理事長定例記者会見
山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします
日時:2022年(令和4年)5月13日(金) 13:30-14:15
場所:オンライン会見
司会:広報部長 佐々木 薫
1.新たな宇宙飛行士候補者選抜試験の実施状況
新たな宇宙飛行士候補者選抜試験につきましては、先月4月22日に書類選抜結果を発表いたしました。書類選抜を通過された2,266名の方には、第0次選抜の最初の試験として、5月8日にオンラインによる英語試験を受けていただいております。
英語試験を通過された方は、5月29日の一般教養試験やSTEM分野の試験等に進んでいただくことになります。ここまでが第0次選抜となります。第0次選抜の結果発表は、6月末から7月初め頃を予定しています。
次の試験となる第一次選抜を7月頃に行いまして、以降、10月頃に第二次選抜、来年1月から2月頃に第三次選抜と、長期間にわたる試験が続く予定です。国際宇宙探査に向けて新しい時代を切り拓く、宇宙飛行士候補者を選ぶということで、引き続き、気を引き締めて選抜を進めてまいります。
2.H3ロケット第1段エンジン燃焼試験の状況
H3ロケットの第1段エンジンとして新たに開発を進めているLE-9エンジンについて、開発状況をお知らせします。
ターボポンプで発生しました配慮すべき事項への対応策について、複数案を検討しているところ、既にお伝えしておりますとおり、そのうちの一つ目の策の検証を目的とした翼振動試験を3月に2回実施いたしました。これにより取得したデータにつきましては、引き続き詳細評価を進めているところです。
並行してこの度、3月に実施した翼振動試験に続き、次の対応策について検証を行うための翼振動試験を、5月17日以降に、種子島宇宙センターにて6回程度実施する予定です。
なお、本試験においては、翼振動への対応策の検証に加え、コスト削減を目指してH3ロケットの試験機2号機以降で使用する3D造形噴射器の機能・性能を検証する技術データ取得も同時に実施する予定です。
3.「宇宙で授業パッケージ」学校授業実践用コンテンツを公開
JAXAの研究開発の成果を活用して制作された宇宙教育教材は、これまでにもJAXA宇宙教育センターのホームページ等で多数公開し、学校や地域の青少年教育の場などでご活用いただいておりますが、先生たちが授業でとり入れ易くなることを主眼に、宇宙や空を素材とした授業が自主的、自立的に実践されることを目指し制作した、新しいデジタル教材シリーズの「宇宙で授業パッケージ」をご紹介いたします。
教育現場においては、デジタル化やICT環境整備等が進み、教育の手法や在り方が大きく変化しています。また、2020年度より学校現場で順次施行されている新学習指導要領の中では、子供たちがどのように学ぶかという姿勢が重視されています。
そこで、宇宙を素材として活用することで、子供たちの“主体的で対話的で深い学び”を実現させることを意識し、制作をいたしました。
そして、現場の指導者にとっても、無理なく宇宙教育に取り組むことができるように、本教材では、学習指導要領に沿った学習指導案、および学習に使える動画資料やワークシート等の素材をパッケージ化し、JAXA宇宙教育センターのホームページから自由にダウンロードできるようにしています。
また、授業の設計図ともいえる「学習指導案」の作成にあたっては、相模原市教育委員会のご協力も得て、より現場になじむ形を目指しました。
教材の例を一つご紹介いたします。「宇宙飛行士に必要な能力は~これからの目標を立てよう~」という教材では、宇宙の環境や宇宙での生活について、そして宇宙飛行士に必要な資質・能力を紹介するとともに、コミュニケーション能力を訓練する素材としてパズルを利用し、授業のなかで実践します。宇宙飛行士選抜試験のパズルというと、いわゆるホワイトパズル、絵や柄がない白一色のジグソーパズルが頭に浮かぶと思いますが、今回のパズルはそれとは異なり選抜試験の課題をアレンジしたものです。出題役・管制官役の人が、言葉のみで「様々な形状のパズルピースを組み合わせて作る、ある図形」を伝え、回答側・宇宙飛行士役の人は、その通りに図形を組み上げることが出来るか、というパズルになります。出題役、回答側ともに伝え方の創意工夫、理解力の向上、他の人との協働時でのコミュニケーションの重要性など、多くの「気づき」につなげていただき、さらにこの授業を通して、学級・学校活動への主体的な関わりや、自己を生かそうとする姿勢の育成に貢献できればと考えております。
このほかにも、小中学校の教科等に該当する7種のコンテンツを宇宙教育センターのホームページにて公開しておりますので、ぜひ、様々な教育現場で活躍される指導者及び関係者の皆様に本教材をご活用いただきたいと考えております。そして、利用された皆様からのご意見等を反映させて、本教材の改良に活かすとともに、子供たちが自ら学ぶ力を育むための学習機会の提供と拡充に引き続き取り組んでまいります。
4.〈人物紹介〉 鈴木副理事長
先月、新たに着任いたしました鈴木和弘副理事長をご紹介いたします。
鈴木副理事長は、今年3月末までは経営推進部長として重責を担っておりましたが、その経験をもとに、副理事長として、JAXA全体の総合調整、安全・信頼性保証や環境経営の推進等に関する業務を担当します。
それでは、鈴木副理事長よりご挨拶申し上げます。