平成26年11月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成26年11月13日(木) 11:00-12:00

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部報道グループ長 阿久津亮夫

冒頭挨拶

 11月8日に新たな宇宙基本計画の素案が公表されました。JAXAの位置づけについては、新たな宇宙基本計画の素案においても現行の宇宙基本計画と同様に、「政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関」と明記されておりますので、素案に記載されている人工衛星やロケットの研究開発、宇宙探査、宇宙科学等について、引き続き実施機関として着実に推進して参りたいと考えています。
 なお、内閣府宇宙戦略室からパブリック・コメントの周知について協力依頼がありましたので、それに応じてJAXA HPでも紹介しているところです。

 11月4日に、フランス・パリで国際宇宙ステーション機関長会議(ISS HOA)が開催され、私も参加をしてきました。2012年3月1日にカナダ・ケベックでの開催から約2年半ぶりに開催されるもので、アメリカ航空宇宙局(NASA)、ロシア連邦宇宙局(ROSCOSMOS)、欧州宇宙機関(ESA)、カナダ宇宙庁(CSA)、JAXAの五極の代表がそろった会議になりました。
 今回のHOAでは、既に公表されている共同声明で述べられているように、以下のような共通認識を確認しました。

  • 各機関長は、ISSにおいて行われているミッションの全領域が、全人類へ恩恵をもたらす研究から、技術開発、低軌道の商業利用へと拡大し、国際協力と相互理解の向上に貢献していることを認識し、継続したISS運用への支援を再確認した。
  • 各機関長は、ISSにおいて行われている研究活動が、生物医学的新発見から新素材や新技術の獲得に至るまでの、地上の人類に恩恵をもたらしている様々な局面について、協議を行った。国際パートナーシップは、拡大し続けるユーザーコミュニティのニーズを満たし、将来探査の試みの基盤として役立つために、協業を通してISSの科学的アウトプットを拡大している。
  • ISS参加機関は、少なくとも2020年までのISS利用継続に向け、各国政府の政府手続に着手しており、また、アメリカが表明したISS利用の少なくとも2024年までの延長決定について言及した。低軌道周回のISSにおいて、14年間にわたる継続的な有人滞在を可能にした強力なコミットメントを顧みて、各機関の長は、将来の有人探査計画に向け協業していく基盤となる、安定的で強固かつ強靭なISSのパートナーシップを確認した。
  • 各機関長は、ISSの技術的、科学的、及び開発面の能力に焦点をあてつつ、低軌道以遠の有人探査計画の礎となることを再確認した。ISSのパートナーシップは、人類への恩恵をもたらすため、今後も継続してISS利用を進めていく。

 また、この機会に初めてROSCOSMOS長官との2国間会談を行いました。既に機関間協定を締結しており、主に宇宙医学、バイオ系に関する共同研究を行ってきましたが、さらなる共同研究の推進などの話を行いました。

 12月2日(火)から5日(金)の4日間にわたり、日本科学未来館、東京国際交流館(プラザ平成)において、文部科学省とJAXAの共催で、第21回目となりますアジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-21)を開催します。
 前回のベトナムでの会議では20周年を機にAPRSAFの目的を再確認するとともに、さらなる発展に向けて改革に取り組むことが合意されました。今回の特徴として、より一層、アジア太平洋地域の社会課題の解決に資するよう、分科会の再編を行い目的志向の枠組みへと見直しました。また宇宙技術のユーザとなる利用機関の方々にも多く参加いただく予定です。さらに現在、国際協働により議論が進められている宇宙探査の分野についても、話題として取り上げる予定です。
 今回の統一テーマとして、「Leap to the Next Stage: Delivering Innovative Ideas and Solution」が設定され、APRSAFの新たなステージとして革新的なアイデアと解決策の提供に努めていく思いを込めています。
 今回は、9年ぶりの日本開催となり、利用省庁も含めて、広い範囲で協力、協賛いただいております。総合議長は、磯谷MEXT審議官、堀川前COPUOS議長を予定しています。
 なお、APRSAFの開催前の11月19日に、このAPRSAFならびにアジアの宇宙活動の動向も含めて皆様にご紹介する機会を設ける予定です。

