理事長定例記者会見
奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします
日時:平成25年4月17日(木) 11:00-11:40
場所:JAXA東京事務所 B1 プレゼンテーションルーム
司会:広報部長 寺田弘慈
トピックス
I. | 組織関係 |
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II. | 国際宇宙ステーション(ISS)関係 |
III. | その他 |
IV. | シンポジウム及びタウンミーティングなど |
V. | 今後の予定 |
I. 組織関係
(1)第3期中期計画の開始
平成25年4月より、JAXAの第3期中期計画が始まりました。
JAXAは政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的な実施機関という位置付けとなり、これまでの第2期中期計画に比べ、第3期の中期計画は、業務の対象が広がり、安全保障への貢献、産業競争力の強化などの側面が追加されました。
従いまして、特に新たな業務の実施にあたっては、関係府省・機関、民間事業者、大学等とも十分に連携し、中期計画に記載された事業を確実に遂行し、皆様の期待に沿えるように、がんばっていきたいと考えています。
(2)組織・体制の変更
第3期中期計画に合わせるかたちで、平成25年4月1日付で組織体制について主に3点の見直しを行いました。
見直しの1点目ですが、航空分野の研究開発を基礎から技術実証まで一貫して行う「航空本部」を新設しました。
2点目は、国際的な調査分析機能を強化するため、今までの「国際部」を「調査国際部」に改組するとともに、同部内に国内外の宇宙関連動向に係る調査分析を専任で行う「調査分析課」を新たに設けました。
3点目は、筑波や相模原など大規模事業所における広報に係る業務を広報部に集約して機能を強化しました。
(3)今年度の主な計画
宇宙分野では、新型固体ロケット「イプシロン」の試験機など、今年度は4機のロケット打ち上げを計画しています。
イプシロンロケットは、7年ぶりの大型固体ロケットの打ち上げとなります。
航空分野では「低ソニックブーム設計概念実証」(D-SEND)プロジェクト第2フェーズ試験(D-SEND#2)を実施する予定です。
以下、今年度の主な計画についてご案内します。
宇宙分野
- 「こうのとり」4号機による国際宇宙ステーションへの物資補給
- 極端紫外線観測による惑星大気・磁気圏内部と太陽風相互作用の解明を目指す「惑星分光観測衛星」のイプシロンロケット試験機による打上げ
- 日本人初のコマンダーとして若田宇宙飛行士の国際ステーション長期滞在開始
- 「だいち」から観測性能を向上させたLバンド合成開口レーダにより、防災、災害対策、国土管理・海洋観測、森林変化の把握等への貢献を目指す「だいち2号」の打上げ
- NASAと共同の国際協力ミッションとして、全球降水の三次元分布の高精度・高頻度観測を目指す、「全球降水観測計画/二周波降水レーダ」GPM/DPRの打上げ
航空分野
- 超音速航空機のソニックブーム低減に向けた「低ソニックブーム設計概念実証」D-SENDの三次元揚力体落下試験(D-SEND#2)
II. 国際宇宙ステーション(ISS)関係
(1)ソユーズTMA-06M宇宙船(32S)の帰還
日本時間3月16日午後0時06分頃、第33次/第34次長期滞在クルー(ケビン・フォード(米)、オレッグ・ノヴィツキー(露)、エヴゲニー・タレルキン(露)宇宙飛行士 )を乗せたソユーズTMA-06M宇宙船(32S)※1が、カザフスタン共和国に着陸しました。
この宇宙船には「きぼう」日本実験棟で実施された『メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析(Medaka Osteoclast)※2』の実験サンプル(組織保存されたメダカ6匹)を搭載しており、地上で回収されました。
※1 | 32S: ISSへ打ち上げられるソユーズ宇宙船の打上げとしては32回目。 |
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※2 | Medaka Osteoclast メダカ幼魚を水棲生物実験装置(Aquatic Habitat:AQH)で約2ヶ月間飼育。宇宙での飼育開始後、一定の期間毎にメダカの化学固定を行う。また、飼育開始時と終了時に、遺伝子の保存処理を行う。これらのサンプルは、地上に回収し、歯と骨の周囲にある組織と細胞について組織解析と遺伝子発現解析を行う。(代表研究者:工藤明 東京工業大学大学院理工学研究科教授) |
(2)ドラゴン補給船運用2号機の帰還
