プレスリリース・記者会見等

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マネジメント改革検討委員会報告書について

2024年(令和6年)4月23日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

4月23日に開催された宇宙開発利用部会(第86回)において下記のとおり報告をしました。

JAXAではH3ロケット試験機1号機打上げ失敗、イプシロンロケット6号機の打上げ失敗や医学系研究に関する倫理指針不適合事案に対する調査結果を踏まえ、再発防止策を個々に進めてきました。そのような中、主務大臣評価で助言して頂いた『意識改革』の要請は、個別の事象の調査では見出せていない課題、あるいは組織的・マネジメント的課題がなかったかといった点について振り返る機会を頂いたものだと捉えました。

2023年10月、JAXAは発足から20年を迎えました。発足当時はH-IIAロケット6号機等のいくつかの失敗が重なり、ミッションを成功させるための業務改革として、システムズエンジニアリングの強化、安全・ミッション保証業務の改善、専門技術力の強化、プロジェクト/プログラムマネジメントの改善等に取り組みました。さらにその後、X線天文衛星「ひとみ」の軌道上での喪失を受け、次なる業務改革として、フロントヘビー型組織への変革、企業との契約制度の見直し、価値創出を重視した組織作りを実施してきました。

この20年間、JAXAは決してその歩みを止めることなく、一つ一つ失敗を乗り越え、政府や国民の期待に沿うべく職員一同、改善・改革に取り組んできました。その一方で、意識面や組織風土というような組織のソフト面である『人』に着目した検討、あるいは暗黙の前提となっていたような制度・ルールにまで踏み込んだ検討はこれまで必ずしも十分には取り組むことができませんでした。

近年、外部環境は大きく変化しています。人の価値観は多様化し、個人と組織の関係性も変化してきました。また宇宙分野においては、多くの民間企業や大学等が宇宙開発・宇宙利用に参画する時代となり、JAXAに求められる役割も変わってきました。

マネジメント改革検討委員会は、その立上げに際し、この検討を前向きで意味のあるものにしていかなければならないとの強い想いの下、聖域なく、対話を重視し、役職員の誰もが自分の想いを語れる改革検討を目指しました。こうして役職員間の対話が生まれ、組織に内在する様々な課題を洗い出すことができました。そして、役職員が共通の価値観を共有し、一丸となって克服すべき課題を認識したことこそ、本委員会の最大の収穫だと考えています。もちろんそれらを丁寧に一つ一つ解決してこそ真の改革となります。アクションプランは多岐にわたりますが、今後、着実に実装していく決意です。

JAXA は今後もさらなる成果を生み出し続けるより強い組織へ進化することを目指しています。この報告書は、風通しよく、建設的な議論をなるべくありのままに記載しています。改革検討に取り組んだ私たちをイメージしながら読み進めていただければ幸いです。

マネジメント改革検討委員会
委員長 鈴木和弘

(マネジメント改革検討委員会報告書のポイント)

  • ・マネジメント課題を「マネジメント・ガバナンス」、「人材」、「組織」、「技術」、「航空宇宙の産業基盤」に大括り化し、これらの共通要因を『役割と事業の拡大に相応しい人材強化を経営がしてこなかったことである』と認識。
  • ・人的資本経営の考え方を取り入れ、経営戦略と人材戦略を連動させた組織横断的な議題に迅速に対応する人材・組織開発統括会議(副理事長ヘッド)の設置を含む41件のアクションプランを設定。
  • ・主務大臣評価で指摘のあった研究開発マネジメント課題への対応として、「プロジェクト推進組織の当事者意識」、「基幹ロケットの開発マネジメント」、「新規開発ロケットへの衛星搭載」、「内部統制環境」に関する課題を分析し、上記のアクションプランに反映。
  • ・組織風土や意識面についての対話と分析を通じ、経営層/管理職/現場職員それぞれ内省と意識改革を実施。

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