プレスリリース・記者会見等

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人工衛星データ活用による広告の高度化を通じた
需給連携事業の共創を開始

2022年(令和4年)7月1日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
株式会社電通グループ

 株式会社 電通グループ(本社:東京都港区、社長:五十嵐 博、以下、電通グループ)と宇宙航空研究開発機構(本社:東京都調布市、理事長:山川 宏、以下、JAXA)は、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)(※1)の下、人工衛星データ活用による、広告の高度化を通じた需要の創出と需給の最適化の実現に向け、共創活動を開始しました。

 人工衛星データは、これまでも農業分野において農作物の収量増大や収穫時期予測に活用されてきましたが、天候の影響によりデータが欠損し、解析が困難になるといった課題がありました。本取り組みは、その課題解決に向けた技術研究を行うと共に、それらの情報を、農作物や関連商品の販売時期に合わせた広告出稿のタイミングの調整に用いることなどを通じ、販売・広告施策にリアルタイムに反映させることで、積極的な需要創出と需給の最適化の実現を目指します。この新たなユースケースにより、衛星データ利用の更なる拡大が期待されます。

©電通グループ/JAXA


 株式会社電通は、2020年に、テレビ広告の効果を向上させる基盤システムRICH FLOW(※2)を開発しました。今回の共創では、連携協力者(※3)と共に、衛星データを解析して農作物の出荷量や出荷時期および価格の予測モデル構築・高精度化を行った上で、RICH FLOWを用いることで、当該作物を食材として用いる調味料商材の広告出稿の種類・タイミングの最適化を目指します。これにより、広告効果の向上だけでなく、旬な農作物の廃棄ロスを低減し、SDGs目標達成にも貢献することを目指します。

 JAXAは、これまで培ってきた地球観測衛星の利用技術をベースに、今回の共創では、雲の影響等により衛星データ利用が制限される現状課題の改善に取り組むため、AIを活用して光学観測で発生しうる地上データ欠損(雲による遮蔽など)を補完する技術の研究に取り組みます。また、新たに圃場の協力を得て実地データと衛星解析データを突合し評価することで、衛星データ解析技術を高度化します。
 本共創活動を通して、JAXAは衛星データ利用を更に拡大し、農業分野以外も含む社会実装を目指します。

©電通グループ/JAXA


 両社の共創活動による「広告の効率化・高度化」を通じて、宇宙分野以外の新規プレイヤーによる衛星データを活用した需要創造の新たなユースケースの開拓を行うとともに、生鮮食品のサプライチェーン効率化を図り、持続可能な社会の実現(※4)を目指します。



※1 JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)
J-SPARCは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい事業を創出するプログラムです。2018年5月から始動し、これまでに30を超えるプロジェクト・活動を進めています。事業コンセプト共創では、マーケットリサーチ、事業のコンセプト検討などの活動を、事業共同実証では、事業化手前の共同フィージビリティスタディ、共同技術開発・実証などの活動を行います。

https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/

※2 RICH FLOW
株式会社電通が開発した、複数の広告主間でテレビ広告枠の組み換えを行い、広告効果を向上させるための最適パターンを提案するシステムです。AIを活用し、広告主のニーズに基づく最適な組み換えパターンを特定した上で、対応可能な放送局と連携し、適切に広告枠の組み換えを行うことで、より効果的なテレビスポット広告の出稿を可能にします。

※3 連携協力者(解析事業者)
株式会社スペースシフト https://spcsft.com/外部リンク
株式会社Fusic https://fusic.co.jp/外部リンク

※4 両社による本取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における下記目標への貢献を目指します。
9  衛星データ利用技術及び広告の高度化など
12 食品ロスの低減など
17 JAXA、電通グループ及び連携協力者による共同作業



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