ドラゴン補給船運用2号機(SpaceX-2 Commercial Resupply Services flight2: SpX-2/CRS-2)のカプセル(与圧部)は、日本時間3月27日午前1時34分に太平洋へ着水しました。
このカプセルから「きぼう」日本実験棟で実施された『微小重力下におけるTLZ法による均一組成SiGe結晶育成の研究」(Hicari実験)※3』の実験サンプルや、「メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析(Medaka Osteoclast)」の実験サンプル(遺伝子保存されたメダカ12匹)などが回収されました。
現在、それぞれの実験の代表研究者が中心となって、サンプルの解析作業を行っています。解析結果はいずれ学術論文等で発表されるものと期待しています。
※3 | Hicari実験 温度勾配炉(Gradient Heating Furnace:GHF)を使用し、JAXAが開発した結晶成長方法であるTLZ法(Traveling Liquidus Zone Method)を用いて、その有効性を実証するとともに、高性能半導体開発の基礎データを取得することを目的とした実験。(代表研究者 木下恭一 JAXA宇宙科学研究所主幹研究員) |
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III. その他
(1)「イプシロンロケット試験機」に掲載するメッセージの公募
2013年夏に打ち上げをめざす「イプシロンロケット試験機」に掲載するメッセージキャンペーンの一般公募を開始しました。
2皆さまのメッセージは、ロケットに掲載するマークの一部として使用させていただきます。 (但し、デザインの都合上、応募者多数の場合は抽選となる可能性があります。)
多くの皆さまからのご応募をお待ちしています。
※ | 募集期間: 4月10日(正午)から7月16日まで |
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関連リンク
(2)「はやぶさ2」に掲載するメッセージの公募
2014年度の打ち上げをめざす「はやぶさ2」に掲載するメッセージキャンペーンの一般公募を開始しました。
ターゲットマーカーにはお名前を、帰還カプセルにはお名前のほかメッセージ・寄せ書き・イラストなどを募集いたします。
「イプシロン」同様、たくさんのご応募をお待ちしています。
関連リンク
(3)文部科学大臣表彰 科学技術賞の受賞
平成24 年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞として、「X線天文衛星技術を応用した超広角コンプトンカメラの研究」と「IKAROSによるソーラー電力セイルの実証に関する研究」が表彰を受けました。
(4)寄附金
昨年4月より、皆さまの宇宙航空研究開発を応援してくださるお気持ちを広く受け入れるため、寄附金制度を拡充してインターネット等から簡易に実施できる寄附金の募集を開始しました。
昨年は大変多くの方にご賛同いただき大変嬉しく思います。
宇宙航空研究開発の更なる発展のため、引き続きご支援くださいますようお願い申し上げます。
※ | 平成24年度末時点: インターネット 5,509件 35,427,200円 募金箱回収分 2,155,443円 |
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IV. シンポジウム及びタウンミーティングなど
国民の皆さまからのご理解とご支援を得るため、各地でシンポジウムや施設公開等を開催しました。
- 3月16日に「第91回JAXAタウンミーティング in 科学・技術フェスタ」を京都パルスプラザ稲盛ホール(京都府京都市)にて開催し、約200名の方にご来場いただきました。
- 3月21日に「国際宇宙ステーション『きぼう』利用成果シンポジウム(第5回)」を秋葉原UDX GALLERY(東京都千代田区)にて開催し、約120名の方にご来場いただきました。※インターネット視聴者526名
- 3月22日に「JAXA相乗り小型衛星ワークショップ」を一橋記念講堂(東京都千代田区)にて開催し、116名の方にご来場いただきました。
- 4月13日に「宇宙科学講演と映画の会」を四谷区民ホール(東京都新宿)にて開催し、398名の方にご来場いただきました。
V. 今後の予定
- 筑波宇宙センター春の特別公開@筑波宇宙センター(茨城県つくば市)
- 4月21日 調布航空宇宙センター 一般公開@ 調布航空宇宙センター(東京都調布市)
- 4月21日 角田宇宙センター 一般公開@角田宇宙センター(宮城県角田市)