平成28年10月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成28年10月14日(金) 13:30-14:00

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 庄司 義和

国際宇宙会議(IAC)への参加

 9月末にメキシコ・グアダラハラ市で開催された国際宇宙会議(IAC)に出席してまいりました。毎年、秋に開かれている国際会議です。今回は、宇宙機関・大学・産業界など300以上の宇宙関係の組織が集まり、過去最高の5,000人を超える参加者がありました。私は、宇宙機関長が登壇してパネル討論を行うセッションに出席しました。
 今回は特に、気候変動の関わりと宇宙の関わりに関する会合にも出席しました。これはパリで合意されたCOP21に絡んだものですが、この会合では日本の宇宙に関する取り組みを紹介したのと同時に、宇宙の技術開発、研究開発は国際協調が非常に重要であると改めて申し上げ、各機関長の同意を得たと理解しております。
 同じ場で、国連宇宙部と協同で国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟を利用し超小型衛星を放出するというミッションの第2回公募を今回発表しました。第1回については、前にもご報告をしましたが、アフリカのケニア共和国の超小型衛星を放出することになっております。
 さらに、国の宇宙機関ではない、いわゆる「ニュー・スペース」と言われる方々が今回も多数参加されており、そういった方々との意見交換も行いました。
 IACの主催団体は国際宇宙航行連盟(IAF)ですが、その会長職にあった樋口技術参与は今回の会合をもって退任しました。樋口技術参与が会長を務めた最終年のIACが成功裏に終わったことを嬉しく思っております。
 IACに出席する少し前に、米国航空宇宙局(NASA)や米国海洋大気庁(NOAA)の各機関長と、今後の協力関係の強化といった点で再確認をすることについて合意をしてきました。いろいろな意味で私自身としては大変収穫の多い出張でした。

大西宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)滞在

 大西宇宙飛行士の国際宇宙ステーション滞在も早や3か月を過ぎ、予定どおり10月末頃に帰還予定で準備を進めております。これまで長期滞在の前半では、小動物飼育ミッションにおいて、装置の運用や小動物の飼育を担当し、地上のチームと連携して、このミッション達成に大変大きな貢献をしました。大西宇宙飛行士はGoogle+で活動の状況を発信していますが、大変分かりやすく、また楽しくご紹介していて、私も、多くの人が内容を理解し、また彼の活躍ぶりを理解してくれていることを嬉しく思っております。
 また、来週、17日(月)に打ち上げ予定のシグナス補給船のキャプチャを担当することが決まりました。パイロット経験者として、その技量を活かし、ミッションを達成してくれると期待しております。
 更に帰還の直前になりそうですが、10月26日(水)に、グーグル株式会社協力のもと、交信イベント、宇宙実験ライブを予定しております。引き続き皆様方のご理解、ご支援をお願いいたします。

「こうのとり」6号機(HTV6)

 既にご案内のことと思いますが、「こうのとり」6号機(HTV6)については、不具合対策を終え、12月9日(金)に打ち上げることとなりました。
 来週、19日(水)に種子島宇宙センターにて機体公開を行います。
 HTV6では、ISSの共通品として使われる、日本製のリチウムイオンバッテリを輸送します。JAXAとしては、宇宙ゴミ(スペースデブリ)を除去する導電性テザーの実験装置を搭載し、テザーをきちんと伸ばせるか、電流が流れるかなどについて、実証実験を行います。
 19日の機体公開の際にはこの実験の説明も行いますので、どうぞご参加ください。

宇宙探査イノベーションハブ

 本事業は、科学技術振興機構(JST)のイノベーションハブ構築支援事業に採択されたもので、國中教授をリーダに進めております。
 平成28年6月9日から、宇宙探査イノベーションハブへ参加を希望される皆様に対し第2回研究提案募集(RFP:Request for Proposal)を行いました。
 この度、外部の有識者を含めたボードにて選定を行い、RFPに応募のありました26件の研究提案から、9件を選定したことをご報告します。選定先は、これまでの宇宙分野との関連の有無に関わらず、幅広い企業等が含まれております。
 これから、選定先と具体的な研究計画及び研究調整を速やかに行い、研究に着手することとなります。選定先や研究テーマ等の情報については、選定先と調整がつきましたものから、順次JAXAの公開ホームページ に掲載します。

トルコ共和国との協力

 9月8日(木)に、JAXAとトルコ間の今後の宇宙協力を具体化し推進するため、トルコ共和国 アンカラにおいて、トルコ共和国 運輸海事通信省と、きぼう利用に関する協力合意を新たに締結いたしました。協力の内容は、きぼうからの超小型衛星(CubeSat)の放出及び船外実験プラットフォームに取り付ける簡易曝露実験装置(ExHAM)を利用した材料曝露実験機会をトルコへ提供するものです。本協力合意を締結することで、JAXAがこれまで培った宇宙開発利用の経験、技術を活用し具体的な協力関係の構築を目指します。今後、トルコ共和国が目指す宇宙機関の設立に向けた支援、人材育成等の分野で相互協力を深めるため、協議を進めていきます。
 去る10月5日(水)には、ファルク・オズリュ トルコ共和国科学産業技術大臣がJAXA筑波宇宙センターを視察され、大変ご関心をいただきました。これを契機に、トルコとの協力を更に進めていきたいと思っております。

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