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観測ロケットS-310-43号機 打上げ結果について

平成26年8月5日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成26年8月4日(月)、「ロケット慣性飛行中の二相流挙動(※1)及び熱伝達特性の観測」を目的とした観測ロケットS-310-43号機を内之浦宇宙空間観測所から打上げ、実験は成功しました。

 ロケットの飛翔並びに搭載した実験装置の動作は正常に行われ、内之浦南東海上に落下しました。

ロケット飛翔結果
ロケット機種・号機 打上時刻
(日本標準時)
発射上下角 スピン制御開始 最高到達高度 着水時刻
S-310-43 23時00分00秒 79度 打上65秒後 117km
(打上169秒後)
打上335秒後

 今回の実験では、観測ロケットの弾道飛行を利用して液体ロケットが宇宙空間を慣性飛行している環境を模擬し、極低温推進システムの各要素を模した供試体(※2)内に極低温流体(液体窒素)を流動させ、供試体内を流れる気液二相状態にある液体窒素の沸騰・流動状況を観察するとともに、各部の温度・圧力・ボイド率(※3)を測定しました。
 ロケット打上げ後100秒に供試体への液体窒素の流動を開始し、約150秒間にわたり各部の温度・圧力・ボイド率データ及び供試体内における二相流挙動の画像データ(別紙)を取得しました。

 今後、取得されたデータを用いて詳細な解析を実施し、推進システムの熱流動解析モデルの精度向上を図ります。

 なお、光学カメラによるロケット追跡が、発射後33秒まで行われました。
 当日の天候は曇り、南西の風3m/秒、気温26℃でした。

 今回の観測ロケットS-310-43号機打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に、深甚の謝意を表します。

(補足)

  • (※1)二相流挙動:気体と液体が混合する流れの状態。今回の実験は、極低温流体(液体窒素)を供試体に流し、その沸騰・流動状況を計測することで、熱流動解析モデルの精度向上を目的としている。
  • (※2)供試体:極低温推進システムを模擬した実験装置
  • (※3)ボイド率:流体の単位断面積に含まれる気泡の面積割合

別紙

S-310-43号機「ロケット慣性飛行中の二相流挙動及び熱伝達特性の観測」画像

図1:今回の実験で取得された画像
(低重力環境で液体中に大小多数の気泡の発生が観察された)


図2:図1に対応する条件で行われた地上実験の比較画像
(重力が加わっているため気体が上方、液体が下方に溜まっている)




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