平成27年度「きぼう」利用フィジビリティスタディテーマ募集の
選定結果について
平成27年12月22日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船内環境を利用する実験テーマ(フィジビリティスタディ(FS)テーマ)として、国の戦略的研究募集区分3件、一般募集区分9件の合計12件を選定しました。
JAXAは、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟の船内環境の特徴を最大限に活用して、国の科学技術イノベーション政策への貢献や自由な発想に基づく独創的かつ先導的で国際的に高い水準の研究を推進するため、平成27年4月から同年7月にかけて、フィジビリティスタディテーマ(FSテーマ)の募集を行いました。
今回のテーマ募集は、従来、科学的意義と宇宙実験の実現性を重視してきた募集とは異なり、まずは、国の戦略研究や施策への貢献・ビジョンの見通し重視に変更し、選定後にJAXAとともに技術的な詰め(フィジビリティスタディ)を行うものとしています。
今回の募集では、国の戦略的施策に沿った課題解決型の研究に貢献する「きぼう」利用テーマ募集「国の戦略的研究募集区分」と、自由な発想に基づく独創的かつ先導的で、国際的に高い水準の成果が期待できる「きぼう」利用テーマ募集「一般募集区分」の二つの区分でテーマを募集し、国の戦略的研究募集区分で9件、一般募集区分で54件の合計63件の応募がありました。
応募のあった提案について、きぼう利用テーマ選考評価委員会及びJAXAにて選考した結果、以下のとおり国の戦略的研究募集区分3件、一般募集区分9件、合計12件のFSテーマを選定しました。選定後は、早期の軌道上実験の実施を目指し、JAXAと研究者が協力して実験計画の詳細化、技術検討等のフィジビリティスタディを行い、2年以内に宇宙実験の実現性の目途を立てる予定です。
募集区分 | 募集対象/募集分野 | 応募数 | 選定数 | ||
---|---|---|---|---|---|
国の戦略的研究募集区分 | 「きぼう」を使ったヒトの疾患に関連するエピゲノム研究 | 6件 | 計9件 | 2件 | 計3件 |
臓器立体培養等の再生医療に関する「きぼう」利用研究 | 3件 | 1件 | |||
一般募集区分 | 生命科学分野 | 33件 | 計54件 | 6件 | 計9件 |
宇宙医学分野 | 11件 | 1件 | |||
物質・物理科学分野 | 10件 | 2件 | |||
合計63件 | 合計12件 |
提案者 | テーマ名 | ||
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国の戦略的研究募集区分 | エピゲノム | 平野 久 (横浜市立大学) | 「きぼう」を利用した骨粗鬆症に係わるタンパク質の臨床プロテオーム研究 |
宮浦 千里 (東京農工大学) | 新規な質量分析イメージングによる筋・骨格系疾患の発症機構解明 | ||
立体培養 | 谷口 英樹 (横浜市立大学) | 微小重力環境を活用した臓器創出を目指す三次元培養技術の開発 | |
一般募集区分 | 生命科学 | 加藤 晃一 (自然科学研究機構) | 神経変性疾患の発症機構解明に向けた微小重力環境下でのアミロイド線維形成と性状評価 |
瀬原 淳子 (京都大学) | ゼブラフィッシュを用いた宇宙滞在感受性遺伝子の同定とその感知機構の解明 | ||
藤田 知道 (北海道大学) | 宇宙におけるコケ植物の環境応答と宇宙利用(スペース・モス) | ||
星野 友 (九州大学) | 宇宙空間におけるミドリムシによる物質循環サイクルの実現可能性検証 | ||
村上 正晃 (北海道大学) | 重力刺激による脊髄背側血管への血管ゲート形成と分子発現の解析 | ||
山本 雅之 (東北大学) | 宇宙ストレスにおける環境応答型転写因子Nrf2の役割 | ||
宇宙医学 | 森田 啓之 (岐阜大学) | 長期宇宙滞在により引き起こされる耳石前庭機能の評価 | |
物質・物理科学 | 鈴木 良尚 (徳島大学) | タンパク質結晶の完全性を左右する不純物の結晶への分配係数と結晶成長機構との関係(AdvancedNanoStep) | |
山中 淳平 (名古屋市立大学) | 微小重力を用いた多成分会合コロイド系の相挙動の研究 |