2022年(令和4年)2月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:2022年(令和4年)2月18日(金) 13:30-14:15

場所:オンライン会見

司会:広報部長 佐々木 薫

「きぼう」ロボットプログラミング競技会と宇宙飛行士募集の最新状況について

 国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟において、2022年度に開催しますISS船内ドローンを使用した第3回目の「きぼう」ロボットプログラミング競技会に関し、新たな枠組みを設けて、参加チームの募集を開始しましたので、ご案内をいたします。
「きぼう」ロボットプログラミング競技会は、日米協力の枠組みでありますJapan-U.S. Open Platform Partnership Programを通じた「きぼう」のアジアでの利用拡大を目的にして、JAXAとNASAが協力して、日本及びアジア太平洋地域の学生に対して、宇宙でのロボット操作やコンピュータプログラミングに関する教育機会を提供するものです。
 競技会では、「きぼう」船内をゲーム空間に見立てて、複数の課題が設定されます。参加者は、ISSの船内ドローンを動かすプログラムを作成して、与えられた課題をクリアしながら、その時間や課題対応力について競います。
 これまで、アジア協力イニシアチブ(Kibo-ABC)に加盟する国と地域の学生を対象に2回実施しており、それ以外の国等からも競技会への参加要望が多く寄せられました。そのため今大会では、Kibo-ABCに加盟する14の国と地域のうち、今大会に参加表明した国・地域と合同チームを結成することで競技会に参加できるように、国際的な合同チーム枠を新たに設置します。これにより、本競技会は国際的にも拡大して、より多くの学生に機会を提供でき、また教育及び人材育成の観点からSDGsへの貢献にもつなげてまいりたいと考えております。
 詳細につきましては、第3回「きぼう」ロボットプログラミング競技会の募集ホームページがございますので、そちらをどうぞご覧ください。

 次に、2021年12月20日から2022年3月4日まで、新たな宇宙飛行士候補者の応募受付を実施しておりますが、「健康診断結果(健康診断書を含む)の提出」についてのみ、期限を1か月延長して、4月4日(月)正午までの受付とさせて頂いております。
 現在、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、日本国内において感染症対策を徹底する状況であること、また応募を検討されている皆様に、より安心して応募のご準備をしていただくため、延長することといたしました。
 なお、本日(2月18日)9時の時点での応募状況をご報告いたしますと、宇宙飛行士候補者募集特設サイトにご登録いただいた方は、10,014名となっております。
 このうち、全ての必要書類の提出を完了された応募者数は、177名です。この、ご応募いただいた方における男女比の内訳は、男性の割合が84%、女性の割合が16%となっております。
 応募受付期間終了後の3月4日(金)午後に、すべてのデータ(エントリーシート、健康状況申告、健康診断結果)をご提出いただいた応募者数をお知らせする予定です。また、健康診断結果の提出期限後の4月4日(月)午後にも、最終的な応募者数を報告させていただく予定です。

Today's Earth-Japan洪水予測データを活用した自治体等との利用実証を開始

 気候変動により頻発化・激甚化する洪水被害は、世界的に対策が求められる重大な災害の一つです。我が国では、気候変動適応計画の中で、国、都道府県、市区町村、企業、住民など、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる治水対策「流域治水」を推進し、ハードとソフトが一体となった防災・減災対策を進めることが重要であることが示されています。
 これらの課題を解決することを目的に、東京大学、名古屋大学、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、長野県、JAXAは、昨年10月にJST未来社会創造事業「顕在化する社会課題の解決」領域の公募採択を受け、洪水予測データを表示するウェブサイト「長野県庁職員向けcmap」の提供と、予測情報の社会実装による効果、洪水予測の精度向上・高度化等について共同研究を実施しています。

 「長野県庁職員向けcmap」は、JAXA及び東京大学の共同研究グループが開発・運用するToday's Earth-Japanの最大30時間以上先までの洪水予測データを、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社が公開しておりますリアルタイム被害予測ウェブサイト「cmap」に追加し、長野県庁職員向けに構築したものです。

