寄附金の種類 ~月、そして火星へ~ 本格化する月面科学に寄附

寄附金の種類

JAXAでは3種類の寄附金を用意しています。寄附者は個人、法人を問いません。

~月、そして火星へ~本格化する月面科学に寄附

~月、そして火星へ~本格化する月面科学に寄附

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2024年1月に小型月着陸技術実証機「SLIM」の月面着陸を確認しました。宇宙科学研究所は、SLIMの成果を踏まえ、アルテミス計画と協調し、今後本格的に月面の科学探査を行うための活動を開始します。

 本事業のご寄付は、本格的な月面の科学探査や火星を見据えた月面での技術的な挑戦に向けた研究活動と、広報・アウトリーチ活動等に充当いたします。

岩田茂美プロフィール写真

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Profile

藤本 正樹
宇宙科学研究所・副所長/教授)


大阪出身。2006年入社。太陽系科学研究系教授として着任、同研究系主幹、研究総主幹を経て2018年より現職。

—本格化する月面探査や科学において、藤本先生の所感を教えてください。

 有人探査やNASAが先導するプロジェクトが注目を浴びていると思いますが、世界の動向として、火星探査を含むアルテミス計画があります。アルテミス計画は、「みんなで」月や火星探査をしましょう、と読み取ることができます。世界のみんなで宇宙へ向かうため、価値の高いものをいざ作ろうと思うと、技術的現実性かつ予算の問題が立ちはだかりますね。しかし、大規模でなくても価値のあるものは沢山あると思います。他の宇宙機関もまねしたくなるような、ちょうどいい規模でかつ面白いものを作ることができれば、誰も取り残されず人類全体で技術進歩ができるのではないか、と考えています。

—月や火星に行くためには、技術の独占ではなく、各国の協力が大切なのですね。月面での調査はどう火星探査へとつながるのでしょうか。

 考え方にもよりますが、月で経験を積めば火星やもっとその先へ繋がっていくと信じています。火星探査というと欧米の宇宙機関しか取り組めないような印象があるかと思いますが、火星探査もぜひみんなでやりましょう、というメッセージがアルテミス計画では強く表れていると感じますし、日本もそこにおいて役割を果たすべきだと思います。
 また、宇宙や月を調査したことがある、という経験があるからこそ、より深く分かることも沢山あります。日常でも行動に移して挑戦した結果、分かることはありますよね。例えば、小惑星探査機はやぶさ2もそうです。はやぶさ初号機の経験を活かすことで、はやぶさ2は約1年半の小惑星滞在期間に多くのことを実行することができました。実際にやってみることで、より深い検討や判断が可能になります。挑戦を積み重ね、考え方を成熟させ、更なるレベルアップを目指せます。火星やその先を見据え、まずは月を目指す、そのような長期的な視点が大事ですね。
 同様に、現状に満足することなく高い目線で、成功した次を考える。例えばスタンダードを取ることがエンジニアリングの世界では一番で、スタンダードはみんなが真似するからスタンダードになる。自分のやりたい事のみならず、どうすれば他が後に続くのかを考えることも大切だと思います。

—話を伺っていると、世界一丸となって火星を目指すということで、とてもワクワクしてきます。一方で、月や火星、と聞くと遠い世界のように思えます。この探査は、私たちの生活には何か影響があるのでしょうか。

 直接的には生活に関係しないかもしれませんが、探査参加国として、日本の皆様に前向きな気持ちを与えられる気がします。例えば、野球の大谷翔平選手が活躍しているニュースを聞くと、何となく「私も頑張ろう」という気持ちになりませんか?日本が火星探査に挑戦していると聞くだけでワクワクしてきませんか?日本がちょうどよい規模の火星探査をリードし、一国だけでミッション全体を担うのではなく、一部だけでも担う能力のある国や企業と協力することで、誰も取り残されない火星探査の形を実現できるのではないでしょうか。世界規模で解決すべき問題が沢山ある今日、宇宙開発を通じて世界各国の方と協力することで、他分野の困難な課題のための関係性構築へ波及効果があるかもしれません。

—月や火星探査において、日本やJAXAが果たせる役割は何かありますか。

 日本やJAXAの技術的な貢献と同時に、欧米の先導的な宇宙機関と、他の宇宙機関を繋ぐ架け橋的な役割も担えると考えています。技術が進歩し、規模が小さくても宇宙へ行くことができる世の中になりました。宇宙探査のリーダーとしてもチームメンバーとしても、日本やJAXAは活躍できると期待しています。小型月着陸実証機SLIMも無事月面着陸しましたし、日本は頼られる存在でありつつ、法やインフラ整備などの縁の下の力持ちとして、進化できると良いですね。
 一方で、立場を確立することにとらわれず、果たすべき機能こそを意識する必要があると思います。極端な例かもしれませんが、「世界一になる」という目標では良くありません。「世界一になって、〇〇を実現する」「〇〇を実現するために、世界一になる」といったように、立場ではなく、あくまで機能が基盤です。その機能面で、日本は果たせる役割が沢山あると思います。

—寄附者の方へ一言

 今、世界的に火星は非常に注目を集めています。生命居住可能性や太陽系の歴史解明と聞くと、自分とかけ離れた分野だと思うかもしれません。しかし、考えてほしいのです。自分が火星に行ったら何ができるか、何をしたいか。物事は参加することで本気になって考えることが結構あります。チームメンバーとして、是非多くの人に関わってほしいです。また、ワクワクするような挑戦をしている人の存在を知ってほしいです。みんなが知りたいと思っている謎に近づこうとしている人のこと、火星をみんなが一緒に目指せる世界にするために奮闘している人、失敗を糧にしてさらに頑張っている人がいます。
 火星そのものの魅力は沢山あります。火星は天体として地球と類似点があり、火星のことを考え始めると地球の未来も深く考え、ひいては地球の奇跡を知ることになるでしょう。惑星科学や宇宙探査という言葉だけだとハードルが高くなりますが、母国が、JAXAが携わっている月・火星探査となれば、少し親近感が出るのではないでしょうか。
 このHPを見てくださっている皆様は既に宇宙を身近に感じているのでしょうが、私たちの研究にさらに興味を持っていただけると嬉しいです。

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