プレスリリース・記者会見等

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暮らしやヘルスケア分野の新たな事業創出に向けた取り組みの開始について
~宇宙と地上双方の暮らしをより良くする「THINK SPACE LIFE」プラットフォーム始動、
及び国際宇宙ステーションで使う新たな生活用品アイデアの募集開始~

2020年(令和2年)7月7日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川宏、以下「JAXA」)は、宇宙からの視点を日々の暮らしに役立てるため、多種多様な企業等による暮らしやヘルスケア分野の新たな事業創出を目指し、2つの取り組みを開始します。
 1つ目は、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)※1の事業化促進に資する活動として始動する、宇宙生活の課題から宇宙と地上双方の暮らしをより良くする「THINK SPACE LIFE」プラットフォームです。本プラットフォームは、暮らしやヘルスケア分野の新しい事業のタネを掘り起こし、研究開発やビジネス創出を後押しする取り組みで、企業等に対しアイデアの企画から商品・サービス開発に至るまでのインキュベーション機能や、企業間・産学官連携を促進する横断的コミュニティ活動の場を提供します。
 2つ目は、国際宇宙ステーション(ISS)で使われることを目指した、宇宙と地上の生活の共通課題を解決する生活用品アイデアの募集です。課題テーマとその解決策をセットで募集し、選定後に提案者によって開発された生活用品を、宇宙飛行士によるフィットチェック等の各種ステップを経て、2022年度以降のISS搭載を目指します。
 JAXAは、生活用品アイデアの募集及び既存の共同研究や宇宙実証の仕組み※2による参画機会と「THINK SPACE LIFE」プラットフォームを有機的に連携(別紙1)させ、宇宙に暮らす時代に暮らしやヘルスケア分野が宇宙と地上双方の新たな市場へ発展するよう後押しをしていきます。

図1

1. J-SPARC「THINK SPACE LIFE」プラットフォーム始動

 暮らしやヘルスケア分野における新たな宇宙関連マーケットの創出を目指し、宇宙生活の課題を起点に新たな生活用品やソリューションを創出し、宇宙と地上双方の暮らしをより良くするため、「THINK SPACE LIFE」プラットフォームを立ち上げました。本プラットフォームは、宇宙飛行士のパフォーマンス向上や宇宙旅行者の満足度向上につながるサービスの提供、将来的には月・火星での有人探査ミッションも見据えることで、地上における新たな生活様式やワークスタイルに向けたサービス創出、さらには健康や住まいに関するSDGs目標※3の達成など社会課題の解決も目指すものです。
 本プラットフォームは、多種多様なプレーヤーによる研究開発やビジネス創出を促進するため、当該分野に特化したインキュベーション機能やコミュニティ活動を提供します。具体的には、アイデア共創ワークショップや関連する分野の専門家によるメンタリングなどのアクセラレーション活動、地上での実証の場の提供などを通じて、事業アイデアの企画からサービス開発、そして実証までを加速させます。これらのインキュベーション機能に係る企画・運営、及び各種インキュベーション機能の機会提供については、当該プラットフォームのインキュベーションパートナー(別紙2)との協働で推進いたします。今後も多くのパートナー企業との連携により、当該分野の市場開拓に向けた取り組みを展開していきます。

 ★「THINK SPACE LIFE」プラットフォーム
  https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/projects/think-space-life/

2. ISS搭載に向けた、新たな生活用品アイデアの募集

 2022年度以降にISSで使われる生活用品を開発することを目指し、「宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ及び解決策のアイデア募集」をスタートします。JAXAでは宇宙飛行士の支援及び任務の確実な遂行に寄与することを目的として、これまでも国内の優れた民生品をISSに搭載しております。新たな取り組みでは、このISSに生活用品を搭載する機会を活用し、制約のある宇宙生活のQOL(Quality of Life)を向上するとともに、地上の課題解決にもつながるアイデアを募集します。選定後は、宇宙飛行士によるフィットチェック等を行いつつ国際宇宙ステーションで宇宙飛行士が使用する生活用品として開発を行っていただき、安全性等の制約条件をクリアしたものをJAXAはISSに搭載します。(別紙3

 ★ISS搭載に向けた宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ・解決策の募集
  https://iss.jaxa.jp/med/partner/71532.html

※1 J-SPARC

「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」とは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい事業を創出するプログラムです。2018年5月から始動し、新規マーケット創出活動や異分野糾合のための場づくりなど、事業化促進に資する活動を含めて約20のプロジェクトを現在進めています。
【J-SPARC 公式ウェブサイト】 https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/

図2

※2 既存の共同研究や宇宙実証の仕組み

※3 SDGs目標

持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、本取り組みでは、「3.すべての人に健康と福祉を」や「6.安全な水とトイレを世界中に」、「11.住み続けられるまちづくり」など、健康や住まいに関する目標を中心に、様々な目標達成を目指す。

