プレスリリース・記者会見等

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総務省消防庁による
D-NETに対応した集中管理型消防防災ヘリコプター動態管理システムの運用開始について

平成26年4月9日

総務省消防庁
宇宙航空研究開発機構

 総務省消防庁(以下、「消防庁」)は、宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)が研究開発を進めている「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の技術が活用された、新しい集中管理型消防防災ヘリコプター動態管理システム(以下、「新システム」)の運用を、平成26年4月より開始しました。

 東日本大震災では多数の航空機が災害救援活動に従事し、大きな成果を上げましたが、今後発生が危惧される大規模災害に備えて、より安全で効率的な航空機運用を行うためには、解決すべき技術課題があります。この課題を解決するため、JAXAは消防庁の協力のもと、D-NETを使った消防防災ヘリコプター動態管理システムの研究開発を進めております。
 消防庁は、より効率的な運用を図るため、消防防災ヘリコプターに対して動態管理システムの導入を積極的に進めています。その結果、自治体の自主的な導入も含め、消防防災ヘリコプター76機中41機に動態管理システムが搭載されています(平成26年3月末日時点)。

 既存の動態管理システムを搭載した全国の消防防災ヘリコプターの活動位置を、消防庁でリアルタイムに把握できるだけでなく、新システムでは、D-NET対応動態管理システム※1を搭載した消防防災ヘリコプター(平成26年3月末日時点で7機に搭載)と災害の発生エリアや詳細内容を情報共有できるようになります。
 また新システムは、JAXAが消防防災有識者およびドクターヘリ有識者と検討し、災害救援航空機が共有すべき情報をまとめた“D-NETデータ仕様”に準拠しています。国内で今後普及していくことが予想される他のD-NET対応動態管理システムとの情報共有も可能となっているため、複数の災害対応機関が救援活動に従事する大規模災害において、より安全で効率的な航空機運用の実現に貢献すると期待されます。
 今後も、消防庁とJAXAは、大規模災害発生時における地上の災害対策本部や運航拠点など拠点間でのさらなる円滑な連携と、災害救援航空機の安全かつ効率的な運航判断による迅速な救援活動へ貢献するため、協力してまいります。

※1:ナビコムアビエーション株式会社(以下、「ナビコムアビエーション」)とJAXAは、航空機から発見した災害情報を地上の運航拠点や災害対策本部などにデータ化して送信する機能を共同で開発し、ナビコムアビエーションの「ヘリコプター用地図情報表示装置NMS-01S」の機能の一部として製品化しました。

(参考1)

総務省消防庁が導入した「集中管理型消防防災ヘリコプター動態管理システム」について

 総務省消防庁が導入した「集中管理型消防防災ヘリコプター動態管理システム」は、ナビコムアビエーション株式会社製ヘリコプター動態管理システム「IMS-320」をもとに開発されています。従来のメール形式から、サーバー・クライアント形式による動態管理システムに改良され、災害時においても堅牢性を確保できるようになりました。総務省消防庁が導入したシステムは、全国の消防防災航空隊に設置された表示端末より入力された消防防災ヘリの整備期間情報を管理・表示する機能が別途追加されています。
 また、同社の「ヘリコプター用地図情報表示装置(NMS-01S)」との連動によりヘリコプター側から地上に向けて登録地点や災害情報、文字メッセージなどが送信できるなど、機能や操作性が格段に向上しております。

 【主な機能】

1)
ヘリコプター位置確認機能
機体リストで追尾したい機体をチェックすると、選択した機体が中心に位置表示されます。
2)
メッセージ送受信機能
機体を選択してメッセージを送信することが可能です。送信先の機体に搭載されているシステムがAMS-3000Sの場合は58文字、NMS-01Sの場合は300文字まで送信可能です。また、NMS-01Sの場合は機上で作成したメッセージを受信表示できます。
3)
検索機能
住所やジャンルなど、検索方法を選択して地上情報を検索することが可能です。地図表示ボタンを押すと検索した地点を地図表示します。
4)
軌跡画面表示機能
過去の飛行軌跡を、機体選択や期間を選択して表示することができます。
5)
ルート送信機能
機体を選択して目的地を送信することが可能です。機体に搭載されているシステムがNMS-01Sの場合はウェイポイントを含んだルートを送信することも可能です。
6)
地点送受信機能(相手先システムがNMS-01Sの場合)
機体を選択して、地点や線・面情報を送信することが可能です。また機上で設定した地点などを受信表示できます。
7)
整備期間表示機能
全国の消防防災航空隊に設置された表示端末より入力された消防防災ヘリの整備期間情報(点検・耐空検査など)や運航情報を統合表示することが可能です。

集中管理型消防防災ヘリコプター動態管理システム 運用イメージ

表示端末 表示例


線・面 表示例


整備期間情報 表示例


(参考2)

「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」について

 地震などの大規模災害が発生すると、全国から多数の航空機が被災地に集結し、情報収集、救急・救助、人員・物資輸送などの救援活動を行います。
 JAXAが研究開発している「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」は、データ通信や情報処理技術などを活用して、各機体の機能や性能に応じて最適な任務を迅速に割り当てることによって、航空機による救援活動をより効率的かつ安全に実施することを可能にするためのシステムです。

D-NETシステム概念図

 平成21年度から、総務省消防庁および神戸市消防局との協力により、本システムの評価・改良を進めています。
 平成24年9月1日に実施された「「防災の日」総合防災訓練 広域医療搬送訓練」や、平成24年10月27日に実施された「緊急消防援助隊近畿ブロック合同訓練」などに参加し、D-NETの有効性の評価実験を実施してきました。

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