 2022年1月、共同研究により実現に至った成果として、「長野県庁職員向けcmap」による長野県庁での検証を開始しました。これは、長野県をフィールドとした予測データ活用型流域治水の具体化に向け、洪水予測の有効な利活用方法の検証を行うものです。その他にも、今後、長野県内77市町村に向けた勉強会や、県内ステークホルダー向けワークショップなどを行い、予測技術が地域社会へもたらすインパクトの抽出も実施する予定です。JAXAは東京大学とともに、長野県でのToday's Earth-Japanの利用実証を通じて得られた成果を踏まえて、日本各地への利用普及にもつなげてまいります。

 冒頭申し上げました通り、気候変動により激甚化する洪水に対して、堤防やダムの建設をメインとしたハード対策に合わせて、予測の精度を高めたソフト対策が強く求められております。本共同研究では、予測情報を活かした新たな流域治水システムをさらに活用し、さまざまな先進的なソフト対策に挑戦することで、社会課題の解決、防災・減災への貢献を目指します。

はやぶさ2観測データによる研究成果(サイエンス誌論文掲載)

 小惑星探査機「はやぶさ2」が取得した観測データや小惑星リュウグウサンプルの解析データ等に基づいた研究が、国内外の研究者によって意欲的に進められているところですが、先日、日本時間の2月11日に、サイエンス誌に成果論文が掲載されました
 宇宙科学研究所特任教授でもある、東京大学橘省吾教授及び「はやぶさ2」プロジェクトのサンプラーチームが中心となってまとめた論文で、リュウグウから持ち帰ったサンプルが「リュウグウを代表する粒子であること」などを分析、証明しております。
 この「持ち帰ったサンプルがリュウグウを代表する粒子」である点は、小惑星リュウグウ全体の構造解析や、リュウグウが現在の姿に至るまでの過程を解明するうえで、有意義であると認識しています。つまり、サンプルが「リュウグウの中でも特別な粒子ではない」との前提が示されたことは、今後の解析、研究の理論構築、アプローチに重要な情報となるからです。

 そして今回の成果においては、小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプル分析に加えまして、小惑星全体のリモートセンシング観測、地表面探査ローバMINERVA-II1による表面の多地点観察、そして「はやぶさ2」に搭載しました小型モニタカメラCAM-Hや光学航法カメラの取得画像など、観測方法やスケールが異なるデータを最大限活用し、総合的に照らし合わせて分析を実施したことがポイントといえます。
 小型モニタカメラCAM-Hは、「はやぶさ2」のタッチダウン時に舞い上がる石・粒子の様子を撮影し、光学航法カメラやMINERVA-II1もリュウグウ表面の岩石を鮮明に撮影しています。これらには共通して平たい細長い形状の粒子、凹凸がはっきりわかる粒子、滑らかな形状の粒子が存在しており、地球に持ち帰ったサンプルの形状と比較した結果、特徴が一致していることを明らかにしました。このことから、「はやぶさ2」が持ち帰ったサンプルは、小惑星リュウグウ表面にある代表的な粒子であるとの結果に至りました。得られたデータ、そして情報を使い尽くすという研究者の精神に基づいて取り組んだ成果と言えます。

 この有意義な情報をとらえた小型モニタカメラ(CAM-H)は、皆様から頂きましたご寄付によって製作し、はやぶさ2搭載が実現したカメラとなります。
 皆様からの宇宙科学に対するご支援が研究の成果として実を結んだ一つの良い事例と考えております。この場をお借りして、改めて御礼を申し上げたいと思います。

 先月には、国際研究公募に向けまして、リュウグウのサンプルのカタログを公開いたしました。初期分析の成果についても引き続き論文等で発表してまいりますので、国内外の研究者の方々による特徴的な視点での研究提案につながることを期待しております。

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