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JAXAとNTTデータ、3次元地図の高精度化に関する共同研究を開始
~世界の防災地図整備等に向けて人工衛星搭載レーザ高度計を活用~

2021年(令和3年)3月26日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
株式会社NTTデータ

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川宏、以下「JAXA」)と株式会社NTTデータ(代表取締役社長:本間洋、以下「NTTデータ」)は、人工衛星に搭載したレーザ高度計(注1)を活用した3次元地図の高精度化に関する共同研究を2021年1月から2022年3月にかけて実施します。

 本共同研究では、JAXAのレーザ高度計に関する技術とNTTデータの3次元地図に関する技術を掛け合わせて、樹木や植生に覆われた森林域における3次元地図作成の技術課題の解決を図るとともに、防災をはじめとする多様な分野で活用される3次元地図の高精度化に取り組みます。具体的な取り組みは以下のとおりです。

 JAXAは、これまでレーザ高度計を利用した地球観測に関する研究開発を進めてきました。今回の共同研究では、レーザ高度計が取得したデータを用いて、地盤面の高さを正確に測定する技術を研究し、3次元地図高精度化への寄与を目指します。また、この成果を、軌道上実証を含む今後のレーザ高度計による地球観測技術の研究に反映します。

 NTTデータは、これまで全世界デジタル3D地図サービス「AW3D®」(注2)を世界130カ国以上を対象として展開してきました。今回の共同研究では、衛星画像から作成した樹高等を含む地表面の高さモデルおよびレーザ高度計により測定した高さデータを用いて、地盤面の高さモデルを正確に作成する技術を研究します。本研究の成果を用いて、デジタル3D地図サービスにおいて世界のハザードマップ等の高精度化を実現することを目指します。

図1:宇宙機搭載レーザ高度計のイメージ図

図1:宇宙機搭載レーザ高度計のイメージ図 ©JAXA

左:地表面高さモデルに基づく浸水予測エリア
右:地盤面高さモデルに基づく浸水予測エリア

図2:研究開発成果のイメージ
(左:地表面高さモデルに基づく浸水予測エリア、右:地盤面高さモデルに基づく浸水予測エリア)
©NTTデータ

別紙

【背景】

 近年、世界各地で気候変動に起因するとされる異常気象によって、洪水や地すべりなどの自然災害が毎年のように起きています。災害被害の危険エリアの特定や把握をより正確に行うため、高精度な3次元地図が必要とされています。また、都市や建設、交通等の産業においても、3次元地図の利用が進み、さらなる業務効率化や付加価値向上のために、地図の高精度化が求められています。
 これまで、NTTデータは、JAXA等の衛星画像を利用した全世界デジタル3D地図サービス「AW3D」を展開してこれらの要求に対応してきましたが、通常の衛星画像では、樹木や植生に覆われた地面を直接観測できないため、森林域のハザードマップ等に必要な地盤面の観測に課題がありました。
 そうした課題に対し、JAXAとNTTデータは、JAXA研究開発部門センサ研究グループが研究を進めている、地盤面や森林の高さ構造を高精度に測定可能な「宇宙機搭載レーザ高度計」に関する技術の活用が有効と考え、森林を含む世界中のエリアでハザードマップに適用可能で、さらに多様な分野での活用も可能となる3次元地図の高精度化に関する技術の共同研究を行います。

【研究内容】

 JAXAとNTTデータは、3次元地図を高精度化する技術課題について、以下の通り、研究開発を進めます。

  • JAXA:森林の高さ構造を高精度に測定可能なレーザ高度計を用いて、地盤面の高さを正確に測定する技術
  • NTTデータ:衛星画像から作成した樹高等を含む地表面の高さモデルおよびレーザ高度計により測定された高さデータを用いて、地盤面の高さモデルを正確に作成する技術

 本共同研究成果を活用して、NTTデータは同社の3D地図サービスにおいてハザードマップ等の高精度化を実現します。具体的には、これまで高精度のデータ取得には航空機等による観測が用いられていたため、ハザードマップ作成は先進国の主要な河川等に限定されてきましたが、人工衛星からの広範囲にわたる高精度データを活用し、開発途上国を含む世界中のエリアへ拡大することを見込んでいます。
 JAXAは、今後のレーザ高度計による観測データの3次元地図高精度化への寄与を目指します。

【今後】

 JAXAとNTTデータは、今回の3次元地図の高精度化を実現後に、研究成果を反映したさらなる高精度化した新しい衛星センサやデータ解析技術の研究を進めるとともに、都市デジタルツイン(注3)のスマートシティ分野や森林資源量把握の環境分野等への応用の研究を進める予定です。

【用語解説】

(注1) レーザ高度計(ライダー):
自身が発射したレーザが対象で反射した光を受信し、送受の時間差を計測することで対象までの距離を測る装置で、これまでに地上・車載・航空機搭載等で多くの観測例があります。
宇宙からの地球観測に用いることにより、通常の衛星画像では、直接観測の難しい樹木や植生におおわれた地盤面を高精度に観測することができます。宇宙機搭載としては、小惑星探査機「はやぶさ」等に搭載された実績がありますが、それらに比べ軌道高度が高く、レーザパワーが約1,000倍近く必要となる「地球観測用レーザ高度計」に向けて研究開発を行っています。
参考図:レーザ高度計観測の原理図

参考図:レーザ高度計観測の原理図 ©JAXA

(注2)
(注3) デジタルツインとは、実世界をIoTセンサや3Dマップ等の技術を用いてデジタル空間内に再現する技術です。都市環境や人の流れなどのリアルタイムのモニタリング、シミュレーションに基づいて、全体最適が図られた持続可能な街づくりの実現が期待されています。

*「AW3D」は、日本国内における株式会社NTTデータと一般財団法人リモート・センシング技術センターの登録商標です。

*その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

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