新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)1号機における
超小型衛星放出技術実証ミッションの
搭載衛星インテグレーション等を行う実施企業の選定について
2020年(令和2年)10月29日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川宏、以下「JAXA」)は、新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)1号機で行う超小型衛星放出技術実証ミッションの搭載衛星インテグレーション等を行う実施企業について、2020年6月30日から公募し、Space BD株式会社(代表取締役社長:永崎将利)を選定、契約を締結しましたので、お知らせいたします。
HTV-Xは、国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送機会を活用し、先進的な技術の実証を行う計画です。1号機では、この技術実証プラットフォームとしての機能・性能を検証する目的で、超小型衛星放出技術実証ミッションを行います。HTV-Xからの超小型衛星放出は、HTV-Xの特長である自在な飛行能力を活かし、ISSよりも高い高度から衛星を放出することにより、超小型衛星の運用期間の延長や実用的な利用ミッションへの適用を可能とするなど、超小型衛星放出の新たな需要を引き出します。
本契約において、Space BD株式会社はJAXAが提供する衛星放出機会に対して、搭載する衛星ユーザの開拓や放出衛星の選定、放出に向けて必要となるユーザインテグレーション等を行います。また、今回の新たな取り組みとして、JAXAが行うHTV-X1号機の衛星放出システムの開発段階から、衛星搭載ケースの仕様調整や衛星放出に係るプロセスの構築に関与します。Space BD株式会社が開発段階から関与することにより、JAXAは、ユーザの要望を直接設計に反映し、利便性の高い衛星放出システムの開発を目指しています。
HTV-X1号機 超小型衛星放出技術実証ミッションの概要イメージ(©JAXA)
契約締結に際してのJAXAとSpace BD株式会社のコメント
JAXA 佐々木宏 有人宇宙技術部門長のコメント
今回の公募を通じて、HTV-Xからの超小型衛星放出に対して高いニーズがあることを改めて認識しました。Space BD株式会社により、HTV-Xからの衛星放出において更なる付加価値やサービスの向上に貢献いただけるものと期待しています。JAXAとしても衛星放出システムの整備や技術面での支援を行い、本ミッションの成功、月以遠探査への発展に向けて取り組んでいく所存です。
Space BD 永崎将利代表取締役社長のコメント
今回JAXA様より選定いただいたHTV-X1号機からの衛星放出ミッションは、当社主力事業である衛星打上げサービス及びISS利用サービスにおいて培ってきた営業力と技術力が存分に活かせるものであり、JAXA様との協調のもと、成功に向けて全力で取り組んでまいります。
HTV-Xは、地球低軌道での経済圏確立のためのプラットフォームとして、また月以遠探査を支えるテストベットとして大きな発展可能性を持つ、我が国が誇る宇宙資産であると考えています。今回の選定をきっかけに、その価値最大化に資する取組をベンチャー企業ならではの発想とコミットメントにより進めていく所存です。
選定された実施企業代表と佐々木有人宇宙技術部門長(©JAXA)
(左から:Space BD株式会社 代表取締役社長 永崎将利 様、JAXA 有人宇宙技術部門長 佐々木宏)
今後の超小型衛星放出事業
JAXAは、「きぼう利用戦略」(http://iss.jaxa.jp/kiboexp/strategy/:2020年6月第3版制定)に基づき、「きぼう」からの衛星放出能力を12U(1U:10x10x10cm衛星相当)から24U相当に増強する取組を進めています。これに加え、HTV-Xによる衛星放出機会を提供することにより、「きぼう」及びHTV-Xの特徴を活かした超小型衛星の実証機会の多様化・拡大を実現し、地球低軌道利用の発展につなげてまいります。
また、HTV-Xは、国際宇宙探査への展開も視野に入れ、今後、自動ドッキング技術等を新規獲得し、月周回有人拠点「ゲートウェイ」への物資補給を目指しています。HTV-Xに衛星放出能力が備われば、月周回軌道からの衛星放出といったミッションへの活用も期待できます。