理事長定例記者会見
奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします
日時:平成25年5月9日(木) 11:00-11:45
場所:JAXA東京事務所 B1 プレゼンテーションルーム
司会:広報部長 寺田弘慈
冒頭挨拶
JAXA理事長に就任してから1か月が経ちました。
この1か月を振り返ってみますと、大変慌しい日々ではありましたが、JAXAが持つこれだけの知的資産、国の財産を、宇宙関係者以外の方々にも使っていただけるようにしていきたいという思いが強くなった、というのが率直な感想です。
この10年間で、合わせて連続19回の打ち上げ成功を達成したH-IIA、H-IIBロケットを含め、これまでのJAXAの仕事の目標であった技術実証のフェーズをある意味で卒業出来て、次の段階に入ったというのが私の実感です。
そのことが政策的に裏付けされているのが、政府の「新宇宙基本計画」であり、JAXAの「新中期計画」であって、これまでの技術的な裏付けが確認され、
次の段階に入ったと認識しています。
具体的には、新たに「安全保障・防災」、「産業振興」のテーマが加わっているとことです。
「宇宙科学フロンティア」も引き続き重点なテーマであると考えております。
就任時に、我が国の宇宙開発をいろいろな意味で骨太なものにしていくと申し上げましたが、その思いをより強くした1か月でした。
このように第一歩を踏み出したわけですが、既に皆様にお知らせしましたように4月17日にJAXAの情報システムへの不正アクセスが発生してしまいました。
本件については、極めて重大な事態であると認識しており、直ちに副理事長を長とした「情報セキュリティ強化対策チーム」を設置し、3か月以内を目途に対策を打ち立てるよう指示いたしました。
本事案の原因究明はもとより、一層踏み込んだ情報セキュリティの仕組みを構築する必要があるという認識の下に、体制強化を図ります。
国民の皆様には、大変なご心配をお掛けし、改めてこの場をお借りてしてお詫び申し上げます。
トピックス
I. | 安全保障・防災 |
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II. | 産業振興 |
III. | 宇宙科学等のフロンティア |
IV. | 教育・普及・国際協力など |
I. 安全保障・防災
(1)第一期水循環観測衛星「しずく」の成果物発表予定
昨年5月18日に打ち上げました第一期水循環観測衛星「しずく」は、打ち上げ後まもなく1年が経ちます。
これまで衛星に不具合もなく、順調に運用されており、海面温度や水蒸気量など地球の水に関する様々なデータを成果物として、
皆様にご利用いただけるよう準備をしているところです。
II. 産業振興
(1)新事業促進室の活動状況
政府の新しい宇宙基本計画で示されております「産業振興」への対応の一つとして、3月1日に新事業促進室を設置したが、これまでに民間を含む数件の新規事業の支援依頼をいただいています。
具体的な内容については差し控えますが、今後も、ぜひ活動を拡大して参りたいと考えています。
(2)航空技術関連
低ソニックブーム設計概念実証 第2フェーズ実験(D-SEND#2)を、
8月にエスレンジ実験場(スウェーデン、キルナ市)で計画しています。
本実験で使用する航空機形状の機体((3次元揚力体)の公開を、5月30日(木)に富士重工業(株)の宇都宮製作所(栃木県宇都宮市)にて行います。※ご注意:報道関係者向けとなります
関連リンク
III. 宇宙科学等のフロンティア
(1)有人宇宙活動
前回の定例会見の場で「きぼう」日本実験棟での実験の状況についてどう把握しているかという趣旨のご指摘をいただき、改めて私なりに勉強させていただいております。
これまでの「きぼう」利用の件数は、現在実施中のものも含め75件です。内訳は、船内利用が66件、船外利用が9件となります。
このうち成果が公開されているのが44件です。
まだまだ件数としては少ないと思っていますが、成果についてはいろいろなご意見をいただいていると認識していますので、テーマの選び方等も含め、改善点があれば改善し、より良いものにしていきたいと考えているところです。
(2)航空技術関連
5月7日(火)から6月23日(日)にかけて、大樹航空宇宙実験場(北海道大樹町)において平成25年度第1次気球実験を実施いたします。
昨年秋の気球実験では、気象条件不適合により予定されていた4実験全てを見送っているため、約1年ぶりの実験となります。
続いて7月30日(火)~9月22日(日)にかけて、第2次気球実験が予定されており、ここでは気球用のフィルムとしては世界で最も薄い厚さ2.8μmのフィルムを使った超薄膜高高度気球の飛翔性能試験が予定されていますので、トピックとしてご紹介いたします。
関連リンク
IV. 教育・普及・国際協力など
(1)次期固体ロケット「イプシロン」応援メッセージの募集
「イプシロン」の機体に載せる応援メッセージは、5月7日(火)をもって募集を終了いたしました。
多くの皆さまからご応募をいただき、ありがとうございました。応募件数などを取りまとめ、5月下旬に発表する予定です。
なお今年夏の打ち上げに向けたイプシロンロケットの準備作業は、順調に進められています。
(2)筑波宇宙センター及び調布宇宙航空センターの一般公開
JAXAでは、毎年事業所施設の一般公開を行っています。
今年も4月20(土)に筑波宇宙センター(茨城県つくば市)、4月21日(土)に調布航空宇宙センター(東京都調布市)の一般公開を行い、多くの方にご来場いただきました。
筑波宇宙センターの一般公開は、毎回多くの方にご来場いただいているイベントですが、今年も10,000名を超える来場者数となりました。
出来るだけ多くの方 に、私どものアクティビティをご理解いただけますと大変嬉しく思います。
また調布航空宇宙センターの公開も、雨の降るなか約7000名という多くの方にご来場いただきました。
航空分野へも高い関心をお寄せいただき、大変嬉しく思います。
(3)今後の予定
今後の予定ですが、5月15日(水)の18:00~20:00に、日本とイタリアの協力イベント「日本とイタリア、宇宙協力最前線」をイタリア文化会館(東京都千代田区)にて開催いたします。
日本とイタリアは、国際宇宙ステーション(ISS)の利用、災害監視、宇宙科学など、宇宙を舞台とする共通点を多く持ちます。
今回のイベントでは、イタリアからは「衛星を使った災害監視を始めとするイタリアと日本の協力の仕組み」、日本からは、「ISSにおけるイタリアとの協力プロジェクトである宇宙線観測装置(CALET)の研究開発」を中心にご紹介することを企画しています。