平成27年5月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成27年5月14日(木) 11:00-11:45

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 上垣内茂樹

 油井宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船(43S/TMA-17M)の打上げについて延期が決定されました。
 今後の予定については、今回のプログレス補給船(59P)の原因究明、対策を行い、7月下旬の打上げを目指して作業を進めることになっています。打上げ日時については最終的に国際調整によって決定されることになります。決まり次第、皆様にはお知らせをしたいと思っています。
 JAXAも、油井宇宙飛行士の搭乗および国際宇宙ステーション(ISS)の運用を着実に進めるために、ロシア連邦宇宙局(ROSCOSMOS)、アメリカ航空宇宙局(NASA)、などとの情報共有を一層強化し、打上げの安全確認を進めて行きます。

 ネパールで4月25日(現地時間)に発生した地震については、災害発生直後よりセンチネルアジア、国際災害チャータ、国土地理院などの要請に基づき、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)による緊急観測を行いました。これらの観測にて得られた情報などは、カトマンズに本部を置く国際総合山岳開発センター(ICIMOD)を通じてネパールの現地機関に提供するとともに、現地入りした日本赤十字社保健医療チームなどにも提供し、現地災害支援活動に活用されています。また、国土地理院は「だいち2号」による観測データを用いてネパール周辺の地殻変動解析を行い、カトマンズ周辺の大規模な地殻変動を観測し、その結果が国土地理院のホームページで公表されました。
 また、日本で現在も続いている箱根山の火山活動については、地震予知連絡会ワーキンググループから正式な要請を受けて、「だいち2号」のPALSAR-2による緊急観測を行いました。国土地理院は観測データを用いた干渉解析を行い、立ち入り禁止となっている大涌谷周辺の直径200mの狭い範囲で、最大6cm程度の隆起が観測されたことをホームページで公表しました。
 今回の観測結果が、地域への立ち入り制限に関する意思決定にも使われていると伺っています。衛星による情報がこのような判断を行ううえで不可欠な重要な情報になってきているという一つの事例ではないかと思っています。
 地表の隆起変動を正確に観測するうえで「だいち2号」がより適しているところは、Lバンド波長は植生を透過するため、地殻変動を明瞭にとらえることができること、また軌道が干渉解析に必要とされる半径500mの保持範囲内に精密に、かつ自律的にコントロールされていることも理由の一つです。これらの「だいち2号」の持つ優れた機能が活かされたことにより数cmオーダーでの地表の隆起を観測することができ、行政などの意思決定に活用されたのではないかと考えています。

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