GITAIとJAXA、世界初の「宇宙用作業ロボット事業」の創出に向けた
事業コンセプト共創活動を始動
2020年(令和2年)9月10日
GITAI Japan株式会社
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
GITAI Japan株式会社(代表取締役社長:中ノ瀬翔、以下「
GITAIは、国際宇宙ステーション(ISS)において、民間企業として世界に先駆け、自社のロボットによる特定タスクの自律化・自動化活動の技術実証を行います。JAXAは、技術協力を通してその活動を支援するとともに、宇宙用ロボットの新たな知見獲得を目指します。また、GITAIとJAXAは、ISS及びその先の活動を見据え、宇宙用ロボットが提供する新たなサービスの検討を進めていきます。

GITAIの軌道上技術実証における技術連携を通して知見を獲得し、
宇宙用ロボットが提供する新たなサービスに対する事業コンセプトを共創する(© GITAI・JAXA)
GITAIは、ISS船内の運用・メンテナンス・科学実験作業等に関連する特定タスクの自律化・自動化を実現するため、自社に「きぼう」日本実験棟の模擬フィールドを構築し、開発・検証を進めてきました。そして、2021年度には米国Nanoracks社と共同で、ISSのBISHOP(※3)船内で、GITAIロボットによる汎用作業(各種スイッチ・ケーブル操作等、パネル組み立て等)の技術実証を、民間企業として世界に先駆けて行います。そして、本技術実証データを、将来の月周回有人拠点(Gateway)やアルテミス計画等の宇宙ミッション、地上での遠隔医療や災害救助等のミッションへ活用した新たなサービスを検討していきます。
JAXAは、「きぼう」を含む地球低軌道(地球近傍の宇宙空間)の持続的な発展を目指し、「きぼう」における民間活動の拡大に取組んでいます。宇宙飛行士の軌道上作業を支援するロボットが実現できれば、作業の効率化だけでなく、「きぼう」における民間活動の拡大や研究活動の高度化も期待されます。今回、GITAIが実施する軌道上技術実証に向けて、「きぼう」のシステム運用を通じて獲得してきた知見を踏まえて、検証解析活動に対する技術協力を行うとともに、宇宙用ロボットの新しい知見の獲得や将来の「きぼう」での宇宙用ロボットの実証・サービス利用に向けた検討を進めていきます。
GITAIとJAXAは、本事業コンセプト共創活動を通して、宇宙用ロボットが提供する新たなサービス及び事業コンセプトについて検討を促進し、人類の宇宙活動における安全性とコストの課題を解決し、宇宙空間における更なる作業需要の増加に対応していきます。

ISS BISHOP船内でのGITAIロボットによる技術実証図(※GITAI社内の模擬BISHOP船内で撮影)
© GITAI Japan株式会社
※1:GITAIは、各宇宙領域でロボット化が必要な作業を識別し、それらの作業を遂行可能なロボットを実現していくことで、宇宙での作業コストを100分の1に下げることを目指す宇宙ロボットベンチャーです。主に①宇宙ステーション船内外の作業、②軌道上サービス(衛星への燃料補給・修理、宇宙デブリ除去サービス)のドッキング作業、③月面探査・基地開発作業の各領域の汎用作業のロボット化を目指し、独自の汎用型宇宙ロボットの開発を進めています。
https://gitai.tech/外部サイト
※2:「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」とは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい事業を創出するプログラムです。2018年5月から始動し、現在、約20プロジェクトを進めています。事業コンセプト共創では、マーケット調査、事業のコンセプトの検討などの活動を、事業共同実証では、事業化手前の共同フィージビリティスタディ、共同技術開発・実証などの活動を行います。
http://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/

※3:BISHOPは、米国Nanoracks社が開発をすすめるISS商用エアロックモジュールです。
https://nanoracks.com/bishop-airlock/外部サイト
<関連動画>
2021年度にGITAIとNanoracks社で実施予定の、ISS BISHOP船内でのGITAIロボットによる汎用作業遂行技術実証イメージ動画
(※GITAI社内の模擬BISHOPで撮影した地上実証動画)
GITAIとの事業共創に関するプロジェクト動画
<GITAI代表取締役社長 中ノ瀬翔 コメント>
![]() |
宇宙用作業ロボットの技術実証と事業化が本共創によってさらに促進されることを大変嬉しく思います。 |
---|
<JAXA有人宇宙技術部門事業推進部長 川崎一義 コメント>
![]() |
JAXAは、「きぼう」を含む地球近傍の宇宙空間(地球低軌道)の発展を目指し、日本のさまざまな分野の研究機関や民間の参画を得て、次世代を切り拓く宇宙利用を創出・推進しています。この活動を通じ「きぼう」の宇宙飛行士の仕事を支援する宇宙用作業ロボットが実現できれば、作業の効率化だけでなく「きぼう」における様々な研究活動の高度化や新たな利用活動も期待できます。同時に、宇宙を通じて獲得される最先端の技術は地上においても新たなイノベーションの創出につながるものです。本活動が新たな宇宙活動の可能性を切り開くとともに、JAXAの有人宇宙技術を始めとする研究開発成果とあいまって、民間の宇宙事業化の現場で広く活用され、新たな科学的知見や産業の創出に寄与することを期待しています。 |
---|