理事長定例記者会見
奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします
日時:平成29年5月12日(金) 13:30-14:00
場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム
司会:広報部長 庄司 義和
H3ロケット関係各種試験の開始状況について
H3ロケットに使用する第1段液体ロケットエンジンとしてLE-9の開発を進めており、現在、種子島宇宙センターにてLE-9のエンジンシステムの試験を開始しています。
LE-9の重要コンポーネントである液酸ターボポンプと液水ターボポンプが正常に動くことを確認し、同ターボポンプをLE-9に組み込みました。
4月下旬からは、LE-9の燃焼試験を開始しています。現在、短い秒時でLE-9を起動する試験を実施しており、順調に進んでおります。今後、6月まで、段階的に長秒時までの燃焼試験を実施し、燃焼性能を評価する予定です。
超小型衛星に関する活動状況について
超小型衛星は大変重視しています。
超小型衛星は国際協力の観点でも重要な役割を果たしており、また人材育成でも役に立っています。昨今、超小型衛星が将来の宇宙産業の中核になっているのではないか、という期待感があります。そういった方々のために超小型衛星の放出機能を広く使って頂きたいと考えています。この3つの視点から活動を活発化しています。
その具体例として、2件報告いたします。
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(1)
GOSAT-2相乗り超小型衛星の選定結果について
平成30年度打上げ予定のGOSAT-2に相乗りする超小型衛星に11件の応募があり、5機を選定いたしました。この5機に関しては、これで終わりではなく、引き続き、打上げに向けて必要な取決めの締結、技術調整、安全審査等の準備を進めてまいります。 -
(2)
「きぼう」からの超小型衛星放出にかかる九州工業大学との連携協力協定の締結について
前回報告した北大/東北大との協定に続き、2件目となります。
九州工業大学とは、1U~3Uのキューブサットを「きぼう」から放出する、ということを共同で実施することで合意しました。
九州工業大学は、アジア地域から留学生を積極的に受け入れていらっしゃり、人材育成も強く意識されています。これまでもシンガポールの大学と超小型衛星を共同開発した実績をお持ちです。
我々が目指している、アジア地域に出来るだけ貢献するという大きな方向性にあっていると考え、協定を締結しました。
平成29年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞受賞について
JAXAの取り組みのうち2件が文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞いたしました。
1件目は、探査機あかつき金星周回軌道投入計画とその制御に関する研究です。
もう1件は、「だいち」を使った精細な全球の三次元地図による、地理空間情報基盤技術の振興です。後者は、昨年、民間事業者が内閣府の宇宙開発利用大賞の内閣総理大臣賞を受賞されたもので、既にビジネスに活用されていますが、我々はその基盤を提供したという点を評価頂きました。