プレスリリース・記者会見等

このエントリーをはてなブックマークに追加

「D-NET対応搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」の製品化について

平成26年4月7日

ナビコムアビエーション株式会社
宇宙航空研究開発機構

 ナビコムアビエーション株式会社(以下、「ナビコムアビエーション」)は、宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)が研究開発を進めている「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」に対応した搭載性向上型ヘリコプター動態管理システムを製品化いたしました。

 ナビコムアビエーションでは、これまでイリジウム衛星通信を利用したヘリコプター用の動態管理システムを平成15年以来70台以上販売してきました。昨今のヘリコプター用電子装備品に対する要求の高まりや、動態管理システムの普及によるさらなる運航の効率化の要望に応えるため、平成25年7月より簡易型のヘリコプター動態管理システム「Latitude Web Sentinel」の販売を開始しています。
 JAXAでは、消防防災関係者やドクターヘリ関係者と連携してD-NETの研究開発を進めています。D-NETは、現在は音声による無線通信やホワイトボードなどを使って行われている災害救援航空機と地上の運航拠点、災害対策本部などにおける情報の伝達、共有を、データ通信化することにより、より効率的で安全に救援活動を行うためのシステムです。JAXAは、災害救援航空機や地上との間で共有すべき情報を“D-NETデータ仕様”として標準化し、災害対応機関や動態管理システム製作企業への提案活動を行っています。

 今回ナビコムアビエーションにより製品化された「D-NET対応搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」(以下、「本システム」)は、従来の「Latitude Web Sentinel」をD-NETなどに対応するために一部ソフトウェアを改良したもので、ヘリコプターから“移動中”、“任務開始”などの機体の活動状況をデータ化して送信し、地上の端末に表示することが可能になりました。さらにヘリコプターに搭載する機器の総重量は、従来のD-NETシステムの25%と大幅に軽量化しました。D-NETに対応した本システムの普及により、航空無線による音声通信が難しい状況での情報伝達や、大規模災害発生時に集結する多数のヘリコプターの状況把握など、これまで困難だった課題が解決される効果が期待されます。

 現在本システムが機上から送信できるデータは音声通話や活動状況(8種類)ですが、ナビコムアビエーションとJAXAでは、タブレットPCなどと本システムを連接させることにより、より高度な情報を機体-地上間で共有可能となる機能の研究開発を今後進めていく予定です。

(参考1)

「搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」について

 ナビコムアビエーションの「搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」は、「簡易型動態管理システム Latitude Web Sentinel」を改良した動態管理システムです。GPS機能を内蔵し、イリジウム衛星を利用した小型軽量の衛星通信機器「Latitude Technologies社製SkyNode S200」(以下、「S200」)をヘリコプターに搭載することで容易に動態管理システムを構築することができます。
 地上からはインターネットブラウザを使用してヘリコプターのリアルタイムな飛行位置や飛行軌跡を確認することができます。「搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」は消防・防災、医療、警察、報道などの各種任務に従事するヘリコプターの運航の安全性向上と効率化をサポートいたします。

【主な機能】
1) 飛行位置・飛行軌跡の表示機能
インターネット環境さえあればPCやスマートフォンから場所を選ばず、同時に複数のユーザが飛行位置や飛行軌跡を確認することができます。地図にはGoogleマップを使用し、通常の地図だけではなく、地形図や航空写真上に表示することができます。また、飛行軌跡はGoogle Earth形式でのエクスポートに対応しています。

2) 全世界対応
日本国内に限らず、海外を飛行中でも位置・軌跡を確認することができます。

3) 音声通話機能
テレホンアダプタPTA12-100との接続によりヘッドセットでの通話が可能です。このテレホンアダプタはD-NETに対応した活動状況の入力装置としても利用できます。

「搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」のシステム構成

「搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」のシステム構成

「搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」の表示画面の例

「搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」の表示画面の例

(参考2)

「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」について

 地震などの大規模災害が発生すると、全国から多数のヘリコプターが被災地に集結し、情報収集、救急・救助、人員・物資輸送などの救援活動を行います。
 「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」は、データ通信や情報処理技術などを活用して、各機体の機能や性能に応じて最適な任務を迅速に割り当てることによって、航空機による救援活動をより効率的かつ安全に実施することを可能にするためのシステムです。

D-NETシステム概要図

D-NETシステム概要図

 平成21年度から、総務省消防庁および神戸市消防局との協力により、本システムの評価・改良を進めています。
 平成24年9月1日に実施された「「防災の日」総合防災訓練 広域医療搬送訓練」や、平成24年10月27日に実施された「緊急消防援助隊近畿ブロック合同訓練」などに参加し、D-NETの有効性の評価実験を実施してきました。

PAGE TOP