X線天文衛星「すざく」

2005年7月10日打ち上げ > 運用中

プロジェクトトピックス


2012年3月23日 更新

共食いする「毒蜘蛛」中性子星―新種のパルサー発見に、日本の総力を結集―

東京工業大、早稲田大の研究グループは、ガンマ線天文衛星「フェルミ」が発見した謎のガンマ線源「2FGLJ2339.6-0532」の正体を探るため、X線天文衛星「すざく」と世界規模の望遠鏡ネットワーク「光・赤外線天文学大学間連携(OISTER)」を駆使した観測を行いました。
その結果、半径1.6km・温度100万度の高温かつ小さな領域から熱的な成分を検出し、X線の放射源が中性子星であることを初めて明らかにしました。さらに、OISTERによる可視光観測の結果と併せ、この天体が二つの星がペアになって公転する連星系であり、高温・高速で回転する中性子星(主星)から吹き出すプラズマが伴星を加熱し、今まさに蒸発させつつあることを突き止めました。
図:「毒蜘蛛」中性子星(左)と蒸発する伴星(右)の想像図

チームリーダが語る私たちのミッション


X線天文衛星「すざく」は、広いX線エネルギー範囲にわたって史上最高の感度を持つことが証明され、数々の観測成果を得ています。
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プロジェクト概要


プリント

日米の協力で開発をした「すざく」
ブラックホールや銀河団の構造と進化を探ります

「すざく」(ASTRO-EII)は日本の5番目のX線天文衛星で、日米の国際協力により開発されました。1993(平成5)年8月に打ち上げられたX線天文衛星「あすか」(ASTRO-D)の装置を飛躍的に発展させ、優れた分光能力と、軟X線からγ線までの広い帯域(0.4〜600 keV)を高感度で観測できるようになります。


世界最高水準のX線観測システムを国際協力で開発し、
激動する宇宙の姿をX線像とスペクトルから解き明かします

宇宙の中でも高温でかつ激しい活動領域からは、X線を中心に多量のエネルギー放射が行われています。中性子星やブラックホールに極めて近い領域、あるいは超新星残骸、銀河中心核や銀河団など、「激しく活動している」宇宙の本質を知るためにはX線観測が最適です。しかし宇宙からやって来るX線は、地球をとりまく大気により吸収・散乱されるので、地上で観測することができません。そのためロケットや人工衛星を使った大気圏外での観測が必要なのです。
「すざく」では、3種の機器で観測します。5台搭載される軟X線望遠鏡は、高エネルギーで世界でも最大級の有効面積を持ちます。そのうちの1台にはX線天体のスペクトル観測をこれまでの10倍以上の分解能で行うX線分光計が組み合わされます。残りの4台にはX線CCDカメラが装備され、X線 領域で高品質の色鮮やかな撮影が可能になります。これらの他にも、硬X線検出器も1台搭載され、望遠鏡より更に高いエネルギーのX線をカバーします。
「すざく」の特徴は、ブラックホールや銀河団といった宇宙の高エネルギー現象を観測する装置にあります。日本はこの分野では世界のトップレベルにありますが、これまでの観測装置では難しかったX線輝線のドップラー効果の高精度な測定ができるようになります。これにより、宇宙最大の規模を持つ 「銀河団」が衝突・合体した時のガスの運動の様子や、巨大ブラックホールに吸い込まれる直前の物質の運動や物理状態をつぶさに調べることができるはずです。また感度が高まり、非常に遠方にある暗い原始天体の探索も可能になるなど、宇宙の構造と進化の解明に大きな役割を果たすことが期待されます。
「すざく」は、2005年7月10日、M-Vロケット6号機により打ち上げられました。


主要諸元

国際標識番号 2005-025A
打ち上げ日時 2005(平成17)年7月10日 12:30
打ち上げロケット M-Vロケット6号機
打ち上げ場所 内之浦宇宙空間観測所
形状 約6.5m×2.0m×1.9m(伸展式工学ベンチ伸展時)
折りたたみ(3つ折り)の太陽電池パドル2枚を備えた八角柱
太陽電池パドルの端から端まで5.4m
質量 1,700kg
軌道 円軌道
軌道高度 570km
軌道傾斜角 31度
軌道周期 96分