大西宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船(47S/MS-01)の
帰還について
平成28年10月30日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在を終了した大西宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船は、以下のとおり無事帰還いたしましたのでお知らせします。
着陸日時 | : | 平成28年10月30日(日) 12時58分(日本時間) 平成28年10月30日(日) 9時58分(カザフスタン時間) |
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着陸場所 | : | カザフスタン共和国 |
搭乗員 | : | アナトリー・イヴァニシン(ROSCOSMOS、露) 大西 卓哉(JAXA、日) キャスリーン・ルビンズ(NASA、米) |
備考 | : | イヴァニシン宇宙飛行士、大西宇宙飛行士、ルビンズ宇宙飛行士の 第48次/第49次長期滞在クルーは、ISSに115日間滞在しました。 |
参考リンク | : | より詳細につきましては、次のインターネットアドレスをご覧ください。 |
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理事長談話
大西宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船(47S/MS-01)の帰還について
本日、国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在を終えた大西宇宙飛行士が、ソユーズ宇宙船(47S/MS-01)にてカザフスタン共和国に無事着陸いたしましたことを大変嬉しく思います。
大西宇宙飛行士は、日本が積み重ねてきた確かな技術と油井宇宙飛行士が整えた利用環境を継承し、日本だからこそできるミッションを確実に遂行してきました。世界初となる「微小重力環境下と人工重力環境下の双方でのマウス同時飼育」と「マウス全数の生存帰還」の技術を確立し、今後これを活用することにより、宇宙飛行士の長期滞在でおこる骨や筋肉の加速的な減少への対策はもちろんのこと、この身体変化と類似する骨粗しょう症や筋委縮など加齢研究への貢献が期待されます。
また、エアロック運用の地上からの遠隔操作化に向けた機能向上を進め、「きぼう」のみが有するエアロックとロボットアームを用いた超小型衛星放出など、ミッション実施機会の拡大を可能としました。アジアで唯一ISS計画に参加する国として、人材育成に貢献する宇宙実験なども実施し、アジアの宇宙機関からは「きぼう」利用への更なる期待が示されました。更に、「こうのとり」が搭載している日本製の近傍通信システムを採用した米国のシグナス補給船の捕獲を筑波の運用管制チームと協力して担当し、「チームジャパンの総合力」を示しました。
このように、大西宇宙飛行士のISS長期滞在は、日本がISS計画の根幹を支えるパートナーとして、欠かせない存在であることを示すミッションでした。
帰還後は、「きぼう」利用による成果の創出に向け、滞在中に得た経験を今後の宇宙実験や将来の有人宇宙技術開発に反映し、平成29年度に長期滞在を控える金井宣茂宇宙飛行士へ日本の有人宇宙活動のタスキをつないでいくことを期待しております。
今回の大西宇宙飛行士の任務完遂に際して、ご支援いただいた国民の皆様、国内関係機関、並びに米国航空宇宙局、ロシア国営公社ロスコスモスをはじめとする国外関係機関の皆様に厚く御礼を申し上げます。
平成28年10月30日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
理事長 奥村 直樹
金井宇宙飛行士のコメント
大西さん、長期宇宙滞在ミッションの大成功、そして無事の帰還、おめでとうございます!
ソユーズ宇宙船の船長補佐役として安全な宇宙船の運行に始まり、さまざまな宇宙実験はもちろん、船外活動のサポート、無人輸送船のキャプチャーなど、本当に盛りだくさんのミッションでしたね。
Google+にほぼ毎日投稿されていた宇宙での生活の様子や、軌道上での業務の様子を撮影したビデオクリップなどを拝見しながら、まるで自分が宇宙ステーションで任務にあたっているかのような臨場感でミッションを応援していました。
地上に帰還した後も、重力へ再適応するためのリハビリテーションや、技術的なデブリーフィング、医学データの取得など、ますます忙しい毎日が始まると思いますが、まずは久しぶりにご家族と過ごして、大好きなラーメンを食べて、リフレッシュをして頑張ってください。
ヒューストンやロシアの星の街での訓練中に、インストラクターや管制官から、大西さんの大活躍を聞くたびに、「来年には、自分も、宇宙ステーションや『きぼう』日本実験棟でバリバリ仕事をするんだ!」と、モチベーションを新たにしていました。
特に、今回のミッションでは、ソユーズ宇宙船やロボットアームの操作など、旅客機パイロットとしての経験がキラリと光るような活躍がとても印象的でした。次の私のミッションでは、自分の臨床医としての経験をもとに、しっかりとした成果を上げたいと思います。
ヒューストンでお会いするのを楽しみにしています。
平成28年10月30日
JAXA宇宙飛行士
金井 宣茂