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X線天文学は、1962年にリカルド・ジャッコーニらが観測ロケットを打ち上げ、X線で輝く太陽以外の天体を発見したことから始まりました。本格的に宇宙からのX線を観測できるようになったのは、1970年代に、X線観測装置を積んだ科学衛星を打ち上げるようになってからのことです。日本は、1979年の「はくちょう」をはじめ、これまで5つのX線天文衛星を打ち上げ、数多くの研究成果を挙げています。X線天文学の初期の時代からこの分野に取り組んできた日本は、この分野で世界をリードしてきました。

はくちょう

はくちょう

打ち上げ日:1979年2月21日

サイズ:0.75m×0.75m×0.65m 質量:約96kg

ブラックホール天体「白鳥座X-1」にちなんで命名された、日本初のX線天文衛星。X線バーストと呼ばれる爆発現象など、X線天体から放射されるX線のスペクトルと、X線の強さの変化を観測。「すだれコリメータ」の搭載により、新天体の天空上の位置を決定。
主な成果は、新しいX線バースト源を数多く発見するなど。

てんま

てんま

打ち上げ日:1983年2月20日

サイズ:0.94m×0.94m×0.89m 質量:約216kg

「蛍光比例計数管」という新開発の装置によって、X線星、X線銀河、ガンマ線バースト、軟X線星雲などの観測を、優れたエネルギー分解能で行う。
主な成果は、銀河系の銀河面に沿って存在する、数千万度の高温プラズマを発見。X線天体から放射されるX線のスペクトル分析から、中性子星(超新星爆発の後に残る天体)の強い重力場などを明らかにした。

ぎんが

ぎんが

打ち上げ日:1987年2月5日

サイズ:1.0m×1.0m×1.5m 質量:約420kg

X線天体から放射されるX線の強さの変化を、高感度・高精度で測定することを目的とした衛星。打ち上げ直後に起きた、超新星1987Aから放射されるX線の観測に成功。ブラックホール、中性子星、超新星、活動銀河核、ガンマ線バーストなど、さまざまな天体からのX線放射の観測を行う。
主な成果は、超新星残骸や暗黒星雲内部の高温プラズマの発見。高感度をいかして、活動銀河核のX線放射強度の時間変動をとらえるなど。
また「ぎんが」では、観測機器を英国、米国など外国の研究者と共同開発するなど、国際協力が本格的にスタートした。

あすか

あすか

打ち上げ日:1993年2月20日

質量:約420kg

X線の撮像とX線天体のスペクトル観測を同時に行うため、X線望遠鏡および世界初のX線CCDと撮像型蛍光比例計数管を搭載し、感度を飛躍的に高めた。ブラックホール、活動銀河核等の観測だけでなく、超新星残骸では宇宙における粒子加速現象、銀河団では暗黒物質の分布と質量など、幅広い物理現象の観測を行う。
主な成果は、超新星爆発のX線スペクトルの変化を広帯域で観測。ブラックホールから放射される鉄輝線の、一般相対論から予言される効果の検証。超新星残骸の粒子の加速現象や、衝突・合体をしながら成長する銀河団の観測など多岐に渡る。

すざく

すざく

打ち上げ日:2005年7月10日

サイズ:6.5m×2.0m×1.9m 質量:約1700kg

「あすか」よりもさらにエネルギー分解能、角分解能ともに向上し、感度を高めた軟X線望遠鏡と硬X線検出器を搭載。より広いエネルギー範囲で観測を行う。
これまでの主な成果は、惑星状星雲にて普通の星により炭素などが合成されたことを観測、銀河団中でレアメタルを発見するなど、星から超新星爆発に至る元素合成の歴史を示す。銀河の分厚いガスや塵に隠されたブラックホールの発見。天の川銀河の中心で起こる爆発的現象の観測。超新星残骸で粒子が加速される証拠をつかむなど、宇宙の高エネルギー現象や、宇宙の構造と進化を研究している。現在も観測を行っており、今後も成果が期待される。

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