日本オープンイノベーション大賞内閣総理大臣賞の受賞について
開かれた宇宙を目指した次世代スペースアバター開発と今後の展開
日本オープンイノベーション大賞内閣総理大臣賞の受賞について
開かれた宇宙を目指した次世代スペースアバター開発と今後の展開
2022年(令和4年)2月24日
avatarin株式会社
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
大分県
ANAホールディングス発のスタートアップであるavatarin株式会社(代表取締役CEO:深堀昂、以下「avatarin(株)」)と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川宏、以下「JAXA」)、大分県(知事:広瀬勝貞)の3者は、内閣府の主催する第4回日本オープンイノベーション大賞※1のうち、最も優れたものとして表彰される内閣総理大臣賞を受賞し22日に表彰式が執り行われました。

写真:2022年2月22日表彰式
スタートアップ企業、国立研究開発法人、地方自治体という異なった事業体の3者が主導し、「アバターXプログラム※2」に参加いただいた35の企業とともに行った「究極の遠隔地である宇宙でのアバターの活用検討の成果」をもとに、大分県という地上のフィールドで実証をおこなったということが、オープンイノベーションによる社会課題解決につながる成果として評価され、今回の受賞となりました。
特に昨今のコロナ禍において人々の活動が制約される中でアバターの特性を生かして遠隔教育や病院業務(遠隔でのお見舞い・遠隔診療)等)、遠隔ショッピングなど様々な場面においてアバター技術が社会課題解決に活かせることを大分県というフィールドで行ってきました※3。

また、この成果を宇宙アバターの技術にフィードバックし、国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」に設置した宇宙アバターを地上から一般の方が操作するという宇宙体験を実施しました※4。
◆受賞した取り組みでの主な実績
◆3者の役割とコンソーシアム

図1 本取組の概要
◆今後について
JAXA、大分県、avatarin(株)は、次世代スペースアバターの開発を継続するとともに、アバター技術がもたらす新たな価値の創出及び宇宙と地上での利用の拡大を進めていきます。今後さらに多くの方の参画も期待しています。
◆受賞にあたってのコメント
avatarin(株): | 今後さらに大分県での取り組みや宇宙での実証で得た知見をもとに、アバター技術の向上を図り、教育、介護などの地域課題解決や、遠隔観光、遠隔ショッピングによる地方創生への貢献を目指します。 宇宙においては、開かれた宇宙を目指し、次世代のスペースアバターを開発していきます。視点が自由に動かせることに加え、顔が映るモニターを備えて、スペースアバター同士や宇宙飛行士とコミュニケーションを取ることが可能になります。また、実証を主体としながらも法人利用や一般ユーザーの宇宙体験など様々なニーズに対応していきます。 |
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JAXA: | avatarin(株)とのJAXA共創型研究開発プログラム(J-SPARC※7)を通じて、通信・人的リソースに制限ある宇宙空間でのアバター技術活用に向けた次世代浮遊型スペースアバター等の検討、実証を目指します。本技術による飛行士支援のほか、将来探査ミッション等にも活用できる技術・知見の獲得及びISS/きぼうにおける民間活動の拡充にも取り組みます。 |
大分県: | アバターの普及啓発や社会実装に向けた取り組みを、今後も継続していきます。現在、大分県の企業がアバターの量産を行っていますが、将来的にスペースアバターの開発や生産に大分県の企業が参画できればと考えています。また、大分県では新たな産業として宇宙産業に注目し宇宙港や衛星データの活用等に取り組んでおり、スペースアバターもその一つとして大分県に根付くことを期待しています。 |
参考資料:
別紙1:JAXAにおけるこれまでの実施内容(865KB)
別紙2:地上アバターによるこれまでの実施内容(584KB)
※1 日本オープンイノベーション大賞:
https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/index.html外部リンク
※2 AVATAR X program
「AVATAR X」とは、今後の宇宙関連市場の⼤幅な拡⼤を⾒据え、宇宙関連事業への参⼊を⽬指す企業・団体、⾃治体約30社とANAホールディングス・JAXAが連携し、「アバター(avatarin(株)が描く瞬間移動⼿段)」を活⽤した、宇宙関連事業の⽴ち上げを⽬指すプログラムです。「ANA AVATAR VISION」と、新たな発想の宇宙関連事業の創出を⽬指す「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(JSPARC)」における「⼈類の活動領域を拡げるテーマ群」の⼀環として、事業コンセプトの共創を⾏っています。
https://www.anahd.co.jp/group/pr/201809/20180906.html外部リンク
※3 大分県における実証例
https://www.anahd.co.jp/group/pr/201909/20190912.html外部リンク
https://www.anahd.co.jp/group/pr/202002/20200204.html外部リンク
https://about.avatarin.com/info-news/news-release/654/外部リンク
https://about.avatarin.com/info-news/news-release/1369/外部リンク
https://about.avatarin.com/info-news/news-release/5050/外部リンク
※4 宇宙でのアバター技術活用に向けた第一歩として宇宙を身近に感じる宇宙-地上間の技術実証を実施
https://about.avatarin.com/info-news/news-release/593/外部リンク
※5 地上アバター(newme)
「newme(ニューミー)」(URL︓https://avatarin.com/avatar/newme/外部リンク)は、「avatarin」プラットフォームを介して、体を移動させずに人の意識と存在感を伝送する新たな移動手段です。移動したい場所にあるnewmeを選択して、見て、話して、歩きまわることができます。既存のコミュニケーションツール(ビデオ通話やWeb会議システム)などとは異なり、自分の意思で好きなタイミングで遠隔地の空間を動きまわることができます。
※6 宇宙アバター(space avatar)
地上からISSや月面など宇宙空間に接続し宇宙飛行士の支援、作業代替、休息などの業務を行う宇宙アバター。
極限環境でのデータ通信の環境構築・技術開発を⾏うことで、今後災害時や通信インフラ未整備のエリアにおいてもアバターの利⽤を可能にすることを⽬的としています。具体的には「きぼう」から4K動画を⾼圧縮・リアルタイムで地上に配信するエンコーダ技術と、リアルタイムでJAXA施設外から「きぼう」内装置を遠隔操作できるコマンド送信システムの⼆つの技術を統合して世界初の「きぼう」でアバター体験ができるシステムを構築しました。
※7 J-SPARC
「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」とは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい事業を創出するプログラムです。2018年5月から始動し、現在、約20プロジェクトを進めています。http://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/