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欧州宇宙機関(ESA)、フランス国立宇宙研究センター(CNES)及び
ドイツ航空宇宙センター(DLR)との温室効果ガスのリモートセンシング及び
関連ミッションに関する協定の締結について

平成29年12月13日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立研究開発法人国立環境研究所

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)は、平成29年12月11日(現地時間)に、欧州宇宙機関(ESA)及びフランス国立宇宙研究センター(CNES)と、平成29年12月12日(現地時間)に、ドイツ航空宇宙センター(DLR)と、フランス共和国パリ市において、「温室効果ガスのリモートセンシング及び関連ミッションに関する協定」を締結いたしましたので、お知らせいたします。

 パリ協定の枠組みの下、各締約国は、統計データから算出した自国の温室効果ガス排出量の一覧表(インベントリ)を作成し、報告することが義務付けられていますが、地球全体を均一に測定できる衛星から得られたデータは、地上観測により得られたデータを補完して、各国が報告するインベントリの正確性を確認する科学的根拠としての役割が期待されています。

 本協定は、世界で初めて温室効果ガス観測専用の衛星である温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)を打ち上げた日本と、ESA、CNES及びDLRが、それぞれ締結するもので、「いぶき」及び「いぶき2号」と各宇宙機関の温室効果ガス観測衛星等から得られるデータを互いに校正・検証することで、衛星観測データの信頼性を向上させると共に、均一性を図ることを目的としています。

 JAXA、NIESと各機関は、世界中の様々なユーザに、温室効果ガスに関する衛星観測データの利用を定着させるため、各国の環境行政に携わる機関等との連携を図るとともに、衛星観測データの精度向上を通じて、共に、パリ協定実施に貢献することを目指します。


参考情報1:
JAXA: 「いぶき」(2009年1月打上げ)
「いぶき2号」(2018年度打上げ予定)
ESA: Sentinel-5P(2017年10月打上げ)
CNES: MicroCarb(2020年打上げ予定)
CNES・DLR共同: Methane Remote Sensing Lidar Mission(MERLIN)(2021年打上げ予定)

参考情報2:
  • パリ協定とは、2015年12月に気候変動枠組条約第21回締約国会議(UNFCCC COP21)で採択され、2016年11月に発効した、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みで、長期目標として、「世界的な平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度以内に抑える努力すること」を掲げ、すべての国が5年ごとに削減目標を提出・更新する仕組みなどを規定しています。
  • 日本は、環境省、JAXA及びNIESが共同で、世界初の温室効果ガス観測専用の衛星である温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)を開発し、平成21年1月の打上げ以降、現在も観測を続けています。
  • パリ協定の枠組みの下、各締約国は、統計データ等から算出した自国の温室効果ガス排出量の一覧表(インベントリ)を作成し、報告することが義務付けられています。
  • 温室効果ガス濃度の把握のためには、これまで地上観測が主たる方法でしたが、「いぶき」のような人工衛星が定常的に運用されるようになり、地上と宇宙の両方から監視ができるようになりました。地上観測には地域的な特徴を細かく把握できるメリットがあり、人工衛星観測には地球全体の温室効果ガスの濃度を均一に測定できるというメリットがあります。
  • 「いぶき」の打上げ以降も、米国、中国、欧州や民間企業による、同様の観測衛星の打上げが続き、地球規模での温室効果ガスの把握が進みつつあります。衛星は、地球全体を単一のセンサで測定するので、測定機器や手法の違いによる影響を受けずに、空間的に均一に測定することができます。このため、衛星データは各国が報告するインベントリの正確性を確認する科学的根拠としての役割が期待されています。
  • 日本政府は、世界で初めて温室効果ガス観測専用の衛星を打ち上げた国として、自国のインベントリの正確性を確認するための参照データとして衛星観測データが世界の多くの国に用いられることを推進しています。そのため、JAXAとNIESから、「いぶき」のデータを世界にオープンかつ無償で提供していますが、そのデータの正確性と信頼性を理解いただくためには、世界の衛星と互いのデータを交換して校正・検証を行うことが必要です。
  • 環境省、JAXA及びNIES は、2015年に米国航空宇宙局(NASA)と「GOSAT、OCO-2及びGOSAT-2ミッションに係る協力に関する了解覚書」を結び両国の衛星観測データの校正・検証を共同で進めております。今回、欧州において温室効果ガス観測衛星の打上げ・運用の計画を持つESA、CNES及びDLRとも同様の協力を進めることに合意しました。

ESA署名式

左:アッシュバッカー局長、右:奥村理事長

CNES署名式

左:ル・ガール総裁、右:奥村理事長


DLR署名式

左:奥村理事長、中:エーレンフロイント長官、右:グルッペ理事

 

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