別紙1

暮らしやヘルスケア分野における新たな事業創出を目指した取り組みの全体像

ISS搭載を目指した生活用品アイデアの募集などの参画機会と、提案に向けたアイデア発想や生み出されたプロトタイプの地上実証の場としての「THINK SPACE LIFE」プラットフォームを相互に連携させることで、宇宙と地上双方でのビジネス化・社会実装につなげていきます。

図3

 また、2つの取り組み開始にあわせて、暮らしやヘルスケア分野のソリューションや新規事業のアイデア発想に活用いただけるストーリーブック「Space Life Story Book」を公開します。
  “究極のテレワーク環境”ともいえる宇宙環境下で、宇宙飛行士は日々の規則的な生活や心身の健康管理、クルーや地上とのコミュニケーションなどを通じてパフォーマンスを維持しています。ストーリーブックは、日本人宇宙飛行士が宇宙滞在経験を通じて感じたちょっとした不便や困りごと、工夫などを掘り起こし、これらをヒントとした10のカテゴリーごとにまとめたものです。既に公開済みの将来の有人探査ミッションの実現にむけた健康管理上の技術ギャップ※4と合わせて、ご活用いただけることを期待しています。

★Space Life Story Book https://iss.jaxa.jp/med/images/71532_story.pdf

図4

日本人宇宙飛行士の宇宙滞在経験をヒントとした10のカテゴリー

※4 将来有人宇宙活動に向けた宇宙医学/健康管理技術の技術ギャップ一覧(第2版2020年2月)

https://iss.jaxa.jp/med/images/200207_technical-gap.pdf

別紙2

インキュベーション機能の提供にかかる初期実施体制と各インキュベーションパートナーによる主な取り組み内容

図5
企業名 主な取り組み内容
1 シタテル(株) 「宇宙から考える衣服の価値」をテーマとしたアイデア創出ワークショップ※5の実施や、アイデアの具現化、製品・サービス開発に向けたマッチング支援等を通じたアクセラレーション活動。
2 日本たばこ産業(株)
(JT)
「宇宙から考える心豊かな“ひととき”」をテーマとしたアイデア創出ワークショップ※5の実施や、ワークショップで得られたアイデアの具現化、製品・サービス開発に向けたメンタリング等を通じたアクセラレーション活動。
3 (株)LIFULL
地方創生推進部
LivingAnywhere Commons
本プラットフォームを通じて開発するソリューションをLivingAnywhere Commonsが運営する地方サテライト拠点等でのトライアル利用及びフィードバックを行う等、地上実証の場を提供。
4 (株)ワコール
人間科学研究所
「宇宙から考える健康・美しさ・快適さ」をテーマとしたアイデア創出ワークショップ※5の実施や、ワークショップで得られたアイデアの具現化、製品・サービス開発に向けた支援等を通じたアクセラレーション活動。
5 パーソルイノベーション(株)
eiicon company
約15,000社が登録する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」を活用した当該分野の新規参入促進、共創パートナー募集、及びインキュベーション支援。
6 (株)電通
電通ビジネスデザインスクエア
ソリューション開発センター
当該分野の新規参入促進に向けたインキュベーションスキームの企画、保有するネットワークを活用した企業アプローチ、及びメディアタイアップ企画等の対外コミュニケーション推進。
7 NPO法人ミラツク 本プラットフォームにおける宇宙生活課題に基づくアイデア創出ワークショップをコアとした新規事業創出にかかる仕組みの企画・検討、リビングラボ連携に係る検討、メンタリング活動。
8 有人宇宙システム(株) ISS運用や健康管理運用の経験に基づく知見を活用したメンタリング活動や低軌道利用民間サービス事業者とのネットワーク等を活かしたユーザーの事業検討サポート。

※5 事業アイデア共創ワークショップについて

インキュベーションパートナーとJAXA共催により、下記日程で開催。お申込みは各申し込みサイトまで。

1) 「宇宙から考える健康・美しさ・快適さ」: 7/16、8/6、8/27の全3日(主催:(株)ワコール、JAXA)
https://jsparc-tsl-ws-1.peatix.com
2) 「宇宙から考える心豊かなひととき」:7/22、8/12、8/28の全3日(主催:JT、JAXA)
https://jttsl.peatix.com/
3) 「宇宙から考える衣服の価値」: 8/5、8/19、9/2の全3日(主催:シタテル(株)、JAXA)
https://form.run/@JAXA-sitateru-WS

別紙3

ISS搭載に向けた、新たな生活用品アイデアの募集の概要とプロセス

<募集内容>
 宇宙生活での課題や困りごと集「Space Life Story Book」をご参考に(別紙1参照)、技術や製品を生かして、宇宙及び地上での生活の課題解決や利便性を向上させることができるもの(課題テーマおよび解決策(新規生活用品等のアイデア))。

<応募資格>
日本の法律に基づき適法かつ有効に設立され、且つ存続する法人
(アイデアの事業化に取り組むことのできる企業等)

<応募締切>
2020年9月4日(金)17:00

<ISS搭載までのプロセス>

図6

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