 小惑星探査機「はやぶさ2」に関しては、機体公開なども行い11月30日に打ち上げが予定されています。関連して、三菱重工業株式会社で行われたH-IIAロケット26号機の機体公開時に、2段タンク部が白く塗装されているのを見られた方もいらっしゃると思います。今回の「はやぶさ2」の打上げ計画では、ロケットからの分離後「はやぶさ2」の太陽電池パドル展開などの一連のイベントを、日本の可視域で行うこととしているため、2段エンジンの1回目燃焼停止から2回目燃焼開始までの約1時間20分の間、地球を約一周することになります。この間の蒸発などによる水素と酸素の減少量を最小限に抑えるため、タンクの白色塗装と、エンジン冷却機能の追加を行っています。これは基幹ロケット高度化開発の開発成果を活用したもので、21号機と24号機において効果を実証したうえで今回の26号機に適用しています。

トピックス

I. 小惑星探査機「はやぶさ2」応援キャンペーン
II. JAXAが、地球観測衛星委員会(CEOS)議長国に選出
III. 公衆衛生分野における宇宙技術の活用

I. 小惑星探査機「はやぶさ2」応援キャンペーン

 10月21日に「はやぶさ2」応援キャンペーンの公式ロゴの発表と共に、オフィシャルスポンサー第1号として「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」が選定されたことをご報告しました。
 また、株式会社ケン・コーポレーション、大正製薬株式会社、凸版印刷株式会社の協賛が決まりました。また、応援キャンペーンで、多くの方々に参加いただける「みんなでつくるカウントダウン」がスタートしました。今後も、各企業等との連携によりはやぶさ2の応援キャンペーンを盛り上げてまいります。

II. JAXAが、地球観測衛星委員会(CEOS)議長国に選出

 10月30日にCEOS(Committee of Earth Observation Satellites)本会合において、JAXAが議長国に選ばれ、衛星利用ミッション本部担当理事 山本静夫がCEOS議長に就任しました。
 CEOSは宇宙からの地球観測計画について国際的な調整を行なうため、1984年に設立された世界でも唯一の地球観測衛星専門のグループです。これまで30年間、各国が計画する地球観測衛星ミッションを調整し、データ共有を促進、また観測データが社会課題の解決につながるよう、データ利用者と連携などを行ってきました。JAXAの一つの方針でもある、衛星を社会課題の解決に役立てる、という方向性とも一致しており、JAXAは議長国として2015年11月までの1年間、地球観測衛星の役割を世界に発信していきます。

III.公衆衛生分野における宇宙技術の活用

 今回、公衆衛生分野における宇宙技術の活用として、ポリオ撲滅にむけた世界保健機関(WHO)との協力についてご紹介します。
 ポリオは経口感染し、手や足に麻痺を起こすことがあります。WHOは、定期的な下水のサンプリングによるウイルス伝播の状況把握と、再感染時に早急に検出・対応する体制の整備を急務としています。効果的な実施には、下水の流れ込み(水系解析)を把握し、より広く多くの人が住むエリアから下水が流れ込む場所でのサンプリングが大切です。現在、WHOはナイジェリアを対象とし、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援により、90mと30m精度のDigital Elevation Model(DEM)を用いた水系解析を行っています。先般、WHOは、JAXAが整備中のALOSデータを用いた5m精度のDEMに注目し、JAXAとリモートセンシング技術センター(RESTEC)へ、ナイジェリアを対象とした試行解析を依頼しました。その結果、一例として、30m精度のDEMと比べて5倍程度広い流域界(下水が流れ込む範囲)を識別することができ、WHOはその有効性を確認しました。さらにWHOでは、その他のポリオ感染国、あるいは感染リスクのある国でのALOS DEMの利用計画を検討中です。
 技術的に優れたものを作れば適用の範囲が広がり、より効果的な社会課題の解決につながる、大変良い成果であると評価しています。

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