プレスリリース・記者会見等

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「だいち2号」による全球森林マップの公開について
~森林面積把握により、温暖化対策に貢献~

平成28年1月28日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成26年5月24日に打上げた「だいち2号」(ALOS-2)を用いて全球25m分解能の全球森林マップを開発しましたので、本日から無償で公開します(以下のサイト参照)。
 昨年、パリで開催されたCOP21で掲げられた温暖化抑制の目標※を達成するためには、CO2の重要な吸収源である森林を地球規模で把握・保全することが欠かせません。この課題に応えるために、JAXAでは独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力して来年度から「森林変化検出システム」を構築します。
 全球森林マップのデータは、この基本情報としても使用される予定です。

(全球森林マップ公開URL)http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/palsar_fnf/fnf_jindex.htm

世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃を十分に下回る水準にし、1.5℃に抑制するよう努力することが長期的な目標として掲げられた。

 近年、熱帯域・亜寒帯域では森林減少が進行しており地球温暖化の一因となっています。そのため、国連や各国の政府機関でも、森林面積の把握や保全は、温暖化対策の政策決定のための重要な取組みとして位置付けられています。高い感度と分解能を有する「だいち2号」搭載Lバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)は、森林(自然林)の有無や森林の土地利用状況などの観測に適した長い波長(約24cm)の電波を用いており、また天候や昼夜によらず観測ができるため、1年の多くが曇で覆われる熱帯域での森林観測に特に適しています。

 JAXAは、前号機の「だいち」(ALOS)搭載のPALSARを用いて、平成19年から平成22年までの間にも森林面積の観測画像を提供し、その画像はブラジル政府機関によるアマゾンの熱帯雨林における違法伐採監視のためなどに利用されてきました。しかし、平成23年に「だいち」の運用が終了したことにより、それ以降は同衛星による監視を行うことができませんでした。

 JAXAでは、森林分布の把握を通じて地球温暖化対策に貢献すべく、今後は「だいち2号」による全球森林マップを年1回の頻度で提供する予定です。本データにより森林の空間的・時間的変化から全世界の場所毎の森林の減少・増大の傾向を把握することができるため、各国の政府機関等によりどの地域を重点的に監視・保全していくかといった森林保全計画に利用されることが考えられます。

 来年度から、JICAと協力して構築する「森林変化検出システム」により、全世界に向けて熱帯林の高頻度変化情報を発信していく計画です。

「だいち」と「だいち2号」の合成開口レーダを用いたボルネオ島の平成22年から平成27年の間のボルネオ島の森林減少。随所で、森林の減少が確認されます(平成22年から森林面積が8%以上も減少)。



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