んでいました。最近は、日本の古典をもう一度ゆっくりと読みたいなと思っています。
「Dream is Alive」と「Man for others」です。いずれも中高時代に出会った言葉です。多くの人の支えと夢の共有によって宇宙への挑戦ができることを忘れないために、いつも心にとどめておきたい言葉です。
ジオスペース探査衛星は、国内の大学・研究機関の研究者によるボトムアップ・プロジェクトです。小型科学衛星の特徴を生かし、「打ち上げたい時期に、狙った場所へ」を合い言葉に、イプシロンロケットチームともがっちりとタッグを組みながら、約3年間という短期間の衛星開発・打ち上げに向けて全力で駆け抜けたいと思います。大きく世界に羽ばたき、誇れる成果を創出するようにチーム一丸となってジオスペース探査衛星を育てあげていきます。
関連リンク: ジオスペース探査衛星