SMFLみらいパートナーズとJAXA、人工衛星リース事業および二次利用事業の共創活動を開始
2023年(令和5年)12月21日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
SMFLみらいパートナーズ株式会社
三井住友ファイナンス&リースグループのSMFLみらいパートナーズ株式会社(代表取締役社長:寺田 達朗、以下「SMFLみらいパートナーズ」)と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川 宏、以下「JAXA」)は、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ※1」の枠組みのもと、「人工衛星リース事業および二次利用事業」に関する事業コンセプト共創に関する覚書を締結し、共創活動を開始したことをお知らせします。
<共創活動の背景>
2022年に軌道上に打ち上げられた人工衛星などの機体数は過去最大の2,368機であり、この10年で約11倍に増加しています。その内、商業衛星は2,042機で2019年以降顕著な伸びを示しています。日本においても今後10年間で合計280機以上の商業衛星の打ち上げが計画されるなど、観測・通信分野における機体数増加が予測されています。
(出典:内閣府宇宙開発戦略推進事務局「宇宙輸送を取り巻く環境認識と将来像」)
一方、人工衛星の開発・製造・打ち上げなど初期投資に関するコストは低下傾向にあるものの、人工衛星の利用事業に関わる民間事業者にとっては依然として大きな課題として認識されています。人工衛星利活用需要を支えるための課題解決手法の開発と確立が求められています。
<共創活動の内容>
SMFLみらいパートナーズとJAXAは、SMFLみらいパートナーズが持つリースビジネスで培った物件の所有や価値を評価するノウハウと、JAXAが持つ人工衛星の信頼性や健全性評価に関する技術を組み合わせることで、人工衛星のリース市場の形成と二次利用市場の創出に向けた事業コンセプトを共創します。
人工衛星リース事業は、リース事業者が衛星開発メーカーから衛星を購入し、運用事業者に賃貸する仕組みです。これにより初期投資コストを低減し、迅速な事業開始を支援することができれば、新規参入が促進され宇宙産業が拡大することが期待されます。
人工衛星の二次利用市場は、契約終了や初期目的達成後の人工衛星を新たな所有者に引き渡し、運用を継続する仕組みです。人工衛星の二次利用市場が形成されることで、人工衛星の持つ将来価値(残存価値)に着目し、人工衛星の取得価額から残存価値を差し引いた部分をリース料に設定するオペレーティング・リースの提供が可能になります。将来価値のリスクは、リース事業者が原則負担するため、運用事業者は低廉なリース料で人工衛星を利活用することが可能になります。
人工衛星のリース市場および二次利用市場の形成には、衛星データなどの利用者の拡大と同時に、軌道上人工衛星の適切な評価方法、リスクマネージメント手法の確立、法務・会計・税務面での整理が必要です。本共創では、上記二つの事業についてビジネスモデルの設計を行い、成立性の検討(フィージビリティスタディ)を実施します。また、衛星データ利用者との連携、宇宙産業のサプライチェーンとの連携など、宇宙産業に参入する新たなプレーヤーを支える仕組みづくりの検討を行います。
SMFLみらいパートナーズは、リースビジネスで培ったモノへの知見と資産管理ノウハウに加え、幅広い金融機能を持つ事業会社の強みを生かし、ビジネスモデルの設計と成立性検討を実施します。
JAXAはこれまでの人工衛星の運用および開発から得られた知見を通じて、人工衛星の信頼性・健全性の評価方法の検討、健全性評価におけるリスクマネージメントの検討を行うことで、当該事業のフィージビリティスタディを支援します。
SMFLみらいパートナーズおよびJAXAはそれぞれの強みを生かし、本共創の成果として民間事業者の宇宙産業への新規参入、衛星データの利用拡大につながるビジネスモデルの構築を目指します。また、SMFLみらいパートナーズは人工衛星のリースに加えて、衛星画像などのデータを利用者へ提供するソリューションの開発を進め、企業の宇宙産業への参入や衛星データの利用拡大を促すことで、社会価値の創出を目指します。
※1 JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)
J-SPARCは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者などとJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証などを行い、新しい事業を創出するプログラム。2018年5月から始動し、これまでに40を超えるプロジェクト・活動を進めています。
https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/
以上