中型旅客機での機体騒音低減技術(FQUROH)の
実用化に向けた連携体制を構築
2021年(令和3年)8月20日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)は、空港周辺の騒音低減を目指して研究開発を進めてきた旅客機機体騒音低減技術の実用化に向けて、200~400人乗りの中型旅客機※1での実証を目指した連携体制を構築しました。

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図1 中型旅客機でのFQUROHの実用化に向けた連携体制
今後の航空旅客需要予測に対応し、空港の国際競争力を強化するため、日本の主要空港では離発着回数を増やすことが検討されています。一方、その一例である都心を低空で着陸進入する羽田空港の新飛行ルートでは、旅客機の騒音に対する関心は高く、騒音発生源対策への社会的要請は強まっています。このように、旅客機乗客の利便性向上と、空港周辺地域の騒音被害の軽減の両立が課題となっています。
本体制では、JAXAと国内企業が機体騒音低減技術研究開発(FQUROH)※2を通じて獲得してきた得意技術を結集し、この課題解決に取り組みます。さらに、旅客機の機体開発経験を多く持つボーイング社とともに中型旅客機を用いた飛行実証を目指した計画立案を行うことによって、機体騒音低減技術の実用化の加速が可能となりました。
今後、JAXAは本体制のもと2022年度末までに機体低騒音化のデバイス設計を行うと共に、2023年度以降にデバイス開発・飛行実証等計画策定を行い、機体騒音の低減による空港周辺地域の騒音被害軽減に貢献してまいります。

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図2 機体低騒音化デバイスの設置対象部分
フラップ・スラット:
揚力を増す機能をもつ装置。高揚力装置とも呼ばれる。
降着装置:
航空機の機体を地上で支持する機構で、そのうち特に着陸の際の衝撃などを受けられるものを指す。
※1:中型旅客機
国内エアラインの保有機数が最も多く、空港周辺の騒音低減効果、及び発着便の増便に伴う乗客の利便性向上効果も大きい中型旅客機に適用するための低騒音化デバイスの設計検討及び飛行実証計画の立案を行う枠組みとなります。
※2:FQUROH(Flight Demonstration of Quiet Technology to Reduce Noise from High-lift Configurations)
空港周辺における騒音は、エンジン設計の改良によって離陸上昇時の騒音は大きく低減しています。他方、着陸進入時の低騒音化はこの20年間は停滞傾向にあります。その主な原因が、機体の高揚力装置や降着装置から発生する空力騒音(機体騒音)です。FQUROHでは、将来の静かな旅客機を開発していくために、この機体騒音を低減する技術の研究開発を行っています。
https://www.jaxa.jp/press/2018/02/20180223_fquroh_j.html