平成27年3月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成27年3月19日(木) 11:00-12:00

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 上垣内茂樹

 JAXAは4月1日に組織改編を行う予定です。組織改編を行う背景ですが、大きくは政策的な枠組みに対応すること、また、政策的な枠組みの中で決められた役割をより効果的、効率的に進めて行くこと、この2つを目的として組織改編を行います。より具体的に申し上げますと、JAXAでは個々のプロジェクトを立ち上げ、運用することが役割でした。この点についてはこれまでと変わりません。今回の変革の大きな骨子は「研究開発」という大きな柱を1本立てることになります。これまでにも研究開発を行う部門はありました。それに加え、宇宙輸送ミッション本部、衛星利用ミッション本部の各本部にもそれぞれ研究開発機能があったのですが、これを改めて、宇宙輸送ミッション本部、衛星利用ミッション本部の研究開発機能を集約し、さらにこれまで併任としていた研究開発部門の担当理事に専任の理事を置くことになりました。このようにプロジェクト対応と研究開発機能という2階層に組織改編をする予定でいます。
 また、組織改編の趣旨にあわせた重要な部署として、本社に「ミッション企画部」を設ける予定でいます。ここではプロジェクトを作っていく、提案をしていくという機能を本社に一括して統合します。これも従来は各本部で新たなプロジェクトの検討をしていたものです。JAXAの強みの一つのとして、衛星と輸送系二つの研究開発を行っている点です。これは日本の中では、企業も含め他にはない点です。今後は、ミッション企画ということを全社的に統合し検討していくこととしています。プロジェクトでは、プロジェクトの企画、予算化、その後きちんと立ち上げて行く、さらに打上げ後の運用の中で成果を出していく、という各段階があり、この一番最初の部分をミッション企画部で担っていくことになります。
 さらに付け加えると、冒頭に「政策的な枠組み」と申し上げましたが、4月から独立行政法人から国立研究開発法人に変わります。研究開発法人になる事によって期待される成果があり、その成果によって法人としての評価を受けることになります。
 研究開発法人として、日本全体の成果を最大化を図ることが、役割の一つとして示されていますが、日本の持つ様々な強さを糾合し、世界的な競争力を高めることが必要だと考えています。この点については、開かれたJAXAとすることで、色々な研究開発法人との連携、また企業との対話をより幅広く進めて行きたいと思います
 人工衛星、ロケット、飛行機などJAXAが研究開発を行う対象は、全て組立産業に属するものです。組立産業の代表は自動車産業かと思いますが、これらの組立産業の強み、要素は、自動車産業以外からのものです。具体例ではCFRPなどは日本で先導的に開発されてきた技術ですが、日本の宇宙機、航空機の強みの大きな部分を占めているように、他の分野で開発された日本独自の強みをいかにして宇宙機や航空機に導入していくかが、大きな方向性になると思っています。

アメリカ航空宇宙局(NASA)長官との機関間会合について

 NASAボールディン長官が、日本を訪問されました。その機会をとらえて17日に、会合の場を持ちました。
 会合では、環境省、国立環境研究所、NASA及びJAXAの温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)、いぶき後継機(GOSAT-2)と炭素観測衛星2号(OCO-2)のミッション協力に関する了解覚書にボールディン長官とともに署名しました。
 また、JAXAの今後1年間の予定、計画、平成27年度予算で要求をしている事項などをご説明し、意見交換を行いました。

アメリカへの出張について

 3月11日から15日にかけて、アメリカに出張をしておりました。3月12日には、ケネディ宇宙センターでのアトラスVロケットによるMagnetospheric Multiscale mission(MMS)の打ち上げを視察しました。MMSは地球の磁気圏の観測を目的としたミッションでJAXAは、DIS共同研究として参加しています。
 また、この機会にケネディ宇宙センター、マーシャル宇宙センターの視察を行い、ORION、スペース・ローンチ・システム(SLS)といった将来に向けた計画やファルコンロケットに対応した射点の改修など、ダイナミックな変化が見て取れました。マーシャル宇宙センターは、主に推進系の研究開発拠点であるとの認識でしたが、宇宙科学や地球観測の拠点としても重要な役割を担っていることが改めてわかりました。

第3回国連防災世界会議について

 3月14日より仙台で開催された第3回国連防災世界会議にて、安部内閣総理大臣より「日本防災協力イニシアチブ」が発表されました。地球観測衛星に関する具体的施策として、次の3点が取り上げられました。

  1. 1. 「災害リスク評価のためのハザードマップ作成」、「気候変動適応研究支援」や「災害の観測、予測、予警報のための技術」に関する専門家派遣や技術協力
  2. 2. 「人工衛星の整備」により災害の観測、予測、予警報を行い政府が推進する質の高いインフラを整備すること
  3. 3. グローバルな協力の取り組みとしてセンチネルアジアの更なる推進

JAXAでは既にこれらの取り組みを行っていますが、さらなる活動の推進を図っていく事を考えています。特に先進光学衛星などをうまく活用し、世界の防災活動により効果的な役割を果たしていきたいと考えています。
なお、会議の会期中に起きたバヌアツでのサイクロンの被害状況については、センチネルアジアおよび国連人道問題調整事務所(UN OCHA)から国際災害チャータに緊急観測の要請があり、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の観測データを提供しています。

SMILESにより得られた新たな科学的知見について

 「きぼう」の船外実験プラットフォームに搭載されている超伝導サブミリ波放射サウンダ(SMILES:Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder(スマイルズ))は、オゾンおよびオゾン破壊に関連している化学物質を観測するセンサーです。
 SMILESは、日本の天文観測で使われている極低温冷凍機を用いた微量電波の観測技術を活用し、今までの観測センサーと比較して高精度であるとともに、「きぼう」に搭載したことにより、一日の様々な時間帯での観測が可能となりました。
 今までは、成層圏での一日のオゾン量はほとんど変動が無いあるいは無視できると考えられてきました。
 平成21年(2009年)9月に打ち上げられたSMILESは、装置の不具合により、6か月しか観測できませんでしたが、その間の観測データから、成層圏のオゾン量が1日の中で最大4%から6%の変動があることが、京都大学坂崎氏らの研究によりわかりました。
オゾン層の破壊が健康等に影響があることから、その原因となるフロン使用の制限され、21世紀に入って回復傾向にありますが、その回復の割合は10年あたり数パーセントと言われており、完全に回復する時期は50年から100年先になるのではないかという国際的な議論がなされています。
 今回のSMILESの1日に4%から6%の変動があるという研究結果は、長期的な変動と同じオーダとなり、朝昼晩の変化を考慮しないでの長期にわたる変動の議論は間違った予測結果を出しかねません。
 今回の発見は、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)がまとめた「オゾン層破壊の科学アセスメント2014」では、今回のSMILES観測結果によるオゾン量は1日に4%から6%の変動があるという研究結果は、今後のオゾン層破壊のアセスメントについてインパクトを与えたものと評価し、SMILESの成果として掲載されています。
 本研究のSMILESの成果については、近々に報道関係の皆様にご説明を行う予定にしています。

小惑星探査機「はやぶさ2」について

 3月3日にプレスリリースにてお知らせしていますが、初期機能確認期間を修了し、小惑星1999 JU3に向けた巡航フェーズに入っています。今後も状況については適宜お知らせします。

油井宇宙飛行士について

 5月から国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在予定の油井飛行士につきましては、今週、ヒューストンでの訓練公開と記者会見を行ったところですが、今後の予定としては、打ち上げ1か月前ごろ(4月後半ごろ)にミッション説明会を開催予定です。日程が決まりましたら改めてお知らせします。

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