プレスリリース・記者会見等

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JAXAと国連宇宙部との連携協力(KiboCUBE)に基づく
第4回選定のモルドバ衛星の「きぼう」からの放出について

2022年(令和4年)8月18日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 2022年8月12日、JAXAと国連宇宙部の連携協力プログラム「KiboCUBE」の第4回で選定された、モルドバ工科大学(Technical University of Moldova、以下「TUM」)の超小型衛星(衛星名:TUMnanoSAT(トゥムナノサット))が「きぼう」日本実験棟より放出されました。衛星放出のライブ映像はウェブ上のライブ中継で配信され、モルドバ国内ではナタリア・ガブリリツァモルドバ共和国首相、片山芳宏駐モルドバ日本国大使及びその他関係者らが放出の様子を見守りました。
 TUMnanoSATは同国初の人工衛星で、「きぼう」からの放出後、TUMが運用を行います。今回の衛星開発・運用を通じた人材育成及び技術実証の成果が、同国の今後の更なる宇宙活動の発展へとつながることが期待されます。

第4回KiboCUBE TUMnanoSATの放出までの経緯

・2019年6月 

第4回KiboCUBEとして選定

・2022年3月 

JAXA筑波宇宙センターにて衛星引き渡し

・ 同  7月

NASAケネディ宇宙センターから国際宇宙ステーション(ISS)へ打上げ

・ 同  8月12日

「きぼう」日本実験棟より、ロボットアームにより放出

「きぼう」より放出されたTUMnanoSAT ©JAXA/NASA

「きぼう」より放出されたTUMnanoSAT ©JAXA/NASA

TUMnanoSATの放出を見守るナタリア・ガブリリツァモルドバ共和国首相(前列右から2人目)及び片山芳宏駐モルドバ日本国大使(同3人目) ©モルドバ工科大学

TUMnanoSATの放出を見守るナタリア・ガブリリツァモルドバ共和国首相(前列右から2人目)及び片山芳宏駐モルドバ日本国大使(同3人目) ©モルドバ工科大学

TUMnanoSATの放出成功を祝う関係者 ©モルドバ工科大学

TUMnanoSATの放出成功を祝う関係者 ©モルドバ工科大学

【関係者のコメント】

JAXA 佐々木宏 理事、有人宇宙技術部門長
 JAXAがモルドバ共和国初の衛星TUMnanoSATの「きぼう」からの放出を無事に完了できたことを心よりうれしく思います。また、モルドバ共和国が宇宙コミュニティの一員となる支援ができたことを名誉に感じています。本件に携わった国連宇宙部そしてTUMの関係者の皆様に改めて敬意を表します。
 TUMnanoSATは今後軌道上で各種センサ等の技術実証を実施していくと伺っています。それら全てが成功を収めるよう祈念しております。
 TUMnanoSATの開発・運用を通じて得られた経験が、モルドバ共和国の更なる宇宙活動の発展につながることを祈念しております。また近い将来、JAXAがモルドバ共和国の皆様と協力できることを心より願っております。改めて、放出の成功誠におめでとうございます。

国連宇宙部 ニクラス・ヘッドマン部長代行
(原文)
 "We are excited to see the first Moldovan satellite deployed to space, an accomplishment that the team from TUM has worked so hard for. This would not have been possible without the endless support of JAXA. We are grateful that, together, we are bridging the capabilities gap in the sector. We hope to see many more rounds in the future so that we can jointly offer this unique opportunity to more countries. As this experience sparks the promise of more space-related activities in Moldova, be assured that UNOOSA continues to work to bridge the space divide and stands ready to support you.”
(仮訳)
 モルドバ共和国初の衛星が無事放出され、モルドバ工科大学の皆様の苦労が報われたことを大変嬉しく思います。この放出成功はJAXAの支援があって実現したものであり、共に宇宙業界の能力格差の解消に貢献出来ていることに感謝いたします。多くの国々にこの機会を届けられるよう、今後も本プログラムの公募を続けていけることを期待します。本衛星放出の経験はモルドバの宇宙活動活性化につながると確信しており、また国連宇宙部としてもそれを支援していきたいと思います。

モルドバ工科大学(TUM)ヴィオレル・ボスタン学長
(原文)
 “The launch into space of Moldova’s nanosatellite TUMnanoSAT designed and manufactured at the Technical University of Moldova represents the first national and institutional space experience. This major achievement highlights the valuable human potential of the Technical University of Moldova proving that engineering is a promising field that can be studied at home and thus contributing to the development of Moldova’s space science and technology both for the benefit of the academic community and the whole country.”
(仮訳)
 モルドバ工科大学が設計、製造したTUMnanoSATが無事にISSから放出され、モルドバは宇宙活動の第一歩を踏み出しました。
 宇宙科学および宇宙技術は、モルドバの学術界及び国全体の利益に寄与することが期待されています。本衛星放出の成功は、その宇宙科学および宇宙技術を学ぶ場としてのモルドバ工科大学のポテンシャルを示す、大きな成果です。

SDGsにおけるJAXAの取り組み

新興国、宇宙途上国の小型衛星開発技術を支援

4 質の高い教育をみんなに

◆KiboCUBE
(国連宇宙部(UNOOSA)との超小型衛星放出の機会提供に関する協力取決によるプロジェクト)
衛星の開発技術が確立されていない新興国・途上国に対して、超小型衛星の開発支援を行うとともに、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟から宇宙空間へ放出することで、宇宙空間での利用・実証機会を提供し、発展途上国等の宇宙関連技術の向上と宇宙利用能力の構築に貢献します。

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