2026年(令和8年)9月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:2026年(令和8年)9月18日(金) 13:30-14:15

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 木下 圭晃

1. 最近のプロジェクト、事業などの取り組み

火星衛星探査計画(MMX)×H3ロケット10号機の打上げ準備状況

 先月8月13日に、火星衛星探査計画(MMX)の探査機を、種子島宇宙センターで報道公開いたしました。お盆の時期となりましたが、多くの報道機関の皆様にご参加いただき、記事・ニュースに取り上げていただきました。改めまして感謝申し上げます。来週9月24日には、相模原キャンパスにて、MMXの運用管制を行う管制室の公開も予定しております。相模原キャンパスでは、探査機打上げに向けた準備、火星圏観測、世界初の火星衛星フォボスからのサンプル採取、地球帰還と、約5年に渡るミッション運用に向けて準備を着実に進めております。一方、種子島宇宙センターでも、MMX及び打上げロケットであるH3ロケット10号機ともに、それぞれ射場整備作業を進めています。
 両プロジェクトメンバーをはじめ、関係企業の皆様と連携を密にし、着実な準備作業に取り組んでまいります。

ナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡打上げ

 今年の夏は、惑星探査、宇宙観測などに関する話題が多くございました。
先ほど紹介したMMXのほかにも、7月5日には、小惑星探査機「はやぶさ2」が、拡張ミッション1つ目の目標天体である小惑星「トリフネ」のフライバイ探査を行い、高精度な軌道誘導技術の実証を果たすなどの成果も、記憶に新しいかと思います。

 8月30日には、近赤外線・可視光線による広域宇宙観測を行うNASAの大型宇宙望遠鏡「ナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡」が打ち上げられました。このローマン宇宙望遠鏡には、JAXAや大阪大学、自然科学研究機構の国立天文台やアストロバイオロジーセンターなど、日本の研究機関・研究者が協力しております。主なものには、太陽系外惑星を直接観測するための技術実証を行なう「コロナグラフ装置」に組み込む機器の開発提供、JAXA美笹深宇宙探査地上局による観測データの送受信、「すばる望遠鏡」などによる協調観測などで参画、貢献しております。
 現在、望遠鏡の状態は正常で、もう一つの搭載装置である広視野観測装置の初期調整を開始するなど、運用も順調と聞いております。 また、9月7日から9日には、美笹深宇宙探査地上局にて、ローマン宇宙望遠鏡とのデータ送受信に成功しております。
 引き続き運用、観測における協力支援を行なうと共に、研究成果の創出に努めてまいります。

国際水星探査計画「BepiColombo」/水星磁気圏探査機「みお」(MMO)

国際水星探査計画「BepiColombo」は、太陽系の一番内側にある水星の磁場・磁気圏・内部・表層を観測し、水星の起源と進化の解明を目指すと共に,惑星の磁場・磁気圏の普遍性や特異性の解明を目指す、JAXAと欧州宇宙機関(ESA)による国際共同プロジェクトです。JAXAは水星磁気圏探査機「みお」(MMO)、の開発・運用を主に担当しています。
2018年10月20日に、南米フランス領ギアナからアリアン5ロケットにて打上げられた後、これまで約8年間、9回の惑星スイングバイを経て、今年11月に、いよいよ水星に到着する予定です。
 9月3日には、水星までの往路運用の役割を完遂した推進モジュールが、探査機から分離されました。予定では11月21日頃に水星周回軌道への投入、12月には、JAXAの水星磁気圏探査機「みお」が、ESAの水星表面探査機「MPO」から分離する計画です。分離後には、それぞれの探査機の状態確認、搭載した観測機器などの準備を順次行い、「みお」と「MPO」による水星観測を開始いたします。
 水星到着までの運用期間中にも、「BepiColombo」による観測研究成果が発表されています。例えば、水星スイングバイ時の観測データによる研究として、2023年に、水星磁気圏の電磁環境の一端を明らかにする研究論文、2024年には、水星磁気圏内のプラズマ環境を解明した研究論文などがあります。
 水星での観測運用を着実に実施し、さらなる研究成果につながるよう、引き続きプロジェクト関係者一同、気を引き締めて取り組んでまいります。

2. 「だいち2号」および「だいち4号」による大規模自然災害への対応

 今年の夏も、国内外で大規模な自然災害が相次ぎました。これらの災害により犠牲となられた方々に、深く哀悼の意を表します。また、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い被災地の復旧と復興を心よりお祈り申し上げます。

 JAXAでは、陸域観測技術衛星「だいち2号」及び先進レーダ衛星「だいち4号」を活用し、国内外の防災機関や国際機関と連携しながら災害対応を実施しています。
 国内では、7月28日に発生した令和8年熊本地震に対し、国土交通省、林野庁など防災機関からの要請を受け、発災直後から「だいち2号」及び「だいち4号」による緊急観測を実施しました。取得した観測データは、地殻変動や土砂移動の状況把握のため関係機関へ提供したほか、試行中の「建物被害推定ツール」を活用し、内閣府及び熊本県に被害推定結果を共有しました。熊本県では、住宅被害を早期に把握するために、JAXAが提供した推定結果情報を活用いただいたと聞いております。また、国際災害チャータを発動し、海外機関から提供された衛星画像も活用しながら被害状況の把握を支援しました。
 その後も、北陸地方や関東地方などで発生した豪雨災害に対して浸水域推定情報を提供したほか、青森県や伊豆諸島における土砂災害では災害速報図等を作成・提供するなど、関係機関の迅速な災害対応に協力いたしました。

 国際的な対応としては、8月26日にネパール北部の中国国境付近で発生した大規模な洪水・土砂災害に対し、ネパール政府水文気象局からの要請を受け、アジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)の取り組みの一つで、JAXAが事務局を務める、同地域の自然災害監視を行なう国際協力プロジェクト「センチネルアジア」を発動しました。さらに国際災害チャータとも連携し、8月28日に「だいち2号」による緊急観測を実施しました。観測データや解析結果は、ネパール政府機関や国連人道問題調整事務所などへ提供し、被害状況の把握や復旧活動を支援しています。
 今回の災害は、氷河を含む山岳斜面の大規模崩壊に伴い発生したと考えられており、大量の土砂や岩のかたまりなどが下流域に流下し、大きな被害をもたらしました。JAXAは「だいち2号」に搭載された合成開口レーダ(SAR)を用いて緊急観測を行い、浸水被害の自動推定のデータを提供しました。合成開口レーダは、昼夜や天候に関わらず地表を観測できるため、モンスーン期で雲の多いヒマラヤ地域においても有効な観測手段として活用されています。

 なお、熊本地震及びネパール洪水・土砂災害に関しては、JAXA地球観測研究センター(EORC)のWEBサイト等において、観測データを用いた解析事例を公開するとともに、「だいち2号」及び「だいち4号」の災害関連観測データを無償公開し、防災機関や研究機関による活用を支援しています。
 JAXAでは、今後も国内外の防災機関や国際機関との連携のもと、衛星データを活用した、災害発生時の迅速な状況把握と被災地支援に貢献するとともに、アジア太平洋地域をはじめとする国際社会の防災・減災に取り組んでまいります。

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