国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟を利用した
高品質タンパク質結晶生成実験の有償利用契約の締結について
平成28年2月24日
ペプチドリーム株式会社
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
ペプチドリーム株式会社(代表取締役社長 窪田 規一、本社:東京都目黒区、東証第一部)、以下「ペプチドリーム」)および国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長 奥村 直樹、以下「JAXA」)は、国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟を利用した高品質タンパク質結晶生成実験を包括的に実施する受託契約(以下、「本契約」という。)を締結しましたので、お知らせいたします。
記
1.契約の内容
本契約は、ペプチドリームが保有する複数の創薬ターゲットを対象に、JAXAが試料生産への技術的助言から宇宙実験までの一連の作業を受託する包括的な契約内容となっています。個々のタンパク質結晶化実験毎に契約を締結していた従来の契約形態と比較して、ペプチドリームの研究の状況に応じた迅速かつ柔軟な宇宙実験の実施が可能となります。
特殊環状ペプチドによる創薬開発プラットフォームシステムという世界に類を見ない技術で創薬研究開発の分野をリードするペプチドリームと、微小重力環境という稀有な研究環境を活用した高品質タンパク質結晶化プラットフォームを有するJAXAが包括的に連携することにより、従来の取り組みと比べ、より短期間で効率的に創薬標的タンパク質と医薬品候補化合物の構造情報を取得、さらには日本発・世界初の医薬品創成の早期実現に挑戦します。
2.契約の実施期間
平成28年2月~平成29年8月(予定)
[参考]
本契約の背景
ペプチドリームは、平成27年9月、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟で行われる高品質タンパク質結晶生成実験 第2期シリーズ 民間利用促進コース(トライアルユース)に応募し、JAXAと受託契約を締結しました。これまでにペプチドリームが提供した試料をJAXA側にて宇宙実験に向け、タンパク質試料の精製、結晶化条件検討を進めてきており、既に地上での結晶化に成功しております。来月にはロシアのプログレス宇宙船に搭載され、宇宙実験を行い、詳細な構造情報の取得を目指す予定となっています。
JAXAの提供する高品質タンパク質結晶生成実験 第2期シリーズ 民間利用促進コースについてはこちらをご参照ください。
https://iss.jaxa.jp/kiboexp/participation/application/protein_crystal_2nd_private.html
ペプチドリーム株式会社について
ペプチドリーム株式会社は、「日本発、世界初の新薬を創出し社会に貢献したい」という現社長窪田規一と現社外取締役菅裕明(東京大学大学院教授)の共通の夢から、平成18年7月に設立されました。独自の創薬開発プラットフォームシステム:PDPS(Peptide Discovery Platform System)を用いて、極めて広範囲にわたる特殊ペプチドを多数(数兆種類)合成し、高速な評価を可能にすることで、創薬において重要なヒット化合物の創製、リード化合物の選択、並びに創薬標的タンパク質と医薬品候補化合物の相互作用様式(ファーマコフォア)の理解を極めて簡便に、かつ、効率的に行えるようにしました。ペプチドリーム株式会社は、特殊ペプチドを用いた創薬企業の世界的なリーダーとして世界中の病気で苦しんでいる人々に画期的新薬を提供することを使命として、研究開発に取り組んでおります。
特殊環状ペプチドとは
特殊環状ペプチドとは20種類の天然アミノ酸と非天然(化学合成品を含む。)の特殊アミノ酸を結合させて創成した「特殊ペプチド」の両端を結びつけて環状にしたものです。本技術の開発により、体内でより長く安定した構造を維持することが可能となり、従来のペプチド医薬品ではなしえなかった安定した構造を持つ特殊環状ペプチドを容易・迅速・安価・大量に創り出すことが可能となりました。
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