平成28年1月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成28年1月14日(木) 11:00-11:40

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 庄司 義和

新年にあたっての抱負

 昨年は1月の新宇宙基本計画ができ、4月に国立研究開発法人に移行し、年末のISSへの参加延長の政府決定と忙しい一年でした。平行していくつかのプロジェクトの実行があり、それぞれが所期の目的を達成できており、忙しくもあり幸せな年でもあったと思っています。これは、プロジェクト関係者のみならず、各職員の懸命な努力に加えて関係機関、企業の皆様のご支援の賜物と理解しており、厚く御礼申しあげます。
 その中で私の印象に残った点を2つ申し上げたいと思います。
 1つは、MRJ初飛行とH2A29号機の高度化実証です。科学技術の範囲で業務を行ってきたJAXAが、いわば実業の世界で成果を活用するという新たな段階に入ったことを示す年ではなかったか、と思います。いずれも企業と共に開発して技術が「実機によって技術実証された」わけで、当該企業はそれぞれの商業市場に足を踏み入れたことで記念すべきことではなかったかと思います。
 もう1つは、「あかつき」の金星周回軌道投入は5年後に、「D-SEND#2」では、3度目の挑戦で目標を達成できたことです。それらの成功は、職員の粘り強さ、それを糾合できるチーム力によるものと考えております。他のプロジェクトも成功したことを受け、われわれJAXA内及び関係する企業と一緒に目的に向かうチーム力という強みを感じました。

 今年のことを申し上げますと、2月12日のASTRO-Hの打ち上げを成功させることに先ずは注力したいと考えています。ASTRO-Hは先日機体公開をしましたが、日本が得意とする大型のX線天文衛星であり、国際協力により実施するものでもあるので、打上げ後も新たな科学的知見が得られることを期待し、重要なターゲットと考えています。4月からの次年度については、予算を審議いただいている最中ではありますが、次期基幹ロケットH3は、詳細設計段階に入り、いよいよ開発が本格化します。その他のプロジェクトについても、予算が確定してからご紹介したいと思います。
 昨年4月の国立研究開発法人化に合わせてJAXAの研究開発組織を再編強化しました。我々の技術水準を国際ベンチマークしますと必ずしも満足できる状態にはない、と思っており、今年は組織再編の効果をより充実化していくことに注力したいと考えています。そういう意味で、JAXAの研究開発として重点的に取り組むべき課題も明確になったのではないかと考えています。

平成28年度予算

 平成28年度予算としては、1541億円との内示を受けております。主なポイントとしては、先ほど申し上げましたH3ロケットの開発、我が国の衛星の国際競争力を強化するために、開かれた市場である放送通信衛星の分野でオール電化・大電力化を実現する次期技術試験衛星への開発、宇宙ステーションへの輸送コストの大幅な削減や、将来への波及性の高い技術を獲得する新型宇宙ステーション補給機の開発等々を計上しています。世界に負けない技術開発、プロジェクトを作り上げて行きたいと感じております。

国際宇宙ステーション計画への2024年までの参加延長

 日本国政府によるISS運用延長が決定しました。私からも年末にコメントという形でホームページに見解を述べさせていただいています。さまざまな議論があったことも理解しており、新しい運用の主旨が活かせるようわれわれの取り組みをより充実させていく必要があると感じています。その意味で大きな責任があることも自覚しています。

JAXA宇宙飛行士の動向

 油井飛行士は、順調にリハビリを継続中です。今後の予定ですが、2月後半ごろに帰国予定で、記者会見や帰国報告会を予定しております。地方での帰国報告会は「亀の恩返し」と名付けて、開催団体を募集中です。首都圏での帰国報告会についても後日、皆さんにご案内します。

 大西飛行士は1月末頃に、日本での訓練のために帰国予定となっております。6月のISS長期滞在前の最後の帰国になる予定です。訓練の様子なども一部公開し、取り組んでいる実験などもご紹介できればと考えておりますので、決まり次第また別途ご案内いたします。

「きぼう」から放出する50kg級衛星

 フィリピンの50kg級超小型衛星は、日本の北海道大学と東北大学が中心となってフィリピンの科学技術省と一緒に超小型衛星を開発し、「きぼう」日本実験棟から放出するという枠組みです。昨日衛星の引き渡しが筑波宇宙センターで行われました。日本の放出機構を使った50kg級の超小型衛星の放出は今回が初めてです。
 昨日フィリピンの関係者の方々と意見交換させていただきましたが、フィリピンの宇宙技術の発展に関して日本、JAXAとのいろいろな方面での協力への期待が述べられています。私どももそのような期待に少しでも添えるように努力して参りたいと考えています。

「きぼう」利用候補テーマの採択

 「きぼう」日本実験棟の船内実験の候補テーマを選定しました。今回のテーマ募集は、従来、科学的意義と宇宙実験の実現性を重視してきた募集とは異なり、まずは、国の戦略研究や施策への貢献・ビジョンの見通し重視に変更し、選定後にJAXAとともに技術的な詰めを行うものとしています。
 今後は、早期の軌道上実験の実施を目指し、JAXAと研究者が協力して実験計画の詳細化、技術検討等を行います。

宇宙探査イノベーションハブの研究テーマ採択

 昨年4月に宇宙探査イノベーションハブという組織を設定し、科学技術振興機構(JST)からの競争的資金で運用していますが、そこで実施するテーマの候補を選定しました。これは宇宙単独というよりも、日本におけるイノベーション創出という科学技術政策の大きな柱の一環としてテーマ選定されているものです。その中で宇宙機関としてこういう主旨にあうようにテーマ選定を行いました。選ばれた機関は日頃われわれがお付き合いしているところとは違った機関や企業が含まれており、新しい知見をいただけるのではないかと期待しております。

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