プレスリリース・記者会見等

このエントリーをはてなブックマークに追加

「だいち2号」による全国地殻変動分布図の初公開について

〜全国の地殻変動を一目で把握 〜

2023年(令和5年)3月28日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)が運用する陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」※1は、2014年の打上げから現在まで全国の地殻変動や隆起などの地表面の動きを継続的に繰り返し観測してきました。この「だいち2号(ALOS-2)」の観測データを用いて作成された日本全国の“地殻変動の地図”が、国土交通省国土地理院(以下、国土地理院)より3月28日に初公開されます。

 この「だいち2号(ALOS-2)」の2014年8月からの8年以上のLバンドSAR※2データを用いて、国土地理院により、全国の干渉SAR時系列解析が実施されました。正確な干渉SAR処理を行うには長期的に安定した衛星の追跡管制(衛星の軌道高度での維持運用および軌道高度・姿勢の高精度での決定)と、高精度の軌道・姿勢情報をもとにしたSARデータ処理技術が必要であり、JAXAと国土地理院の技術協力により可能となりました。これにより、初めて、全国の地殻の変動をくまなく詳細に捉え、日本全国の大地の動きを可視化する“地殻変動の地図”の制作が実現されました。“地殻変動の地図”が、国土交通省国土地理院(以下、国土地理院)より3月28日に初公開されます。

 「だいち2号(ALOS-2)」に搭載のPALSAR-2により得られたSARデータの解析による全国の地殻の変動は、「地理院地図 / GSI Maps」※3から確認でき、火山活動や地盤沈下などによる地殻の変動の広がりを一目で把握することが可能です。この変動情報を活用することで、測量の基準(国家座標)の維持管理や、地盤沈下調査等の空間分解能の向上につながることが期待されます。

 この成果をさらに発展させ、日本全国の変動分布図の長期的な更新、高精度な変動把握を継続するために、JAXAでは「だいち2号(ALOS-2)」での観測を継続するとともに、後継となる先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」※4を開発中であり、より広域かつ高頻度の観測を実施していく計画です。

※1

陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」
https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-2/index.html

※2

SAR(Synthetic Aperture Radar合成開口レーダ)は、人工衛星等から地表に向けて電波を照射し、戻ってきた電波を受信し、往復にかかる時間により地表までの距離を面的に観測するセンサの一種です。人工衛星では、地球を周回しながら同一地点に電波を照射し観測することで、大きな開口を持ったアンテナと同様な解像度を得るため、人工的に「開口」を「合成」する「合成開口」と呼ばれる技術を用いています。これにより、地表の状態やその変化を詳細に把握することが可能です。
また、森林の多い日本全土についてこのような長期的な地殻の変動の正確な把握には、だいち2号、だいち4号が用いている森林を透過して観測が可能な波長(Lバンド)での観測が有効です。

※3

※4

先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」
https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-4/index.html

『解析:国土地理院 原初データ所有:JAXA』

図)陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」と干渉SAR時系列解析結果

【関連リンク】

PAGE TOP