JAXAと国連宇宙部との連携協力(KiboCUBE)に基づく
第3回選定のインドネシア衛星の「きぼう」からの放出について
2023年(令和5年)1月11日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
2023年1月6日、JAXAと国連宇宙部の連携協力プログラム「KiboCUBE」の第3回で選定された、インドネシア共和国スーリヤ大学(Surya University)の超小型衛星(衛星名:Surya Satellite-1 (SS-1))が「きぼう」日本実験棟より放出されました。
ヘリ・アフマディ駐日インドネシア大使が筑波宇宙センターにおいて放出をご見学された他、インドネシアにおいても、ライブ配信を通じて金杉憲治駐インドネシア日本大使及びインドネシアの関係者らが放出の様子を見守りました。
Surya Satellite-1は「きぼう」から放出された後、 Surya Satelliteの開発チームが運用を行います。今回の衛星開発・運用を通じた人材育成及び技術実証の成果が、同国の今後の更なる宇宙活動の発展へとつながることが期待されます。
Surya Satellite-1 (SS-1)の放出までの経緯
2018年 9月
第3回KiboCUBEにおいてSS-1プロジェクトを選定
2022年 7月
JAXA筑波宇宙センターにて衛星引き渡し
同 11月
NASAケネディ宇宙センターから国際宇宙ステーション(ISS)へ打上げ
2023年 1月
「きぼう」日本実験棟より、ロボットアームにより放出

(「きぼう」より放出されたSurya Satellite-1 提供:JAXA/NASA)

(筑波宇宙センターにおいて衛星放出の様子を見学されるアフマディ駐日インドネシア大使一行)

(左)インドネシアにおける放出観覧イベントの様子 ©SS-1プロジェクトチーム
(右)イベントの中で祝辞を述べられる金杉駐インドネシア日本大使 ©SS-1プロジェクトチーム
【関係者のコメント】
•JAXA 佐々木宏 理事、有人宇宙技術部門長
インドネシア共和国のスーリヤ大学が開発したSurya Satellite-1の「きぼう」からの放出を無事に完了できたことを心よりうれしく思います。本件に携わった国連宇宙部、スーリヤ大学を始めとする関係者の皆様に改めて敬意を表します。
Surya Satellite-1は、今後軌道上で通信技術を始めとする技術実証を実施していくと伺っています。それら全てが成功を収めるよう祈念しております。
そして、Surya Satellite-1の開発・運用を通じて得られた経験が、インドネシア共和国の宇宙活動の発展につながることを願っております。また近い将来、JAXAがインドネシア共和国の皆様と協力できることを楽しみにしております。改めて、放出の成功誠におめでとうございます。
•国連宇宙部 ニクラス・ヘッドマン部長代行
(原文)
"Congratulations to Surya University and the supporting team for this tremendous accomplishment. It is impressive how the team prevailed despite the challenges posed by COVID-19! We look forward to SS-1 realizing its mission and pushing forward the momentum of space-related activities in Indonesia. We are proud to work with JAXA on KiboCUBE as it continues bridging the space divide and shedding light on many countries that are working so hard to develop space capacities. We look forward to deepening our cooperation and providing more opportunities in the coming years.”
(仮訳)
衛星の放出成功にあたり、スーリヤ大学及び衛星開発チームの皆様にお祝い申し上げます。
新型コロナウィルス感染症による影響にも負けず開発を成功させたことは大変素晴らしく、Surya Satellite-1がそのミッションを完遂してインドネシアの宇宙活動の更なる発展につながることを期待します。
JAXAと共に、宇宙活動の能力獲得を目指す世界各国の取り組みを支援するため、KiboCUBEプログラムを推進できることを誇りに思うとともに、この連携を更に深化させていくことを期待します。
•スーリヤ大学 リンダワティ学長
(原文)
“We are pleased with the successful deployment of Surya Satellite 1 (SS-1) from the International Space Station. We hope for a smooth operation of SS-1 during its mission, so that it can be beneficial for many people, especially in Indonesia.
Surya University also expresses our sincere gratitude to UNOOSA, JAXA, and other stakeholders and sponsors for this collaboration since we got awarded the KiboCUBE deployment opportunity in 2018. This is an important milestone for Surya University, as well as for Indonesia, since this is the first nanosatellite program, which is technically designed and manufactured by undergraduate students from Surya University- Indonesia.
We hope that this achievement can further trigger the development of a similar program by students, to benefit our communication and informatics field.”
(仮訳)
Surya Satellite 1の放出成功を大変嬉しく思います。同衛星が順調にそのミッションを遂行し、インドネシアの人々にとって有益な成果をもたらすことを期待しています。
本衛星は、スーリヤ大学の学生が主体となり開発を行いました。インドネシアの学生が主導し開発した初のナノ衛星ということで、本日の放出成功はスーリヤ大学及びインドネシアにとって大きなマイルストーンとなったと考えています。
SS-1の放出成功が、次のインドネシアの大学による衛星開発プロジェクトを創出し、ひいてはインドネシアの更なる情報・通信技術の発展に貢献することを期待しています。
SDGsにおけるJAXAの取り組み
新興国、宇宙途上国の小型衛星開発技術を支援

◆KiboCUBE
(国連宇宙部(UNOOSA)との超小型衛星放出の機会提供に関する協力取決によるプロジェクト)
衛星の開発技術が確立されていない新興国・途上国に対して、超小型衛星の開発支援を行うとともに、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟から宇宙空間へ放出することで、宇宙空間での利用・実証機会を提供し、発展途上国等の宇宙関連技術の向上と宇宙利用能力の構築に貢献します。