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日本独自の宇宙マウス飼育システムの令和2年度科学技術分野の
文部科学大臣表彰及び本システムを用いたJAXA-NASA共同
低重力ミッションの実施合意締結について

2020年(令和2年)4月14日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立大学法人筑波大学

 国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟での宇宙マウス飼育システム(※1)を利用した活動についてお知らせします。

 4月7日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び筑波大学のチームが、令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞 科学技術振興部門)を受賞しました(※2)。これは、JAXAが中心となって進めてきた宇宙でのマウス飼育システムの開発及び地上の健康長寿や有人宇宙探査に関する研究への貢献に対するものです。

 JAXAは、ISSの利用成果最大化に向けた日米協力枠組み(Japan-U.S. Open Platform Partnership Program: JP-US OP3)のもと、本システムを用いた低重力ミッションの共同実施を米国航空宇宙局(NASA)との間で、本年2月に合意しています(※3)。この共同ミッションを通じて、JAXAは、筑波大学の協力を得て、日米の国際研究チームにより、今後の有人宇宙探査活動に向けた知見獲得への貢献を目指しています。

※1 「きぼう」宇宙マウス飼育システムについて
宇宙では、健康な宇宙飛行士でも、骨量や筋肉の急速な減少など、高齢者の加齢と類似した現象が急速に生じます。このような変化に対する重力の影響を詳細に調べるために、JAXAは、微小重力及び地球の重力(1G)以下に変化させた環境で同時にマウスを飼育できる世界唯一のシステムを開発し、2016年から4回、「きぼう」で長期飼育ミッションを行いました。いずれも100%のマウス生存帰還等を含め計画どおりにミッションを完遂しています。また2019年6月には、世界初となる、“月と同様の重力環境(地球のほぼ1/6)でのマウス長期飼育”を成功させました。これらの成果は、マウスなどの小動物ミッションで先行する米国との差を一気に縮めるものとなりました。
※2 令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰について
「宇宙マウス飼育システム開発から健康長寿と有人探査への貢献」として、下記の業績に関し、JAXAの白川正輝きぼう利用企画グループ長、芝大技術領域主幹、水野浩靖技術領域主幹、及び筑波大学医学医療系の高橋智教授が表彰されました。
  • 世界で初めて、国際宇宙ステーションにおいて、地球の重力(1G)以下の可変重力環境でマウスの長期間の飼育が可能となるよう、遠心機に搭載可能な小型個別ケージでのマウス飼育と、地上への100%生存帰還を可能とした。
  • これにより、ばらつきが少ない安定した実験系として、重力が骨・筋肉等に与える影響を初めて定量的に示すことができ、これらに関わる遺伝子等の特定が可能となった。
  • 「きぼう」日本実験棟を、地上の加齢や健康医療研究に加え、重力が地球の1/6の月や1/3の火星に向けた研究に活用でき、今後の国際有人宇宙探査における我が国のプレゼンス発揮や探査等への成果拡大に寄与している。
(情報掲載URL: https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00187.html
※3 JAXA-NASA共同ミッションについて
  • 本共同ミッションは、JAXAのみが有する世界で唯一の宇宙マウス飼育システムに対し、NASAから利用の期待が寄せられ実現したものです。
  • JAXAの宇宙マウス飼育システムを用い、0~1Gの間の4つの異なる重力環境において同時にマウスを長期間(30日程度)飼育する計画で、2022年頃の実施を目指します。NASAがマウスに対する人工重力環境を利用したミッションに参加するのは初めてです。JAXAは、第1回目のマウス飼育ミッションにおいて重力影響に関し網羅的な解析を行っている研究者(代表研究者:筑波大学医学医療系 高橋智教授)の協力を得て、日米の国際研究チームにより統合的に解析・評価を進める予定です。
  • マウスがこのような低重力の環境において、どのような反応を示すのかは未知のままであり、JAXAがこれまで蓄積した0, 1/6, 1Gのデータと合わせて、本ミッションにより体系的な評価が可能となります(下図参照)。例えば反応閾値の存在等が明らかになれば、世界で初めての知見になるとともに、将来の月・火星探査における有人活動の支援に向けた貴重なデータとなることが期待されます。
JAXAの宇宙マウス飼育システムを活用した低重力データの蓄積とミッション概要

JAXAの宇宙マウス飼育システムを活用した低重力データの蓄積とミッション概要

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